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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
15章 コルバートの魔女

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「グレイさん。やはり問題になっているではありませんか。私は言いましたよね。ラース家に残るようにと。」


 シェリーは項垂れているグレイを見て言う。確かにシェリーはミゲルロディア大公閣下と話し、転移させたあとグレイに言っていたのだ。これからラースは大変になるので残るようにと。シェリーのこの言葉はツガイに対して拒否を示す言葉でもあったが、グレイが女神の加護を受けていることで、シーラン王国に来ることはならないという意味も込められていたのだ。


「でも、叔父上がいいと言ったし、兄上も大丈夫だと。」


「叔父上というのは誰のことです?確か3人おられましたよね。」


 マリアがグレイにとって叔父に値する人物を確認してくるが


「まさかあの勇者とは言いませんよね。」


 確かに勇者であるナオフミも叔父と言えば叔父だ。グレイは直ぐに否定をする。


「違う。オーウィルディア叔父上だ。」


「オーウィルディア様もグリードに戻っていらっしゃるのですか。聖女様と勇者もグリードに入られ、オーウィルディア様も戻っていらっしゃる。その様な事態になっているのに貴方は国を出たのですか?」


 マリアはラース公国で何かしら起こっていることに感づいてしまったらしい。


「う。」


「もちろんこのことは金狼族の族長には報告してあるのですよね。」


「爺様にはまだ言っていない。」


「言葉遣い!」


「いません。」


 また、グレイはマリアに言葉遣いを注意されている。


「では、今すぐ行って私には言えない内情も全て報告して来なさい。このことはラースと我が金狼族ガレーネとの契約に関わってきます。」


 なにやらグレイのことでラースと金狼族との間で取り決めたことがあるようだ。


「グレイさん。ギラン共和国は遠いですけど、気をつけて行って来てください。そして、そのままラース公国に戻ればいいと思いますよ。」


 シェリーはラースのことにはなるべく関わりたくないので、グレイを突き放す。


「それは嫌だ。」


 勿論グレイはシェリーの言葉を拒む。番であるシェリーの側から離れることはできないと。


「シェリーさん、貴女も行ってきてください。」


 なぜかマリアからシェリーも行くようにと言われてしまう。


「私が行く意味はありません。行く用事もありません。」


「原因は貴女でしょ?いつもいつも問題を起こして奥様を困らせていますものね。」


 シェリーが原因と言われればそうだが、マリアはシェリーが何かと己の主であるユーフィアに迷惑をかけているのが許せないようだ。


「確かに第6師団長さんには迷惑かけているとは自覚していますが、ユーフィアさんは半分自業自得ですよね。もう少し周りに目を向ければいいと思います。」


「このクソ餓鬼!だったらなぜ、オルクスがここにいるのです!傭兵団長であるオルクスが!」


 今度はオルクスに矛先が向けられてしまった。


「オルクス。なぜ貴方はここにいるのですか!傭兵団はどうしたのですか!」


「え?フェクトス総統には許可をもらったぞ。」


 オルクスはマリアに矛先を向けられ、国の統治者に許可をもらったと言うが、マリアはそれだけでは不満があるようで


「父には?」


「あー。シド総帥は・・・閣下から話がいっているんじゃないのか?」


 オルクスはそう言えばシェリーのところに行くことしか頭になかったので、報告していないと思い出す。

 その答えにマリアは青筋を立てながら怒りを顕にし


「二人して父のところへ報告に行ってきなさい!」


 そう、マリアの父でありグレイの祖父は金狼族の長でもあるが、傭兵団をまとめ上げる総帥でもあるのだ。


「鉄牙はおっかねーなぁ。」


 オルクスがボソリとつぶやいた声をマリアは拾い上げ


「オルクス。その名は絶対に奥様の前では言ってはなりません。絶対です。」


 マリアの地を這うような声が部屋に響き渡った。



 マリアは今すぐにでもギランに行くようにと言って帰って行った。炎国から帰ってきたばかりなのにギラン共和国に行かなくてはならなくなってしまった。

 グレイとオルクスだけ行けばいいのにシェリーまで行くようにと念押しされてしまった。


「はぁ。」


 思わずため息が出てしまう。転移で行って帰ってくれば1日で済むことだが、シェリーにとって関係ないことでシド総帥に会うのが面倒くさかった。


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