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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
26章 建国祭

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「決着が付く前に、ラース公国からの救援要請が来ましたから」

「ああ、そういうことか。それで、ラース公国は何体だ?」

「20体です」


 シーラン王国で10体。ラース公国で20体ともなると普通ではあり得ない事態だと認識し、炎国にいる己にも確認を取ってきたのだと炎王は理解した。


「……はぁ。それで俺を呼び出したということか。少し待て」


 そう言って炎王は無言になったものの、視線はウロウロと虚空を追いかけている。何かをしているようだ。

 相変わらず炎王の独特の魔術を用いて何かをしているようだが、何を行っているのかさっぱりわからないのであった。


「ああ。ユールクスに聞けばあちらは30体だ。その数は流石に多いな。それに年明けの今の時期は雪の日が続く。こんな真冬に襲撃されれば、普通なら対処できなかったぞ」


 ギラン共和国の陰の守護者であるユールクスと連絡を取っていたようだ。炎王はギラン共和国を襲撃した次元の悪魔の数に驚いている。

 これはユールクスだからこそ、対処できたということだ。


「すまぬが、ユールクスとは誰の事を言っておるのだ?私が国主を離れた間に、王が代替わりした国があるのだろうか」


 ミゲルロディアから最もな疑問が問いかけられた。シェリーやそのツガイたちにとっては、ユールクスはギラン共和国のダンジョンマスターという認識があるが、ダンジョンマスターがギラン共和国を守護しているとは知ならければ、誰のことを言っているのかわからない名だ。


「ああ、ギラン共和国の陰の守護者だ」


 炎王が答えるも、それをミゲルロディアに言って理解できるかと言えば……。


「ああ、ナディア様が言うところの人が作り出せし土地神という者か」


 土地神。言い換えればそういうことなのかもしれない。


「ミゲルロディア閣下がご存知だったとは……それでナディア様は、その者のことを何と言っていたのですか?」


 シェリーは女神ナディアが、どのような考えを持っているのか興味を持った。いや、黒きエルフが神を作り出そうとしていたのは事実であり、モルテ神の加護の拒否ができるまでにはなったが、ユールクスはまだ神という存在ではない。にも関わらず女神ナディアは土地神と表現したのだ。


「ふむ……」


 ミゲルロディアはシェリーの問いに答えることに躊躇している。躊躇というよりも女神の言葉をそのまま伝えていいのかと、思案しているのだ。


「ナディア様がおっしゃるには……あのムカつくヤローの理から外れた神がもっと増えればいいっと」


 白き神への当てつけだった。理を外れた神とは、恐らく白き神への反抗心を持つ、女神ナディアや光の女神ルーチェのことだと思われる。


「聞かなかったことにします」


 シェリーとしては、黒きエルフの未来を確定するように女神ナディアが後押しをするのかと思っていたが、実際は女神ナディアの私怨が混じっていた。

 そこを突っ込むと女神ナディアがこの場に顕れて、愚痴を言ってきそうなため、シェリーは聞かなかったという判断をしたのだった。


「それで炎王。結局炎国にはどれほどの次元の悪魔が現れたのですか?」


 シェリーはまだ炎王から答えてはもらっていなかったため、再度質問をした。


「俺の国は1体だ」


 炎国には1体。その数の違いはどういうことなのだろうか。


「それは炎王の一撃で瞬殺ですね」

「言っておくが、倒したのは俺ではなく御庭番だ」

「忍者を育成していたとは、知りませんでした」

「忍者じゃないからな。普通にシュピンネ族だ」


 シュピンネ族。黒をまとう者たちが大陸から排除された中には、黒をまとうシュピンネ族も混じっていたようだ。

 一族の中で大陸から逃げた者と、大陸で不動なる国を築き上げた者とで別れたのだろう。


 その言葉にシェリーは晩餐中にも関わらず立ち上がって、瞬時に炎王の側に回り込んだ。


「一人ください」


 シェリーがコンタクトを取ろうにも、どうしてもできなかった種族の名前が出てきたのだ。それは力を貸して欲しいと交渉をするだろう。


「いや、俺が何を言おうが、あいつらは変わっているから、無理だと思うぞ」


 炎王が断ったところで、シェリーは更に交渉しようと口を開こうとしたとき、シェリーの体が浮き上がった。


「シェリー、席につこうか」


 正確にはカイルに抱えられていた。そしてそのまま元いた場所まで連れて行かれ、そのまま席についた。ということは、シェリーはそのままカイルの膝の上に鎮座しているのだ。


「カイルさん。邪魔をしないでいただけませんか?」

「今は情報収集をしているのであって、人材確保ではないよね」


 言われてみればそうなのだ。炎王との交渉はいつでもできると、シェリーはため息を吐いて、一旦横に置くことにした。


「はぁ。……ミゲルロディア閣下がおっしゃったように、各国に宣戦布告をするように次元の悪魔を送ってきたようですが、炎国が1体だけとは些か納得できません」

「それはどういう意味だ?佐々木さん」





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