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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
16章 英雄の国

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「リルラファール?」


 オルクスは金狼獣人の名前を疑問系で尋ねる。そう、初代英雄の名前と一文字しか変わらない名前だからだ。


「リル団長(仮)です。」


「ネール!団長は俺だ!」


 どうやら、審判をしているネールという男性はリルラファールを団長だとは認めていないらしい。


「ネールに認められていないのか、大変だな。ああ、いつでもいいからかかってこい。」


 ネールという人物はここでそれなりの立場の人物なのだろう。そして、オルクスはさっきから威嚇しているリルラファールにいつでもかかって来ていいと言う。その言葉を聞いたリルラファールは顔を真っ赤にし、剣に添えていた手は柄を握り剣を鞘から抜き、オルクスにそのまま攻撃をする。


「踏み込みがあまいね。」


 その姿を見ていたカイルが言葉を放つ。はっきり言って名前負けだ。狼獣人の攻撃の良さであるスピードを活かした攻撃力が全くなっていない。公子として基本的な剣術しか教えられていないグレイのほうが断然マシだ。

 まぁ、最近はオルクスやカイルに剣の相手をしてもらっているので剣の腕は始めの頃より断然上がってはいるが、そんな公子であったグレイより劣る傭兵団長は団長として必要なのだろうか。はっきり言ってシド総帥の人選ミスだ。


 オルクスはそんなリルラファールを相手に剣を抜かず、突進してくる剣を横に避ける。何度も切りかかってくるリルラファールの剣を避け続ける。


「くっ。このっ!まともに相手をしろ!」


 当たりもしない剣を振り続けるリルラファール。


「いや。剣を抜くまでもないだろ?」


 剣を避け続けるオルクス。


『やっぱオルクス団長のほうがいいよな。』

『断然に強いよな。』

『甘々で育てられた坊っちゃんだからなぁ。』


 なんて声が周りから聞こえてくる。その声もリルラファールは聞こえているようで、繰り出していく剣筋が段々雑になってきた。

 はぁ。話にならない。シェリーは手を前にかざす。そして、新たなスキルを構築していく。


「『亡者招来(死者の召喚)』」



 スキル 亡者招来(死者の召喚)

  亡者(もうじゃ)の強襲 クラスS(人族、獣人族バージョン)で召喚出来た者を個人指定で召喚できる。

  個人指定するんだ。でも、名前を知らないとできないよ。


 クラスSということは女神ナディアにレベル90如きと言われた英雄は召喚できない。できるのはレベル100以上の者だ。そして、シェリーの目の前には水色の髪に金色の目。そして、頭の横から角が生えているが、その先は2つに分かれている。その姿は炎王と同じく龍人の姿だ。


「あれ?佐々木さん?今日も訓練?」


「天津さん、お久しぶりです。」


 そう、シェリーが召喚した亡者は英雄の一人である水龍人のアマツという女性だった。そう、アマツ。謎の生命体がこの世界のために喚んだ一人だ。


「久しぶりなのかな?よくわからないなぁ?で、今日はどうしたの?他の人は見えないけど?」


 いつもは亡者(もうじゃ)の強襲で5人の亡者が居るはずだが、今回は一人(アマツ)だけしか亡者はいない。


「段々腹が立ってきたので、私の相手をしてくださいません?龍化で。」


「え?いいけど?ここはどこかな?いつもと違うところみたいだけど?」


 そう言ってアマツは周りを見渡している。


「貴女が死んで1000年経ったギラン共和国です。」


「そうなの!1000年も国が持つなんて凄いじゃない!ねぇ。手合わせが終わったらこの国を見てみたいなぁ。」


 確かに己が作り上げた国がどうのようになっているのか気になるの仕方がないことだろうが、亡者が長時間うろついていても大丈夫なのだろか。


「私の魔力はそれぐらいなら持ちますが、世界はどう見ますかわかりません。」


『いいよー。面白いことになりそうだし。』


 突然シェリーの頭に謎の生命体の声が響いた。いいよと言う許可はもらったが、面白いことになりそうという言葉が気になる。


「許可はでました。ギルドに行くまでならいいです。」


「やった!」


 アマツは両手を打って喜んだ。そんなシェリーとアマツのやり取りをここにいる者達全員が注目して見ていた。傭兵団の団員も当然のことだが、さきほどまで、剣を振るっていたリルラファールも相手をしていたオルクスも審判をしていたネールもだ。それはそうだろう今までいなかった龍人の女性が存在しているのだ。それも、伝説と言っていい英雄である水龍アマツの特徴を持った女性だ。


 シェリーはアマツを伴って訓練場の中央に向かって歩いて行く。そして、リルラファールに向かってシェリーは言葉を放った。


「お犬様。邪魔。」


『ぶっ。』団員の誰かが吹き出したようだ。


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