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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
27章 魔人と神人

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「150を超えると精神防御値が格段に上がるの。これで暴走を抑えられるわ」

「俺、やっとLv.105なんだけど」


「躯体眞相(しんそう)スキルを得ること。これにより、何度龍化しても身体のバランスを崩すことはなくなるの」

「え?なにそのスキル?」


 アマツの言葉に言葉を漏らすグレイ。そして段々と落ち込んでいっている。

 いや、グレイは知っているのだ。獣化が暴走した姿というものを。


 だから今の自分の状態に危機感を抱いている。

 しかしリオンは違っていた。


「俺は何も問題は起こっていないから必要ないだろう」

「ああ、そういうこと」


 アマツは何かがわかったように両手をパチンと叩いた。そしてシェリーに向かってわかったという風に頷く。


「そっかぁ。鬼だものね制御できるんだぁ。じゃぁ、私と手合わせをしようか」

「え?」


 アマツは立ち上がってリオンのところに赴く。それもニコニコと怖いぐらいの笑みを浮かべてだ。


「英雄アマツ様と手合わせ……」

「俺もしたい!」


 アマツを英雄視しているグレイとオルクスがキラキラとした目で、アマツを見ている。

 英雄アマツがどれだけ獣人たちに語り継がれているかが垣間見える。しかし、スーウェンに至っては、アマツから距離を取り始めた。


 エルフの王が暴君に負けたあとに獣人の国を作り上げたアマツを危険視しているのだろう。その表情は硬かった。


「手合わせ。本気の手合わせだよ……あ!ラースの御仁。ちょっと色々壊しちゃってもいいかな?」


 アマツは破壊すること前提で戦うらしい。いや龍化したアマツと鬼化したリオンが戦うのだ。

 辺りに被害が出ないわけがない。


「いいよ。ここは神界の端だから、外界には影響はない」

「へぇ。ここって神界だったんだ。佐々木さん、これでいいのよね?」


 アマツはシェリーにも確認を入れる。自分が喚ばれた意味はこれだったのだろうと。


「はい。完膚なきまでやってもらっていいです」

「そこまでやると死んじゃうからしないわよ」


 シェリーの容赦ない言葉にアマツは苦笑いを浮かべた。そしてその言葉に苛立ちを露わにしたのはリオンだ。


「龍人だとしても、俺が簡単に負けると思っているのか?」

「え?だって見ればわかるじゃない。……まぁ、理解できてないから、私が喚ばれたのだろうけど。それじゃ、あっちでやろうか」


 アマツはサクサクと開けた場所に移動していく。その後に不満気について行くリオン。


 そして二人の戦いが気になるグレイとオルクスは距離を取りながら移動していったのだった。




「それじゃ始めようか。好きなように攻撃してきていいよ」


 アマツはリオンの攻撃など簡単に受け止められると言わんばかりに両手を広げて待ちの姿勢をとる。それも龍化をしているわけでもない。


 それがいっそリオンに癪に障った。


「初代様の母かもしれないが、俺をバカにしすぎている!」


 そういってリオンの髪の色が白く変化した。そして身体が一回り大きくなり、鬼の特徴的な白い角が赤く変化したのだ。


「へぇ、鬼ってこんな感じなの」


 鬼化したリオンを見ても余裕な雰囲気を壊さないアマツ。

 そしてリオンの右手が青い炎で燃え上がった。


「あ……佐々木さんから、教えてもらたんだ。でも……ぷっ……ごめん。所詮猿真似。術の真髄を掴んでないよ」


 普通の者からみれば、高魔力を右手に宿し、青く発火した姿は圧迫感と同時に脅威を感じるものだが、アマツからすれば、子供だましのように見えるらしい。


 リオンはくすくすと笑うアマツに舌打ちをしながら、地面を蹴った。


 リオンが地面を蹴った瞬間その姿が忽然と消える。いや、目に追いつけないほどの速さで移動していったのだ。

 そしてアマツの背後に姿を現したリオンは青い炎をまとった右手の拳を思いっきりアマツに向かって振り下ろす。


「だから術の真髄を掴んでいないんだよ」


 そう言いながらアマツは左手で青い炎をまとった拳を左手で受け止めた。それも素手でだ。

 その行動に驚くリオン。この攻撃の破壊力はその目で見て知っているからだ。


「君の術は未熟すぎる。だから、素手でも受け止められるんだよ」


 そう言ってアマツは右手でリオンの脇腹を殴る。その衝撃でリオンの身体は飛んでいった。それを見たアマツは追随するように駆け出す。


 体勢をかえ、地面を滑りながら惰性を殺すリオンにアマツは背後に回り込み蹴りを食らわす。


 地面に埋もれるように止まったリオン。その側でリオンを見下ろすアマツ。


「いつまで地面に寝そべっているの?これが本当の敵ならトドメを刺されているわよ。ほら、かかってきなさい」


 アマツの言葉に地面から飛びかかるように刀を抜くリオン。


 だが、その刀身はアマツの二本の指によって止まられてしまったのだった。


「君。可哀想なぐらい弱いね」



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