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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
25章-2 冬期休暇-旅行先の不穏な空気

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「ただいま。姉さん」


 ゴタゴタと色々あったがルークがニールの計らいで軍部の見学という名の強制的にシェリーから引き離されて、早一週間。約束の日の夕方にルークが屋敷に帰ってきた。


「ルーちゃん、お帰り。怪我はしてない?」


 ルークが帰ってくる2刻(4時間)前から玄関で待っていたシェリーが満面の笑みでルークを出迎える。


「怪我はしてないよ。広報の人はみんな優しかったし、色々教えてもらって楽しかったよ」


 ルークも笑顔で答えるが、今までならルークが困るほどギュウギュウに抱きしめきたシェリーが言葉だけだと、少し寂しい気持ちになり、微笑苦を浮かべる。そろそろ姉離れをしないといけないと。


「そう、それは良かった。荷物を置いてきたら夕食にしようね。そのときに色々お話し聞かせてね」


 シェリーはそう言って、ダイニングの方に向かって行く。その後からカイルが付いて行く姿をルークは眺めながら、なんとも言えない気持ちになる。

 ルークには母親がいない。姉が母親代わりルークを育ててくれた。久しぶりに家に戻ってくれば、知っている人物が姉の番として、家族が住む家にいるということは、なんとも複雑な気持ちになると、ため息を吐きながら、二階に上がる階段をルークは上っていく。姉を取られてしまったと。




「ランフォンス殿下とも仲良くしてもらったんだ」


 夕食を食べながら、ルークがこの一週間あったことを話している。シェリーはそれを笑顔でうんうんと聞いており、カイルはその笑顔のシェリーをニコニコと眺めている。

 オリバーはルークの話を聞いているのか聞いていないのかわからないが、黙々と食事を取っている。


「それで、今日殿下と一緒にライターさんのところに行ってね。確か、リッター君だったかな?ウサギ獣人の彼とも仲良くして欲しいと言われたんだ」


 ウサギ獣人のリッターとは第9師団長のファスシオンの息子のことだ。騎士養成学園の合格発表の時にルークに突っかかってきたリッターをシェリーがボコボコにして、ライターに預けて鍛えてもらっている少年だ。


「それで。ライターさんのところに行ったら、姉さんにそっくりな男の子がいたんだよ。すごく似ていてびっくりしちゃった」


 その言葉にシェリーが笑顔のまま固まってしまい、オリバーは食事の手を止めてルークを見た。話しているルークはシェリーとオリバーの異変には気がついてはおらず、そのまま話を続けている。


「ユーマっていう子なんだけど、姉さんと同じ黒髪で、でも目は黒かったんだけど、姉さんに似ていて、気になったから話をしてみたら、来年騎士養成学園を受けるって」


 黒髪。確かシェリーはユウマにシェリーが持っていたペンダントの予備を渡していたはずだった。だから、金髪の黒目の少年のはずだが、ライターはナオフミのお目付け役にされていた人物なので、外に出なければ、わざわざ姿を変える必要はなかったのだろう。


「それで、仲良くできたらいいなって思ったんだ」


 ルークは楽しそうに話しているが、シェリーとオリバーはどうするかと、視線だけで会話をしてる。

 ルークとユウマは異父兄弟だ。シェリーと似ていると思ったもの間違いではない。シェリー自身は認めたくはないが、ユウマと同じ父親の血を引いていることは確かなのだ。

 しかし、ルークは仲良くしたいと言ってはいるが、ルークの事がユウマからナオフミの耳にでも入れば、ナオフミがどう動くかわからない。

 ここは、事情を説明してユウマと距離を置くように言うべきか、それとも何も言わざるべきか。


「それで·····。どうかした?」


 ルークはここでやっと二人がおかしいということに気がついた。何か変な話をしてしまっただろうかとルークは考えるも、この一週間のことを話していただけなので、おかしなことは何もないはず。

 シェリーは困ったように笑い、首を横に振る。大丈夫だと。

 しかし、オリバーはこのことに関しては、放置はできないとルークに言葉をかけた。


「ルーク。食事が終わったら、少し話をしよう」


 珍しく父親であるオリバーから声をかけられたことに、ルークは驚きを隠せない。ルークにとってオリバーは父親ではあるが、魔導術を教えてもらう以外、コレと言って関わりがないと言ってよかった。

 ルークの身の回りのことは全てシェリーが行ってきたし、一日一度顔を合わせればいいような関係だ。父親というより地下に籠もっている同居人のイメージの方が強かった。


 そのオリバーが魔術のこと以外でルークに話をしようというのは、ルークにとってはとても驚くことだった。


_____________



補足 


 オリバーは父親らしいことはルークに対して行っていなかったのは、オリバー自身も父親がどういうものかわかっていないからです。ただ、師と仰ぐ人物がオリバーにとって唯一の家族であったがために、その師との生活が基準になっています。

 シェリーもオリバーにそこまでの事を求めていなかったことも大きいです。



本日から『聖痕の聖騎士』の長編小説を始めました。見切り発車です。興味がありましたらよろしくお願いいたします。

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