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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
2章 闇と勇者と聖女

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「『次元の悪魔』聞いたことないな。」


「オリバーがそう言っていただけで、セイルーン竜王国では他の名前がつけられているかは、わからないです。」


そう言っている間に片足が出てきた。


「完全に出てくる前に切り刻んだ方がいいのか。」


「あっ。それはやめた方がいいらしいです。出現中に攻撃したナントカ団長が次元の挾間に吸い込まれたとか。これもオリバー談。完全に出てきて、次元の狭間が閉じたら攻撃していいです。魔術は効かず、その上位の魔導か、物理攻撃のみが効果ありと聞いています。」


「それは厄介だな。」


「今のうちに半径1キロメルの結界を張ります。これは他の人が巻き込まれない様に人を入れないためのものなので、次元の悪魔の攻撃で簡単に壊れます。」


「わかった」


 そして、出てきていなかったもう片方の手足も狭間から出て来て、全体の姿が顕になった。

 6~7メルはあろう黒い体、太く振り回せばその辺りの建物など簡単に壊せそうな黒い手足。血管の様に全体に這う赤い線がはしり、あるべき場所に頭部がない。簡単に表現するなら頭がない黒い巨人だ。

次元の悪魔が一歩踏み出す。こちらにはまだ気がついていないのかこちらの方向ではなく横を向いている。

 2階建ての建物と同じぐらいなので、小さいシェリー達には気づかず、逃げ惑い動く人々に目が行っているようだ。目があるのかは確認できないが。


 シェリーはスキル『聖人の正拳』を発動させる。


 このスキルはオリバーから次元の悪魔の事を聞いたときに創りだしたスキルだ。魔導が使えず魔術しか使えないシェリーには対処のできないモノだと感じたからだ。そして、このスキルが使えるか試さなければならないと拳を握り混む。


「次元の狭間が閉じたので、行きます。」


 シェリー自身に加速と防御力増加をかけ、地面を蹴る。


「シェリー待っ。」


 カイルが声をかけるがそのまま、黒い巨体に拳を奮う。膝裏に命中し、膝かっくん状態でバランスを崩し足止めをする。

 そして、地面を蹴り肩の関節をもぎ取ろうと腕を振り上げ打つ。コブシが肩に当たった瞬間 、シェリーは強い衝撃を受け、ぶっ飛んだ。


「シェリー、待って言ったのに。」


 シェリーはカイルに後ろから抱えられていた。


「俺がいること忘れてない?どうすればいいか教えてくれるかな。1人より2人の方が勝率上がるよ。」


「はぁ。」


 スキルが通じるか試したかったのが、先走ってしまった。しかし、結果は通じるがそこまで思った程ダメージを与えられなかった。

 次元の悪魔の肩を見ても多少傷をつけたが、腕一本持って行く事ができず、カウンター攻撃を受けてしまった。


「取り敢えず四肢の動きを止めて体部から魔核を取り出して浄化します。この個体は腹の中央のにありますのでそこを切り込みます。思ったより攻撃が通らなくて残念です。」


「シェリーは魔術師だから無理をしなくても大丈夫だよ。」


 上から風圧を感じあおぎ見る。カイルがシェリーを抱えたまま後ろに下がれば、今までいたところに黒いコブシが降ってきた。石畳の破片が飛び散り1メル程地面が陥没した。


「わたしは足止めをするので、腕を切り落として下さい。」


「わかった。」


 シェリーは先ほど攻撃した同じ足の膝に横から攻撃を加える。力が重視の個体なのか速度は遅く、崩れ行く体を支える反対側の膝も攻撃し、関節を壊し即座に離脱。

 前に倒れ行く先にはカイルが剣を構え下から上に振るった。その衝撃で巨体な体はのけ反り、両腕が離れていく。シェリーには分からなかったが2回切ったようだ。青黒い体液を流しながら巨体が倒れ石畳を破壊していく。

 すぐさまシェリーは胴体の胸の上に飛び乗り踵落としをくり出し、巨体をさらに沈めた。


「カイルさん、腹のこの辺りを横に切ってください。」


 カイルがシェリーに示されたところを切り裂き、そこにシェリーは腕を中に突っ込み目当てのものを探す。


「気持ち悪い」


 どろどろと絡み付く粘液をかき分け人の頭部程の大きさの塊を掴みとる。青黒いねばつく体液の中から取り出した瞬間、巨体の体がさらさらと黒い砂状に溶けだして消えていった。残ったのは人々の怒り苦しみ悲しみなど色々な負の心がつまった黒い塊だけになった。

 シェリーはそれを浄化せずに昇華をしようと言葉をつむぐ。


「『全ては世界の理の中に戻れ』」


 シェリーの全身が金色に輝く。怒り苦しみ悲しみの心がそれぞれが居場所を求め蠢いていく。

 理不尽な死はどこに怒りを向ければいい。

 今日食べることもままならない苦しみはどこに迎えばいい。

 こぼれゆく命への悲しみはどこへ迎えばいい。


「『まわれまわれすべては神の身許にすべてのものに安寧の地へ』」


 一つ一つ心はひかり輝き、黒い塊から離れていく。


「『すべてはシャングリラへ』」


 小さなひかりは空へ向かい解き離れていった。



来ていただきましてありがとうごさいます。


挿し絵を本文にのせるのは賛否両論あると思いますので、活動報告にのせております。

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