表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
25章-2 冬期休暇-旅行先の不穏な空気

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

439/867

430

 翌々日、色々準備をして、シェリーはルークを連れてギラン共和国の首都ミレーテの冒険者ギルドに来ていた。ギルドの転移の間から出て、そのままルークを連れて高ランク者しか立ち入れない2階へと上がっていった。もちろん、その後ろにはシェリーの5人のツガイたちが付いてきている。

 ルークはよく姉について出入りしていた王都メイルーンの冒険者ギルドとは違う雰囲気に周りをキョロキョロ見渡していた。


「ダンジョンに入りたいのですが、ギルドマスターいますか?」


 シェリーは2階の受け付けの女性に声をかけた。


「マスターですか?少々お待ち下さい。あと、ダンジョンに潜る日程はどれほど予定されていますか?」


「一週間ほどで」


 受け付けの女性の言葉に答えたのはシェリーの後ろにいたカイルだった。その言葉を聞いて受け付けの女性は席を外し、一つの扉に入っていった。


 シェリーはギルドマスターが部屋から出てくるのを待つのに2階の休憩スペースであるソファの一つにルークを連れていき、座るように促す。

 ルークは他国にも関わらずギルドマスターを呼び出す姉を見て、これもまたカイルの言っていたとおり、姉の人脈の広さの一端を思い知った。そのシェリーはというと、深くフードを被っており、表情を伺い見ることができない。


「ラースの。最近よく顔を出すな」


 そう言ってシェリーに声をかけたのは、ニヤニヤと笑みを浮かべた長身の男だ。その姿は白い髪から丸みを帯びた耳がでておりに黄色の目をフードを被っているシェリーに向けている豹獣人だった。


「今日は普通にダンジョンに潜る為にきたのです。弟も潜る許可をもらいたいのですが?」


 ギルドマスターのリュエルはシェリーの隣にいる少年に視線を向けた。そして、ルークを見定めように目を細める。


「これは、これは、麗しの魔導師殿にそっくりだな。それで、ランクは何になる?」


「冒険者ギルドには所属していません」


「はぁ、ラースの。何度も言っていることだが、ダンジョンに潜る許可が出せるのはBランク以上だ」


「オルクスさんはCランクですが?」


 以前ダンジョンの掃除に向かわせた4人は未だにCランクなので、本来なら潜ることができないランクである。本来なら、Sランクの実力はあるが、冒険者としての依頼をこなせていないため、未だにCランクであるだけなのだが。


「ラースの。オルクスの実力はよく知っている。リオン殿下の実力もだ。だから、ダンジョンに入る許可は出せるのだ」


「では、ユールクスさん。ダンジョンに入る許可をください。お礼はとある国の古都の風景でいかがでしょう」


 シェリーははじめからそのつもりであったように、何処ともなく声を掛けた。


『ラース。それも興味深いが、一つ頼み事を聞いてくれるのなら構わぬ』


 何処からともなく低い男性の声が聞こえてきた。そして、リュエルの後ろから緑の髪に金の目をした人が現れ···いや、裾の長い衣服を身に纏っているが、その下から見えるのは二本の足ではなく、蛇のような胴と尾があるナーガが現れたのだった。


「なんですか?また掃除ですか?」


 姉であるシェリーは普通に話してはいるが、ルークは新たに現れた存在に警戒感を顕わにした。人でも獣人でもない見たこともない存在に。


「なに。悪魔退治に行って欲しいのだ。倒すの構わないのだが、如何せん核の始末が面倒だ。燃やし切るのに5日もかかるのだ。それも『陰火の業』を消費しているから、少々割に合わん」


 ユールクスは肩をすくめながら言う。ユールクスの言葉にシェリーは深く被ったフードの下でユールクスに驚きの視線を向ける。そのユールクスの前にいたリュエルもユールクスが現れた時に一歩横にズレ、頭を下げて敬意を払っていたが、思わず頭を上げ、ユールクスに信じられないという表情を向けていた。


「どういうことですか?先日も悪魔が出たと言われましたが、別の個体ですか?」


 そう、ユールクスは『アルテリカの火』をシェリーが持ち去った時にもそのような話をしていたのだ。


「別であるな。どうも帝国の方がキナ臭いようだ。個人的には北の国境を封鎖したい気分だ。いつだったか、一度精霊が物理的封鎖していたことがあったが、同じことをして欲しいぐらいだ」


 ギラン共和国とマルス帝国の間には高い山脈が連なっており、それが国境となっているのだが、一番北の海側の一部だけ平地となり、山越えをせずに行き来できる唯一のルートなのだ。

 ただ、ここで問題になってくるのが、ギラン共和国の物流だ。はっきり言ってその北側の平地である国境がギラン共和国の大動脈と言っていい。なぜなら、東側は高い山脈が連なっているが、その間にほぼ鎖国状態と言って良いシャーレン精霊王国が存在し、南側は狂王モルテ王が治めるモルテ国があるのだ。そして、西側は海があり、今現在帝国の船から攻撃を受けるため、頻繁には船を出せない状態だ。

 そこで、北の国境を封鎖しようものなら、正に陸の孤島となってしまう。


「ユールクスさん。それなら「シェリー」···」


 シェリーの言葉をカイルが遮った。そのカイルに一体何だという視線を向ける。


「今回はお役目はお休み。休暇に来たのだから仕事はお休み」


 カイルは真面目にユールクスの言葉に答えようとしたシェリーに、今回は答える必要はないと、首を横に振ったのだった。




ここまで読んでいただきましてありがとうございます。


次回、カイルの無茶振り

(まだ、チェックが終わってないですが···)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ