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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
2章 闇と勇者と聖女

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「ほんま、自分性格悪いなぁ。あの取引の後も煮え湯飲まされたしなぁ。でも、ビアンカを外に出すのは嫌やな。」


「それは番としてですか。それとも守る自信がないのですか?」


「おい、お前さっきから、勝手なことばかりいうな。父ちゃんは強い。聖女の母ちゃんは守られるべき大切な存在だ。家族をバラバラにするな。」


「守られてばかりの弱い少年は口を挟まないでいただきたいですね。家族を養う為に働きに出る親は一般的です。このような箱庭で、親が常に共に居続けることは稀ですよ。

 キミぐらいの子供は親の仕事を手伝うか、将来の為に学校で勉学に励むか、一人立ちして生きていくために働いているものもいるのです。

 それに母さんが弱い?笑わせないで下さい。キメラを一撃で仕留める聖女ですよ。キミより確実に強いです。」


 これ以上口を挟むなとシェリーはいう。


「そうね。家族を守るために、お兄様を助ける為に、国を守るために、わたくしは行動を起こさなければならないのですね。」


 ビアンカの目に強い意思の光がさした。


「手始めにこの結界の外から始めればいいでしょう。できれば3年以内で終らせてください。」


「まあ。それは大変ですわ。」


「それでは邪魔者はさっさと退散させていただきます。5年前にも言いましたが、余程の事がないかぎり二度とここにはきません。お邪魔しました。」


 シェリーは血縁者に背を向け、カイルもそれに続き家を出る。

 しかし、丘を下ったところで声がかかる。


「おい。」


 シェリーは無視をする。


「聞こえてんだろ、姉さん。」


 シェリーは足を止め振り向く。そこには、ナオフミと声を掛けたユウマがいた。


「俺を外に連れて行ってくれ。」


「・・・」


「聞こえてるのに無視すんなよ。」


「黒髪、黒目のトラブルを連れて歩きたくない。喧嘩腰の弱っちいクソガキの面倒はみたくない。これからマルス帝国に行くのに問題だらけのガキを連れていくメリットがない。」


「あんたは髪の色を変える方法を知っているんだろ?口の悪さは直す、します。外の世界に行ってみたいんだ、です。」


「そこの勇者に連れて行ってもらえばいいではないですか。」


「佐々木さん、たのんます。このとおりや。」


 ナオフミがシェリーに向かい頭を下げる。

 

「佐々木さん、確かシーラン王国に住んどうって言ってたやろ?あそこは、騎士の学校も魔術の学校もあるって聞いたことあるんや。佐々木さんの話聞いて俺はこいつらに学校も行かしてないことに気いついたんや。だから、たのんます。」


 シェリーははぁとため息を吐く。


「1~2週間後にまた此処を通ります。中には入りません。結界の外で火花を打ち上げるので1刻(2時間)待ちます。行く気がその時、まだあるなら来て下さい。それと」


 シェリーは腰のバックから青いペンダントを取り出し


「ユウマさん、これを母さん渡してユウマさんに合う術式に変更してもらうようにお願いしてください。決してナオフミさんに渡してはなりません。」


「そないにゆわれたら気になるわ。佐々木さんのこれ。」


 ナオフミは一瞬でシェリーに近づき首からペンダントを取り上げた。

 黒髪でピンクの目をした美しい容姿の少女が現れる。ユウマは唖然としてシェリーを見ていた。


「なんやこれ、なんか覚えのある魔力が」


 ワオォォォォ━━━━ン


 突如、遠吠えが辺りに響く。


「返して、早く。」


「なんや?」


 ドーン!と結界の外で爆発音が響く。


「この国にいるんです。早く。」


「まさか」

「何がや?」


 カイルの困惑の声とナオフミの疑問の声と結界が壊れる音が重なる。


「5人なんです。私は5人。」


「なんやて。」


 ナオフミは驚きの顔でカイルを見る。

 そして、何かが一直線にこちらに向かって来た。


「終わった。やはり小嶋さんに関わるとろくなことがない。」


 困惑しているカイル、状況がいまいち分かっていないユウマ、驚愕の事実を知ったナオフミ。

 そして、死んだ目をしたシェリーがたたずんでいた。

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