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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
17章 不確定な未来と不穏な未来の予兆

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 シェリーは朝日の眩しさを瞼に感じ、目を開けると金色の目が・・・いつも思うのだが、起きているなら起こせばいいのにと思いつつ。


「起きたいのですが、離してくれません?」


 いつものことだが、シェリーはカイルに抱き寄せられていた。


「おはよう。シェリー。」


「おはようございます。で、離してくれませんか?」


「もう少し、こうしていたいな。」


「あまり、遅くなるとオーウィルディア様に文句を言われるではないですか。」


「そうだね。まだ、彼らは時間がかかりそうだし、二人っきりの時間を邪魔されないからいいか。」


 カイルはシェリーとの時間をまだ堪能できるとして、シェリーを離してくれた。

 シェリーは朝日・・・疑似太陽の光が入ってきている窓から外を見る。言われなければここがダンジョンだと分からないぐらいの場所だった。

 石畳の道が横に走っており、それに沿うように、木造の壁に瓦屋根。美しい格子窓。そのような建物がところ狭しと並んでいる。まるで麗江の旧市街を模したかのようだ。その3階にシェリーはいる。


 シェリーは身なりを整え、空間に向かって呼びかける。


「ユールクスさん。炎王はどうされていますか?」


 シェリーの呼びかけにナーガのユールクスが姿を顕した。


「ああ、不貞腐れているが、ギルドの一室に押し込めている。」


 どうやら、炎王はユールクスから逃れようとしたらしいが、捕まってしまったようだ。


「なんと説明していますか?」


「詳しくは言っておらん。ラースが用があるので少し待てとしか言っておらんのに転移で逃げようとしたから、配下の者に見張らせておる。」


「そうですか。そこに連れて行ってください。」


「ああ。」


 そう言いてユールクスは木の床を(ゆび)()すと、そこに転移陣が出現した。


「これに乗れば、黒龍のところに行ける。」


「ありがとうございます。」


 そう言って、シェリーは陣の中に入り、カイルもそれに続く。そして、二人はダンジョンから消えた。



「だからー。炎王さま。あたしの言うこと聞いてくれないと締めちゃいますよー。」


「だから、なんでお前の言うことを聞かなければならないんだ!」


 シェリーはギルドの一室だと思われる部屋に転移したのだが、ユールクスと同じ上半身は人だが、下半身が蛇の胴と尾の姿である女性の尾にベッドの上で巻き付かれている炎王がいたのだ。それはお取り込み中なのだろうかと一瞬考えてしまう光景だった。


「あ!佐々木さん!一体なんの用だ!早くこの状況から解放しろ!」


 炎王がシェリーの姿を捉えて文句を行っている。しかし、念の為シェリーは聞いてみる。


「お取り込み中ですか?」


「んなわけねーだろ!見てわかんねーのか!」


 相当苛立っているようで、言葉遣いが荒くなっていた。

 そんな炎王にシェリーは近づいて行き、押さえつけられている炎王の胸ぐらを掴んだ。


「ありがとうございます。無事確保できました。」


 シェリーはナーガの女性にお礼を言うとその女性は尾を解き炎王を解放した。


「あたしはマスターから言われた事をやっただけだからね。お礼を言われることじゃない。」


 そう言いて女性は消えていき、炎王はシェリーに胸ぐらを掴まれながら


「確保って何だ!確保って!」


 文句を言っている。

 そんな炎王に向かってシェリーはいつも通りに淡々と


「悪魔退治に行きましょう。」


「は?悪魔?」


「次元の悪魔です。炎王がこの国に来てくれて良かったです。とても、とても、良かったです。ギルドで見かけた瞬間ぶっ殺すと思いましたけど、来てくださってありがとうございますと感謝します。」


「いやいやいや。絶対にそうは思ってないだろう。俺、これでも一国を背負っているんだよ。」


「隠居して、水戸黄門様並にあちこちで色々してますよね。」


「それは物語だ!当の本人はそんなにあっちこっち行ってない。」


「そして、徳川の良いように歴史書の改竄を行った。」


「それはしてないだろ!」


 二人しか分からない会話を聞いてカイルがゆらりと二人の元に来て


「前から思っていたが、二人は仲が良いよな。」


 とボソリと呟いた。


「普通です。」


「俺に嫉妬するな!殺意を向けるな!佐々木さんなんとかしろ!」


「それでは悪魔退治に行きましょう。」


「絶対、俺に関係ないよな!」


「関係ないと言われれば関係ありませんが、私の腹の虫が収まらないのも事実。」


 そう言ってシェリーは炎王をベッドから引きずり落とし、床に立たせた。


「それって、ただの嫌がらせ?」


「そうとも言います。カイルさん。炎王を捕まえておいてください。」


 シェリーは炎王をカイルに引き渡すが


「痛い!痛い!それ骨が折れる。」


 炎王の腕を掴んだカイルは力加減を間違えているようだった。


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