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第1話 変態魔王にオソわれました 

お読みいただきありがとうございます。

 結局、あれがなんだったのかはわからないままだ。


 あの後、気が付いたら町へ戻ってきていた。

 一度ならず二度までも魔王を討ち逃した俺は、四六時中あの女のことを考えている。

 あの発情した雌の顔が脳裏に焼き付いて忘れられない。


「勇者様、騎士団からの依頼です」


 あー、めんどくせぇ。やる気でねー。


「働きたくないでござる」

「南の領周辺に魔獣が発生しているとのことです。『我々は西側を掃討する。勇者殿一行は東を頼む』と」


 チッ、スルーされた。


 まあ、報酬をもらっているのだから仕方ない。


 行くか。




-----


 馬に揺られて小一時間、ふと呆けては玉が潰れそうな痛みに悶絶を幾度か繰り返しながら、件の森に着いた。

 しかし、だ。さあ魔獣討伐だ、などとせっかく張り切っていたのだが、なんともまあ静寂に包まれた森である。魔獣の気配なぞ微塵も感じない。

 まさか無駄足でしたなんて言わないだろうな、あの騎士団(アイツら)


「いませんね、魔獣……」

「きっとこの勇者様に恐れをなして逃げたんだろうさ。任務は"領周辺の魔獣を掃討"だよな? よーし任務完了。帰ろ」

「お待ちください勇者様! その魔獣が別の場所へ逃げたのであれば、どこかの村が襲われる可能性もあります!」

「いやでもなー。常日頃から任務中の勝手な行動は控えろって言われてんだし、騎士団に一度報告すべき――」




 なんだ、この気配は。

 なにかが近づいてくる――




「勇者!」


 突然、後ろからなにかに抱きつかれた。

 あ、柔らけえなんだこれ。


 振り返ると、その2つの肉塊はなんと魔王だったのです。


「なっ――魔王! なんでこんなところに!」


 流石の俺もびっくりだわ。あの魔王がこんなたいそう立派なお胸様をお抱えになっていたとは。


「勇者、お前に会いにきたのだ」


 なんだこの百点満点の笑顔は。ほんとに魔王かよ、惚れちゃうだろ。


「――魔王自ら勇者様を殺しに来たのか! みんな構えろ! ここで魔王を討つ!」


 おいやめろ。魔王の目に闇が宿っちゃったじゃないか。面倒なのはごめんだ。


「五月蠅いぞ。虫けらごときが、我と勇者の再会に水を差すな」


 あーほら言わんこっちゃない。

 仮にも仲間である奴らが目の前で死ぬのは精神衛生上よろしいとは言えない。止めるか……。


「ヒートヘイズ――」


 火属性魔法。なら――水だ。


「やめろ。……お前の狙いは俺だろ。アイツらには手ぇだすな」


 凍てつく魔力に包まれた手で咄嗟に掴んだ魔王の腕を握りしめたまま、顎で森を差す。

 何とか話し合いで解決したいところだ。




-----


 ――ここまで来れば聞こえないだろう。


「魔王、さっきのはどういう意味だ?」

「そのままの意味だ。我は、勇者――お前に会いたかったから会いにきたのだ。」


なんとも嬉しいことを言ってくれる。

魔王じゃなきゃ惚れてたかもしれねーな。……ないか。


「なんで俺に会いたかったんだ?」

「前にも言ったであろう?我は勇者に支配されたいのだ……!だから――」




あ、コイツやばい奴だ。面倒臭い。




「じゃあ帰れ。命令だ」


頼むから帰ってくれ。


「ゆうしゃぁ……そんなこと言わないでくれぇ……」


ああ、ほら。俺はそういう顔をする女が――




大好物なんだ。




「主の言うことが聞けないのか」


「――はい……ご主人様」




俺の異世界生活は、どうやら平凡ではないらしい。

プロローグとキャラが違う気がしますが、プロローグは改変されています。

この勇者はクズいです。


魔王視点と次話もよろしくお願いいたします。

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