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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
20章 趣味と実用性を兼ね備えたモノは奇怪な存在

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「ギルドはいつでも行けるよな。」

「報告だけならいつでもいいですよね。」

「こっちの方が大事だ。」

「シェリーがそう判断した理由が知りたい。」


 カイル以外の4人から案の定、否定する言葉が出てきた。そんな4人をカイルは自分の分の朝食を食べながら見ている。シェリーは自分の要望が通らなかったことで、死んだ目をしてスーウェンに抱き寄せられていた。死んだ目をしたままシェリーはため息を吐きグレイを見る。


「グレイさんは陽子さんが言っていた様に平凡なステータスですよね。それじゃ、鎧の剣を受け止めることも鎧が修復する前に決定打を打つこともできないですよね。」


 グレイが撃沈した。次にシェリーを抱き寄せているスーウェンに視線を向ける。


「スーウェンさんはSクラス級と戦ったことないですよね。その辺りのクラスになると魔導術を発動する前に接近されて、対処できなくなります。オリバーは近接戦も得意ですよ。エゲツない程に」


 エゲツないが何を指しているか分からないが、シェリーがそのような言い方をするような事柄があったのだろう。シェリーに指摘され、スーウェンが固まってしまった。それも同じ魔導師であるオリバーの名を出され、比較されてしまった。


「オルクスさんは絶対的強者と戦った事が無いですよね。」


「ん?総帥と手合わせすることもあったし、最近じゃカイルとも手合わせするぞ。」


「はぁ。そうではなくSクラス級の魔物と命を掛けた戦いです。」


「それは無い。」


「挑戦者として相手を見極める目がないのです。端的に言えば、剣を相手に向けて振っているだけです。格下しか相手にしてこなかったことで得ることの無かったものですね。だから、駄目なのです。」


 あの謎の生命体から与えられた質により、傭兵として剣を持つのであれば十分な力は元から持っていたオルクスは己より強い相手に剣を構えることはなかったのだ。


「ぐっ。」


 シェリーの指摘に席に着いて、項垂れてしまった。リオンにはカイルが言ったことで十分なので、シェリーは何も言わず、自分の食器を持ってキッチンに入っていく。


 キッチンの片付けを終える頃にダイニングの方からボソボソと声が聞こえてきた。シェリーから受けた言葉という致命傷から復活して、何かを話し合っているのだろう。それを無視をしてシェリーは廊下に出て地下へ向かっていく。


 地下の階段に蠢いているよくわからないモノを蹴飛ばしながら降りていき、突き当りにある扉を開けてそのまま中に進んでいく。普通なら扉をノックして住人の了承を得なければならなのだが、ノックしても返事がないのが通常なので勝手に入っていく。


 部屋の奥でオリバーが満足そうに眺めているモノを横から蹴飛ばしてシェリーはそのモノを足蹴にした。


「何をするのだね。折角修復したのだよ。」


「折角壊したのに。」


 そう、オリバーが満足そうに眺めていたモノは昨日カイルが破壊した龍人アマツのステータスを付与した鎧だった。それも額の部分と両腕に魔石が追加され、バージョンアップされていた。


「なぜ、魔石を増やしているの。」


「もちろん龍化しても問題無いようにだよ。」


「危険なので、これは破棄です。」


「これだけのモノを破棄するなどもったいない。しかし、彼らに辛辣な事を言うものだね。」


「はぁ。それを聞き出したのは彼らのほう。本当に面倒臭い。」


 シェリーは本気で面倒臭そうに言葉を放つ。そんなシェリーを目を細めて見つめるオリバー。


「番とはそういうモノだよ。彼らも必死なのではないのかね。」


「必死ねぇ。はぁ。取り敢えず天津さんのステータスを持つ鎧は破棄。あと、陽子さんのご機嫌が悪いから、彼らがダンジョンをまともに攻略するまでラースには行かない。ルーちゃんの冬季休暇が終わるまで行かないから。できればずっと行きたくない。」


「わかった。わかった。しかし、ラースに行かないとまた女神が誘いに来るのではないのかね。」


「分かっているけど、行きたくない。」


 そう言って、シェリーは地下のオリバーの部屋から出ていく。そして、横に続く通路をちらりと横目で見て、目の前の階段を上って行く。冒険者ギルドに行く用意をするために




「ああ、確かに。」


 ニールが数枚の依頼用紙にサインをしながら、シェリーに言った。そして、新たに依頼用紙を差し出しながら


「次はこれな」


 そう言うニールの腕にはオリビアがくっついている。


「多すぎませんか?今回10件だなんて」


 文句を言うシェリーの横にいるカイルは普通な感じだが、後ろにいるグレイとスーウェンとオクルスとリオンは暗い雰囲気を醸し出してた。あれから、何かを話ていたようだったが、どうしたのだろうか。


「王都周辺はどうもないのだが、辺境に行くほど魔物の活動が活発になっていてな。使える冒険者が辺境に行ってしまって、王都の冒険者が少なくなっているんだ。」


 そう言って、ニールはタバコを咥えて火をつける。

 どうやら、ベテランの冒険者は遠くの依頼をこなしているため、ニールが受け持つ特殊依頼を頼める冒険者がいないようだ。



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