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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
27章 魔人と神人

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「あれ?佐々木さんが現れた」


 先程までシェリーを苛つかせていた声の主に、床に寝そべっている形になっているシェリーは勢いよく起き上がり、声の主を見た。


「何をしているのですか!」


 シェリーが見た人物は、数段高い位置に金色の椅子に腰掛けたシュロス王だった。まさに王という風格で、頭上には金色の王冠に右手には金色の王笏。白き髪は長く、同じ色の翼はその姿を大きく見せていた。

 ただ、シェリーが先程会ったシュロスよりも壮年の雰囲気をまとい、顔にその年月を思わせるシワが刻まれていた。


 そして、シェリーは何かの陣の上に立っている。そのシェリーを囲うように30人程の白色が印象的なアーク族に囲まれていた。まるで白き神を摸したような存在たちの姿にシェリーは舌打ちをする。


「ちっ!まるで何かの儀式のよう」


 儀式。建物の中であるものの、どこかで見たことあるような青いガラスのような建物。

 そして天井は丸く穴が開けられたように青い空が見え、太陽の光はシェリーが立っている円状に光る陣を更に明るく照らしている。

 その光る円を囲むように立つ白い翼を持つアーク族。これが儀式でなければ、なんだと言うのだろう。


「え?わかった?あ……君たち彼女は聖女だから殺したら駄目だよ」


 その言葉に何かの術を発動しようとしてた魔力の波が拡散した。彼らアーク族は中心に現れたシェリーを殺そうとしていたのだ。


 シュロスはそんな彼らの動きを止め、玉座から立ち上がり、シェリーの元に降りてくる。するとシェリーを囲っていたアーク族は王であるシュロスにひれ伏すように、ガラスのような床に膝をつき、(こうべ)を下げた。


「佐々木さんが教えてくれただろう?レベリングしろって、レベル上げしていく中で一番レベルの上がる率が高かったのが、神を殺すことだったんだよ」

「は?」


 シュロスはレベルを上げるために、神殺しをしたと告白した。いや告白というよりも、世間話の一貫のように話をしたのだ。


「何をしているのですか!」


 シェリーはそんなシュロスを咎める。神殺しなど普通は行わない。いや、彼を普通というには些か問題があることは始めからわかっていた。


「だって、佐々木さんが言っていただろう?レベルを上げて神を殺すと超越者になれると」

「言っていません!」


 シェリーは力強く否定する。

 言葉の端々をつなげると、こうなりましたという感じの解釈をシュロスはしていた。いや超越者という言葉と千年王国という言葉に囚われたシュロスには、断片的にしか頭の中に残らなかったのだろう。


 そして、神殺しを実行してしまった。


「え?言ったじゃないか。現に神を殺して、俺はレベル200までいったぞ」


 自慢気に言うシュロスに、シェリーは苛立ちながら聞く。


「そもそも神の死とは何ですか!」


 神々は白き神からこの世界をより良くさせるために役目を与えられた管理者のような立場の者たちだ。その者たちが管理する世界での死が訪れるのか、そもそもの疑問をシェリーは口にした。


「いや、普通に神って殺せるよな。だって俺にはロンギヌスの槍があるんだぜ」


 そう言ってシュロスは、どこかのアニメで見たような形の先が二股に別れた長い物を取り出した。それが槍だと言われても、シェリーの目には、どこの槍だと突っ込みたくなる形だった。


「ロンギヌスの槍の由来を知って口にされているのですよね」


 どうみても、何かの影響を受けたとしか思えない槍もどきに、冷たい視線を向けて淡々とシェリーは聞く。


「それはもうリリ「それ以上言わなくていいです」えー最後まで言わせてくれてもいいのに」

「イエス・キリストの生死を確認したローマ帝国の百卒長の名です」


 シェリーの言葉にシュロスが持っていた槍もどきの形が瓦解していく。やはり彼の能力はゲームの世界と信じることで形が創られていたのだろう。

 信じることが力。それが心というものが力に変換されてしまった原因であった。


「もういっそのこと、直接話をしてくれません?私はもう話すのに疲れました。恐らくこの辺りが原因なのですよね。ナディア様やルーチェ様に嫌われている理由」


 女神ナディアや光の女神ルーチェが、白き神を嫌っている理由。創造主である白き神を嫌う神が存在する理由。


 神殺しが行われているにも関わらず、創造主は我々神を助けてくれなかった。となれば、創造主を見限っても仕方がないことなのかもしれない。


『僕の言葉を聞ける者は少ないからね。彼に話かけても「ナレーションか」と言われてしまったぐらいだからね』


 どうやら白き神もシュロスに声を掛けるのを諦めたらしい。話が通じないと。


「だったら、直接この場に来ればいいのです」

『どうやって?それではせっかく創った世界が崩壊してしまうよ』


 その白き神の言葉にシェリーは思わず叫んだ。


「どうして今の貴方が答えるのですか!私が話し掛けているのは、ここに私を連れてきた張本人の方です!」


 ここにシェリーが落ちてくる前に、問いかけても答えないと思っていたら、どうやらシェリーを連れてきた白き神ではなく、今の時代の白き神の声が降ってきたのだ。


 シェリーをここに連れてきた白き神なら知っているはずだ。シェリーのスキルを使えば、地上に化現できるということを。



白き神が他の神から嫌われている理由がやっと出てきました。

本当はシュロスとシェリーの話を書くつもりがなかったので、途中からシュとシェで始まる名前でダブってる!っとなっています。すみません。

いや、本当にシュロスの話は書くつもりは無かったのですが、ここまで来たら書かなければという神のお告げが……(ΦωΦ)

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