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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
5章  魔人の初源

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58

 5年前、シェリー13歳。ルーク8歳の時である。少しルークから目を離した隙に、ルークが緑の髪の男の子にいじめられていたのだ。それを見たシェリーがブチキレ


「うちのルーちゃんに何してくれとんじゃワレ。」


 どこぞの柄の悪い兄ちゃん並みに男の子をボコっていたときである。


「あらあら。もう許してあげたら?その子も反省しているみたいだし。」


 そんな風に声をかけられ顔をあげれば、筋肉隆々の大男だった。それも母親のビアンカと同じピンクの髪にピンクの目これはもう血族しか思えなかった。唖然としたシェリーにチャンスと感じた男の子は「覚えとけよ」といいながら去っていった。


「まあまあ。」


 どこかの近所のおばちゃんのように大男がシェリーに近づいてくる。ルークは姉を守ろうとシェリーにしがみついて大男を睨みつけていた。


「なぜ、ラースの血がこの国にあるの?」


「ラースの血?」


「そう今は大分薄まってしまったけど、初代ラースの伴侶は女神だったと言われているわ。だから、ラースの血が入ると、どこかに赤い色素が現れると言われているのよ。5千年も前のことだからウソか本当かは分からないどね。あと、そのピンクの瞳うまく封印してるじゃない。いい術師にやってもらったね。それ誰に封じてもらったの。」


 シェリーとルークは答えない。いや。答えられない。その術を施したのはもう死んだと世間で言われている人物だからだ。


「もしかして警戒しちゃった?じゃぁ、質問を変えるわ。あなた達の両親は誰?」


「では、あなたは誰?」


「あ、そうね。自己紹介をしていなかったわね。わたしはオーウィルディア・ラース。ラース公国の大公閣下の弟といえばいいかしら?」


 シェリーは視る。男の名を知ったことでそれが真実か視る。


「私たちの母親はあなたの妹。」


「へー。どの妹?」


「でも、これ以上は言えない。勇者に存在を知られれば弟が殺される可能性があるから言わない。」


「ふーん。あなたの方は殺されないのかしら?」


「黒は勇者の色。黒は魔人の色。人族に黒はいない。」


「そうね。そういうことね。ビアンカはあなた達のことは知っているの?」


「5年間は一緒に暮らしたから、わたしがいることは知っているけど、弟のことは死んだと思わせている。」


「そうね。あなたたちは知らないと思うから教えておくわ。その眼を持つものはラース家で管理されなければならない。その眼を持つものを増やさないようにね。そして、その眼を持つものはディアの名を持ち大公の継承権が発生する。」


「そういうのはいらない。」


「でしょうね。でも、あなた達をこのままにしておくわけにはいかないから、一緒に来てもらうわよ。」


 オーウィルディアはシェリーの手を取ろうとするが、シェリーは後ろに飛び退き


「ルーちゃん先にお家に帰っていて、このオカマをぶん殴ったらお家に帰るからね。」


「でも」


「ルーちゃんお願い」


 姉にそこまで言われたルークは背中を見せ走り出した。オーウィルディアはルークの後を追おうとしたがシェリーに阻まれ


「お引き取りをお願いします。」


「それは無理なお願いね。」


 そう言ってオーウィルディアはシェリーに手を伸ばす。スキル『聖者の正拳』をシェリーは発動させた。


伸ばされた手をそのまま掴んで投げ飛ばす。そして、そのまま地面を蹴り、飛んでいくオーウィルディアを蹴るが、飛ばされた瞬間空中で体勢を立て直され、受け止められた。体を捻り、距離を取る。


「あなたいいセンスね。一緒に冒険者しない?」


「結構です。」


「大陸中をプラプラするのは中々楽しいものよ。」


「結構です。」


 二人は会話をしながらも拳を突き出し、受け止め、振り上げ、なし、捻り蹴る。中々決定打が決まらない。流石に『聖人の正拳』を使っても、まだ体の未熟なシェリーと経験値豊富な筋肉隆々の大男とでは埋められない差というものが出てくる。


 しかし、それも突如として終わりを迎えた。


「シェリー。夕飯の時間過ぎてるけど、遊んでいないでいい加減、帰ってこないのかな?」


 シェリーはその声にイラついた。


「いつもは夕食はいらないって言ってる癖に今日はいるのか。」


 殺意がオリバーに向かい。美人の顔を殴ろうと拳を振るうが、魔術で作られた縄で簀巻きにされてしまった。


「今日は何を作ってくれるんだい?」


 と言われながら、小脇に抱えられる。


「もしかしてオリバー?死んだはずじゃなかったの?」


「ウィルも来るといい。シェリーのご飯は美味しいからな。」


 そうして、オーウィルディアを家に招くことになり散々手合わせを強いられ、シェリーはオーウィルディアに苦手意識を持ってしまったのだ。


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