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 部屋に入れば、ファスシオンが頭を抱えていた。あの熊ぶっ殺すという言葉が聞こえるので 、小隊長が何かをやらかしたのだろう。


 お茶と茶請けを出し、一人掛けのソファーに座ろうとすれば、4人掛けソファーのカイルとグレイの間に座らされた。一瞬客の前でも膝上に座らされるのかと焦ったが、ここに来る前に言っておいたので、客の前で膝上抱っこは避けられたらしい。

 スーウェンとオルクスはそれぞれ一人掛けのソファーに着席した。


「どちらの用件を先に伺いましょうか?」


 そう尋ねると、美少年のウサギが頭を抱えながら、上目遣いで


「このありえないメンバーは何?」


 と聞いてきた。隣で美しい天使がうんうんと頷いている。これを見たらどこぞの御姉様方がキャーキャーと言っていそうだ。


「何?と言われましても、見たままですが?」


「精々納得できて、銀爪のカイルとラースの第二公子まで!冒険者で同じ依頼をする事もあるかも知れない、そして親族を訪ねて来たのだろうと思うけど、あのシュエーレンがいる意味が分からない。他国の傭兵団長がいる意味が分からない。」


「ラース大公閣下の第一夫人はシュエーレンの長女ですよ。」


「そう言われたらそうなんだけど、一つ、確認はされてはないけど、ラース大公閣下と第一夫人と弟殿下が亡くなられたという情報が入って来ているんだけど。何か関係がある?」


「さぁ。どうでしょう?」


「勇者と聖女が公都入りしたという情報は?」


「さぁ?そんなことも、あるかもしれないですね。」


「隣国だからね情報は欲しんだけど、特に勇者の動向は知りたいんだけどなぁ。」


「ご自分でお調べに行ってください。そんな事を聞きに来たのですか?」


「ああこれは、ブライが聞けたら聞いといてくれ、って言われただけ、本題は村の件だけど。どう見てもおかしい。6人の村人も覚えていない。争った後があるのに、他の村人の形跡がない。どういうこと?」


「そんな事を聞かれてましても、それを調べるのが仕事なのではないのですか。」


「調べても何も分からないから聞きに来たんだ。何でもいいから気になる事でも助けた村人のおかしな事でも教えてよ。」


「報告したもののみです。あと、ブライ師団長に伝言を『今度からは俺預かりはありません。』とお伝えください。」


「え、嫌。ちょ・・ちょっと何が?」


「ブライ師団長がわたしのお仕置き対象を匿っていたと、小隊長さんが教えて下さったのです。」


「あんの図体だけデカイ熊が!ブチのめす。」


 ファスシオンが勢いよく立ち上がり、部屋を出ていった。


「ファスシオンは行ってしまいましたね。本題に入る前に私も聞いていいですか?なぜ、ギラン共和国の傭兵団長がここにいるのか。」


 アンディウムはオルクスに問う。


「あ?傭兵をやめて来たからだ。」


「や、やめた?」


 アンディウムは唖然とした顔でオルクスを見る。


「本題をお願いします。」


 シェリーはオルクスが番云々と言い出す前に、アンディウムにここに来た理由を問う。


「え、ちょっと待ってください。オルクスとい「本題をお願いします。」」


 シェリーは被せて言う。


「はぁ、わかりましたよ。ここに訪ねて来た理由は、君がいらない計画を立てたおかげで、なぜ、私が聖女候補という子供と一緒に魔物討伐に行かなければならないのですか。」


「聖女様を大々的に発表をしたい教会側と魔物討伐に苦慮している冒険者ギルド側と統括師団長閣下の判断が合ったためじゃないですか?いくらなんでも、ただの冒険者にすぎないわたしが提案したからと言って、師団長様を動かせるはずがないじゃないですか。」


「広報に話を通したのは誰です?」


「そんなもの一介の冒険者でしかない、わたしには知りませんよ。」


「広報の知り合いがいましたよね。」


「サリーさんですか?今回の件は話してないですよ。秋の収穫祭の相談はされましたけど」


「それもです。」


 アンディウムは机を叩く。


「なぜ、私があんな格好を・・・。」


「わたしはサリーさんに提案をしただけで、それを採用するかはそちらの方です。今回の件は冒険者ギルドのニールさんに提案をしただけです。」


「ニールだと?あいつか。」


 アンディウムもファスシオン同様立ち上がりそのまま部屋を出ていった。


「シェリーは人気者だね。嫉妬するな。」


「カイルさんどこをどう見れば、そんなふうに見えるのですか?ただ問題児に文句を言いに来ただけですよ。」


 慌ただしい空気から穏やかな空気に変わっていった。本当に何しに来たのかと思うシェリーだった。


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