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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
8章 赤い呪いと青い呪い

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 シェリーは第5師団の詰め所に連れて来られていた。あの後、女性は騎獣の用意を命令された人物に護衛されながら、無事に騎獣に乗って彼女の家に帰っていった。最悪の事態にならなくて良かった。


 そして、シェリーが殴った人物は第5師団の団長だったため、そのまま帰すわけにもいかず、公務執行妨害の罪で第5師団の詰め所に8歳の幼女を連行したのだ。

 普通なら幼女を連行するということはない。しかし、シェリーの容姿はどう見ても、勇者と聖女の血筋を感じる。勇者の力は討伐隊で共にした者から聞き及んだ事柄と番狂いの件から危険視すべき人物だ。その血筋の子供がなぜかグローリアでもなくラースでもなく、このシーラン王国にいるのか、聞かなければならない。因みにルークは別の団員に連れられ家に返されている。


「ご両親はどこにいるのかな?」


 シェリーに質問をしているのは、騎獣を連れてきたトカゲ人の兵だ。


「知りません。」


「そんなことないよね。あの、勇者と聖女様だよ。」


「ちっ。あのクソ勇者を親と思ったことなんてありませんよ。聖女をさらわれない様にどこかに隠れ住んでいるのではないのですかね。」


「クソ勇者・・・。」


「心配されなくても、勇者はこの国には来ませんよ。ラースやグローリアの様になることはありません。私は弟と共に生きるためにこの国に来たのです。」


「おとうと。あの可愛い幼女が男の子・・・。」


 トカゲ人の隣には先程からニコニコとしながらシェリーに殴られた第5師団長が座っていたのだが、ルークの性別が男の子だと知って固まってしまった。


「いや、いける。あの可愛さなら問題ない。」


 その言葉を聞いたシェリーは机の上にあがり、第5師団長の胸ぐらを掴み上げ


「わたしのルーちゃんに怪しい視線を向けないでいただきたい。怪しい感情を持たないでいただきたい。」


「幼女に胸ぐらを掴まれる俺いい。幼女に睨まれる俺いい。」


 シェリーは第5師団長の言動に寒気を覚え思わず手をはなす。


「団長ずるいです。自分も幼女に罵られたいです。」


 扉の前にいた兵が口を出してきた。もしかして、この第5師団って危ない集団なのか?シェリーと話してしていたトカゲ人を見てみると、頭を抱えていた。まだ、この人物はまともなようだ。


 扉の前の人物が扉の前から離れた瞬間、扉が開かれ数人の兵が部屋の中に倒れ込んできた。どうやら、扉の前の兵はシェリーを見張っているわけではなく、他の者たちを部屋の中に入れないようにしていたようだ。

 その後は机の上に乗ったシェリーに罵られたいという兵に囲まれ、パニックになったシェリーが身体強化をし拳を振るうのであった。しかし、8歳の幼女のシェリーのパンチなど、屈強な獣人からしたらご褒美でしかなく、『ありがとうございます。』と言いながら順番待ちをされた。この事がシェリーにスキル『聖人の正拳』を創るきっかけとなったのだった。



 丁度その時、妹を助けてくれた幼女が第5師団に連れて行かれたと聞いて、その兄が第5師団を尋ねてきたのだ。それが、猩猩獣人の統括副師団長だった。第5師団が何者かに襲われていると勘違いした統括副師団長は己の拳を大いに奮った。

 その結果が、三階建の建物が半分に縦に割れ、その半分が瓦解し、その下に多くの兵が下敷きになってしまった。

 第5師団長もその中に入っており、パニックになったシェリーを助けるために瓦礫の下に埋まってしまった。


「我が人生に悔いなし。」


 意識を失う前の彼の言葉である。彼は半身不随になってしまい、隊長職を辞するところなのだが、俺が王都を守るのだ。と言って一向に辞職の書類にサインをしない。彼の知らないところで第5師団長を新たに据えようとすれば、謎の事故が起こって引き継ぎができなくなってしまうのだ。

 原因は蛇人である第5師団長の邪眼の仕業・・・いや、執念というべき呪いである。5人目が犠牲になったところで、統括師団長閣下は第5師団を編成することを諦めたのであった。




「邪眼か。確かに危険だね。ほとんど彼女は関係ないじゃないか。なんで、そんな話になったのだろうね。」


 イーリスクロム陛下は不思議そうに言う。


「問題児はそれ以外に色々しております。団長の家の襲撃もそうですね。」


「襲撃ではありません。この薬の使用した人物を知りたかっただけです。」


 直ぐにシェリーは反論した。


「ああ、その薬だね。確か、クストの奥方はあの技術者のユーフィア殿だろ?関係ないだろ?」


「は?関係無くないですよ。マルス帝国出身の彼女は多くの物をマルス帝国に残していきましたよ。写し魔道絵も国の入出国管理も奴隷の制御魔道具もこの治らない病も全て彼女がマルス帝国に残したものです。」


「やめろ!」


 クストの怒声が部屋に響いた。


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