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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
27章 魔人と神人

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「じゃ、これ以外の称号は必要ない。クリア」


 シュロスは白き神から与えられた称号以外は必要ないと言葉にする。だが、神から与えられた加護……いや、シュロスに至っては呪いを必要ないからと言って、無くすことなんてできるのだろうか。

 オリバーのように一度死に、聖女に隷属させられたついでと言わんばかりに、創造主である白き神から加護を与えられたとしたら?そして強引に現世に引き戻されたことによって、無くなる可能性はある。


「は?」

「え?」


 だが、目の前にいたオリバーと炎王が声が上げた。


「ステータスの全体が見えたと思ったら、一気に無くなった?意味がわからない」


 炎王が空間を睨みつけるように見ているが、どうみても先ほどと同じように見えず、目を何度もこすっている。


 オリバーといえば、珍しく呆然とシュロスを見ていた。メモを取っていたはずのペンを床に落として。


「よし!すっきりした……お!なんだか基本ステータスがアップした!本当にデバフがかかっていたのか」


 この状況でシュロスは一人満足していた。

 だが、このシュロスの状態をありえないと見ている人物がいる。


「シェリー! 説明をしにこちらに来なさい」


 オリバーである。流石に神の加護……呪いを消すなんてことはできることではない。それこそ神の領域だ。


 呼ばれたシェリーはタオルで手を拭きながらオリバーの元に行く。背後にカイルと陽子を連れていた。


「コレはなんだね?」


 オリバーはシュロスを指してコレと言った。もう人ではない存在だと言いたいのだろう。


「説明をしようと思ったら陽子さんに、カレーが食べたいと言われたのだけど?」

「陽子さんが悪いことになっている!」


 シェリーはオリバーに聞いていた。シュロスがどう見えるかと。そして、正確にシュロスが置かれている状態を当てたオリバーに、シェリーはお願いをするために、説明を言おうとしていた。

 だが、陽子が騒ぎ出したので、その話は一旦保留になったのだと、シェリーは答える。


 その答えに慌てたのは勿論、陽子だ。


「よよよ陽子さんは……悪く……ない……と……おも……う」


 歯切れ悪く否定する陽子だが、段々と声がか細くなっていく。オリバーに視線を向けられて、シェリーの背後に陽子は完全に隠れてしまった。


「あ、炎王。こんにちは。スパイスを持ってきてくれましたか」


 そんな中、シェリーはいつも通り炎王に挨拶をして、今直ぐにスパイスを出すように手を突き出した。


 だが、それに反応したのは炎王ではなく、シュロスが立ち上がった。


「えんおう?王様なのか?この国の?」


 シュロスの常識知らずの言葉に、冷たい空気が流れ出す。

 こんな常識も知らないのかと。炎王を指す言葉の意味は炎国の王だ。それ以外にありはしないと。


「シュロス王。炎王はここではなく、遠く離れた島国の初代王です」

「へぇ〜……初代ってことは、どういうことだ?」

「シェリー。気になっていたのだが、シュロスという王は、この大陸には存在しない」

「王!この怪しすぎる物が王!」

「陽子さんも、ささっちから王様って紹介されたときに内心思ったよ。王って何って」


 シュロスが炎王の紹介されて初代という言葉が気になると言っている横で、オリバーはそんな王は在位していないと言い切り、炎王は王というには怪しすぎると言い、陽子が炎王に同意を示した。


 三人とも王には見えないと。いや、存在自体があり得ないと。


「カレーが先なので、質問は後にしてください。炎王、スパイスをいい加減に出してください」


 だが、シェリーはそんな言葉を全てぶった切る。料理中に呼び出すなと言わんばかりに、炎王に差し出した手を更に突き出した。


「はぁ。キッチンに戻る前に一つ聞きたいのだけどいいか?」


 シェリーのブレない感じはいつものことだと、ため息を吐きながら炎王は確認する。


「何ですか?」

「あれは行くと言っていたラフテリア大陸で拾ってきたのか?」


 炎王はシェリーとカイルがミゲルロディアから依頼を受けてラフテリア大陸に赴くことは知っていた。だから、そこで出会ったのであれば納得すると。


「違います。モルテ国です」


 その言葉を聞いたカイルを除いた三人は、ある意味納得していた。あの国から連れて来たのであれば、そのおかしさには納得できると。

 いや、謎の部分が多い国であるため、このような存在がいても納得ができる。そう、王自身が狂っているのだから。


 そして、シェリーの言葉に炎王は、どこからともなく紙袋を取り出し、差し出した。


 その紙袋を受け取りながら、シェリーは更に言葉を続ける。


「それから、おかしな行動を取り出したら、ぶっ叩いて鎧を壊していいです。どうせ中身はモヤしか入っていませんから」

「佐々木さん、ひどっ!」


 中身がモヤと言われてシェリーを非難するシュロスに向けられる二つの視線は、幽体が入っているのかと理解したのだった。

 モルテ国の者ならそうであろうと。




宣伝をさせてください。

【婚約者が最凶すぎて困っています】


を投稿しています。一応中編完結まで毎日投稿(たぶん)23時更新です。

https://ncode.syosetu.com/n8576jh/


(あらすじ)

気が付けば真っ暗闇の中、ガタガタと揺れる床。

どうやら私は攫われてしまったようです。

確か今日は婚約者のところに連行されていました。そう、二か月は不在だと言っていましたのに、一ヶ月しか無かった私の平穏。


最凶すぎる第一王子の婚約者と、その婚約者に振り回される子爵令嬢の私の話。

興味がありましたら、宜しくお願い致します。

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