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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
25章-2 冬期休暇-旅行先の不穏な空気

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「しかし、このまま放置するわけにもいきません」


 シェリーは真面目に答える。ルークの願いを叶える交換条件ではあるが、行うものがいないのであれば、やらなければならない。シェリー(佐々木)のクソ真面目な性格が現れてしまっている。


「だから、シェリー。今回はお仕事はお休み。ダンジョンマスター。現れた悪魔について聞きたいのだが、『次元の悪魔』は何体存在している?その中に魔眼持ちは混じっているのか?」


 カイルは再度シェリーに念押しをして、ユールクスに尋ねた。


「悪魔は2体だ。どちらも頭部がなく、攻撃力があるモノと飛行するモノだ。恐らく魔眼はなさそうだ。今はまだ、国境を超えていないが、あと、半刻(1時間)もすれば国境の街に接触するだろう」


 ユールクスにはどの様に見えているのかわからないが、どうやらまだ、悪魔はマルス帝国側にいるようだ。


「ユールクス様。それなら、国内に入って来るかどうか、まだわからないですよね」


 ユールクスの話を聞いてギルドマスターのリュエルが疑問を呈した。それはそうだろう。帝国に悪魔が存在するのであれば、ギラン共和国側に来るとは限らないのだ。しかし、ユールクスは首を横に振る。


「前回の時もそうだが、真っ直ぐ国境の街に向かって来ているのだ。まるで意志を持っているかのようにな」


「ユールクス様。そういう情報はなるべくこちらにいただきたいです」


 リュエルは焦ったように言って、『御前失礼します』と言葉を残し、何処かに去っていった。恐らく、シド総帥とフェクトス総統に連絡を取るために席を外したと思われる。

 ユールクスの言葉にはそれ程リュエルを慌てさせる事柄が含まれていたのだろう。


 慌てるように去っていくリュエルの背中を見送りながらカイルが話の続きを言う。


「その次元の悪魔の討伐はそこの4人にさせるから」


「「「「え?」」」」


 カイルが何を言っているんだという顔をしている4人を指して言った。そして、再びユールクスに視線を向ける。


「それで、核の浄化はシェリーが行うってことでどうだ?」


「構わぬ。ついでに近くまで送ってやろう」


 ユールクスはそれでいいと了承し、片手を振る動作をする。それに慌ててオルクスが声を上げた。が、


「ちょっと待····」


 オルクスが何かを言いかけたところで、この場にいたグレイとスーウェン、オルクスにリオンの姿が消えていった。


「恐らくだが、次元の悪魔と戦えることができるのは一人だけだ」


 後出しで、カイルはとんでもない事を言い出した。その言葉にシェリーは何も反応せず、ニコニコとルークにテーブルの上に常時置かれているお菓子を差し出している。


 ルークはあまりにも理解できない状況にオロオロしている。


「それぐらい構わない。こちらは核の浄化してくれれば問題ない。いざとなれば、ダンジョンに引き込めばどうにでもなる」


 ユールクスはカイルの言っている事がわかっていたようだ。それはそうだろう。レベルが120を超えたチート級と言っていい人族のシェリーが武器が揃ったところでやっと『次元の悪魔』に攻撃が通るようになったのだ。レベルが100前後の彼が戦えるかといえば、絶対に無理だとは言わないが、難しいことだろう。


「部下の一人を補助としてつけておけば問題ないだろう?」


 ユールクスはそれだけ言ってこの場から姿を消した。ダンジョンに入っていいかどうかという返答はなかったが、4人の彼らを何処かに移動させたということは、交渉が成立したと見て良さそうだ。


 ユールクスがこの場から居なくなるのは構わないが、ここの扉を管理していギルドマスターのリュエルが居なくなってしまっては、元も子もない。


 フードを深く被ったシェリーは再び受け付けの女性のところにおもむき、尋ねる。


「ギルドマスターは何処に行きましたか?早急にダンジョンの扉を開けてほしいのですが?」


「あ····申し訳ございません。何処に行くとは告げられなかったので、いつ戻られるか検討がつきません」


「ちっ」


 せっかくここに来てダンジョンマスターに了承を得たというのに、肝心のダンジョンへと繋がる鍵を開けるギルドマスターが居ないとは。

 シェリーは踵を返して、ルークの元に向かう。


「ルーちゃん。ギルドマスターが使えないから、少しフィーディス商会に寄ってから、別のダンジョンの入り口に行こうね」


 シェリーはリュエルをディスって、別の入口に行こうとルークを促す。しかし、ルークはここに来てから、自分には理解できない事が起こり過ぎて、思考が追いついていない。


「え?別の入り口?」


 ルークの頭の中はハテナがいくつもの飛んでいる。そのルークの手を取ってシェリーは立ち上がるように促し、このギルドを去るために足を進めた。


 ルークは姉であるシェリーを伺い見るもいつもと変わらない。姉を挟んだ反対側にいるカイルを伺い見るもニコニコと笑っているだけだ。

 傍から見れば仲のいい家族に見えることだろう。ルークの頭の中は全く別の事を考えてしまっていた。


__________


 フードを被っているがルークに向けて口元に微笑みを浮かべているシェリー。ニコニコとシェリーしか見ていないカイル。

 何も知らない人が見れば仲がよさそうですね。想いは一方方向ですが。




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