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番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―  作者: 白雲八鈴
14章 黒の国

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「佐々木さん、俺が悪かったから、魔眼を使わないでくれるか?流石に辛いんだが。そ、そうだ。アフィーリアには一般常識を教えさそう。一通り暮らせるようにすれば問題ないだろ?」


 シェリーは瞬きをし、魔眼を炎王に使用するのをやめた。炎王はシェリーの魔眼の圧力から開放され大きく息を吸い込む。まともに呼吸ができなかったようだ。


「リア姫。番に会いたかったら、一人で下町で暮らせるようになりなさい。誰の手も借りずに暮らせるように。」


「そんな事簡単じゃ!初代様と王后様の様になるのじゃ。」


 そう言ってアフィーリアは部屋から出ていった。アフィーリアがご機嫌に鼻歌を歌いながら去って行っているが、シェリーの機嫌は最悪までに悪い。シェリーの魔眼は未だに揺らめいている。


「シェリー。こっちに来てお茶でも飲んで落ち着いて。」


 カイルに手を引かれ、カイルの膝の上に座らされる。グレイが部屋の隅で控えているの人に新しくお茶を入れ直すように頼んでいる。

 炎王は別の円卓から椅子を持ってきてカイルの横に座った。


「えーと。今回の報酬の事を話しても良いかな?」


 炎王はシェリーの顔色をうかがいながら尋ねる。


「いいですよ。」


 シェリーの返答は普通なのだが、声が地を這っているかのように低い。


「何か希望はあるか?」


「ぶん殴りたい。」


「あ、うん。それは別の人にお願いしてもらいたい。他ものにしてくれ。」


「アールグレイ。アッサム。ダージリン。オレンジペコ。セイロン。メーカーは問いません。それを5缶づつ。珈琲豆は中炒りのもので種類は適当に5kg。以上が先程の通達不備の件の分です。」


「分かった。」


 そう言って炎王は空間で何か操作している様に手を動かしている。その間にシェリーは紙を取り出し、何かを書き始めた。書き終わるとその紙を炎王に差し出し


「これが今回の依頼料です。」


 その紙を見た炎王は考え込みシェリーを見る。


「1番目と2番目はいつもどおりだから良いんだが、3番目の手合わせって、今?」


「今です。それ以外にあり得ると?」


 炎王はため息を吐きながら


「俺に憂さ晴らしされても困るんだが。」


「ちょうど親方さんから新しい刀をいただいたので、試し斬・・・手合わせをお願いします。」


「試し斬りって言ったよな!」


「大丈夫です。死んでも生き返ります。」


 シェリーは笑顔で答えた。



王太子補佐官トーリside


 先程内密の緊急報告が来た。どうやら、王太子殿下の異常行動の原因の人物が入国したようだ。


 今回も初代様に呼ばれて来たようなので、王太子を奥宮に近づけないようにという旨が書かれた紙が回ってきた。そして、執務室から絶対に出すなとも書かれていた。

 今までそこまでの事を通達されたことはなかった。いつもなら、例の人物が来ているので、王太子の行動に注視せよぐらいだった。今回は一体どうしたのだろうか。


 先程から王太子のペンが折れる音がしている。これで5本目だ。これは例の人物が来ている時におきる現象なので、いつもどおりだと思われる。


「少し休憩をしましょうか。」


 席を立ちお茶を入れる準備をする。例の人物が来ている間は仕事が進まなくなる。

 まぁ。いつも1刻(2時間)程で帰っているようなので、業務に支障はでないのだが、王太子が落ち着きが無くなるのは目障りだったりする。


 先程のペンを折り続けるのもそうだし、積み上げられた書類をブチ撒けるのもそうだし、席を立ったり座ったりと同じ室内で業務をしている私としては、とても苛つく。


 一度、どうしたのかと聞いてみれば、『胸の辺りがザワザワする。』と言っていた。

 番かと聞いてみたが、『王后様が言っていた高揚ではない。ただ、次は絶対に離さない、とう言う感じか?』それが番じゃなくて何なんだと心の中で叫んだ。


 初代様にも一度聞いてみたのだが、苦笑いをしながら


「まぁ。放置しておけばいい。佐々木さんも直ぐに帰るから問題ないだろ?」


「毎回、目障りなのですが、そのササキさんという人は、殿下と違って何も変わりはないのですか?」


「いつもどおり淡々と用事だけ済ませて帰って行く。ああ、リア姫が来たときだけ顔をしかめているな。」


 アフィーリア姫にも困っているが、あの方は子供のわがままなので、かわいいものだ。そんな感じで初代様に放置するように言われてしまった。


 王太子にお茶を出し少し休憩するように促す。今回も直ぐに帰ってくれるといいのだが。


 その時、2つの魔力が辺り一帯にせめぎ合いながら満ちて来た。

 何があった!一つは初代様の魔力であることはわかる。そして、もう一つはその初代様に匹敵するほどの圧迫感を放つ魔力が存在している。知らない魔力だ。


 私の横を一迅の風が抜けたと思ったら、王太子が目の前から消えていた。



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