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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
25章-1 冬期休暇-辺境から忍び寄る影

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「取り敢えずクソ狐と面会したいのですど、可能ですか?」


 全くもって見当違いなことをシェリーは言った。ここはナヴァル公爵家であって、王宮ではない。


「了解しました!このセーラにお任せくださいませ!」


 しかし、セーラは心得たと言わんばかりに姿勢を正してシェリーに返答する。


「それからユーフィアさんと込み入った話がしたいです」


「それは駄犬の妨害をすればいいという事ですね!お任せください!では、中へどうぞ」


 セーラは全て分かっていると頷いて中に案内した。駄犬とは恐らくここの当主である第6師団長のクストのことだろうが、仕える者としては問題発言だ。

 しかし、シェリーはセーラの言葉に頷いて、エルフの女性を引っ張って中に入って行く。シェリーとしても、第6師団長の横槍はうざいので、避けたいと思うのだった。




「あら?セーラ。シェリーさんを作業場にお通しするなんて、いけないわ。散らかっていますのに」


 セーラがシェリー達を連れてきたのは、ユーフィアが魔道具を作っている最中の部屋だった。これも普通はありえないことだ、客人を女主(ユーフィア)の私室と言っていい作業場に通すなんて。


「奥様。シェリーさんが込み入った話がしたいとおっしゃりましたので、こちらに連れてまいりました!」


 セーラはシェリーの要望を叶えるために、ここに連れてきたようだ。


「まぁ?そうなの?散らかっていますけど、こちらにどうぞ。マリア。お茶の用意をお願いできるかしら?」


 ユーフィアは壁際に控えている金狼獣人のマリアに話しかける。お茶の用意をするように言われたマリアは頭を下げ『かしこまりました』と言ってユーフィアの作業場を後にしたが、その後姿は主に命令をされて嬉しいのか、取れんばかりに尻尾が振られていた。



_____________


給湯室 side


「マリアさん!少しお出かけしてきて、よろしいでしょうか!」


 マリアの隣で茶器を温めているセーラが近所にでも出かけてくるように、許可を求めてきた。


「セーラ。客人が来られているというのに何処へ行こうとしているのです?」


 ユーフィアの客人ではあるが、なにかと問題を持ってくるシェリーが訪ねてきたのだ。ただ事ではない。

 きっと、とんでもない事を持ち込んできたに違いないと、マリアは警戒感を持ち、セーラに対し、こんな時に何を言っているのだと不快感を示す。


 しかし、セーラは不快感を示すマリアを気にもとめず、決定事項のように言い切った。


「マリアさん!シェリーさんが愚兄に用があるというので、呼んできます!」


「セーラ。国王陛下を出迎える体制がそんな直ぐに整いません。無理です」


 セーラが愚兄と示すのがこの国の王だと、理解しているマリアはすぐさま否定をする。


「えー。愚兄なんて、その辺の床に座らせとけばいいのです!では、行ってきます!」


 そう言って、セーラは給湯室の窓から王宮に向かって出ていった。その姿にマリアはため息を吐く。

 その内この公爵家の当主の耳に入り、騒がしくなる事は予想ができると、再度マリアからため息がこぼれ出た。



_______________


作業室 side


 シェリーの前には紅茶と茶菓子が置かれている。その置かれているテーブルといえば、ユーフィアが魔道具を作るための作業台だった。

 突然来たシェリーに対してユーフィアは作業していた手を止め、こころよく迎え入れてくれた。


 シェリーの座っている隣にはもちろんカイルがいるが、その反対側には突然何処ともしれない場所に連れてこられて、目の色を白黒させているエルフの女性を掴んで座らせている。


「それで、シェリーさん。今日はどうされました?」


 ユーフィアはにこにことシェリーに尋ねる。それに対しシェリーは無表情で今回来た理由を話しだした。


「まずは、ユーフィアさんに紹介したい人がいます。こちらの女性はマルス帝国の奴隷をしていた女性になります」


 その言葉にユーフィアはなんとも言えない表情をする。その主の姿を見たマリアがシェリーを無言のまま睨みつけるが、シェリーは無視をしてそのまま話続ける。


「この方は不具合の魔道具を作り続けているハルナ・アキオさんの事を知っているようなので連れてきました」


 不具合の魔道具。シェリーの言葉にエルフ族の女性が立ち上がってシェリーに文句を口にする。


「アキオ様は素晴らしい方だと申しております!」


「という感じの方です」


 シェリーはエルフ族の女性の文句には付き合うつもりはないようだ。


「それでですね。この人を預かって欲しいのです」


「何を勝手なことを!」


「ラースの小娘!また、奥様にいらないものを押し付けようと!そんなことは私が許しません!」


 シェリーの言葉にエルフ族の女性は憤りを現し、マリアは怒りを顕にした。ただ、ユーフィアは首を傾げ困った顔をしていた。




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― 新着の感想 ―
[気になる点] ユーフィアはそろそろ自分の過去に向き合うべきだと思うんだ、 悪意があった訳じゃないにしろ自分の過去の発明がいまだに多くの人間を不幸にしているのに ただ目を逸らして忘れたフリしてるだけっ…
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