第九十三話『説得は目が回るのにゃん』
第九十三話『説得は目が回るのにゃん』
「ここであったが百年目、ぐらいな気持ちでのお願いです。
どうか私と一緒にミムカさんを説得して、
『私たち』の同好会に入ってもらいましょうよ」
「な、なんと!
とんでもないことでありまぁす!」
ぐるりっ。
「ふにゃん!」
「ミアンさん。
あなたは同好会のメンバーになってしまったのでありますかぁ?
いけません。絶対にいけませんですよぉ」
「あのにゃあ、ミムカにゃん。あんたにもいっておくのにゃ。
ウチを回すにゃあっ!」
「おぅ。これはこれは。
『アレ』の毒牙が犠牲者を生みはしないかと、つい。
申しわけありませんでした。
しかしながらぁ、でありますよ。
友だちとしてご忠告いたしますですが、
『アレ』のは妄想が造り出した同好会でありまぁす。
入ったって、ろくな目に遭わないのに決まっていますですよぉ。
とまぁそんなこんなで、今からでも遅くはありませんです。
さっさと手を切ったほうが無難なのでありまぁす」
「にゃあんか勘違いしているようのにゃけれども、
ウチは一度も加入にゃんて」
「ミアンさん、危ないっ!」
ぐるりっ。
「ふにゃん!」
「あんな不信心な者の言葉を真に受けてはいけませぇん!
あなたは教祖たる私だけの言葉を聴いていれば良いのです。
それだけで幸せになれるのです。
いいですね。判りましたね」
「あのにゃあ」
「ダメでありまぁす!」
ぐるりっ。
「ふにゃん!」
「このまま、ずるずる、とミリアの妄想地獄に落ちるのを、
黙って見過ごすわけにはいきませんです。
ミアン。どうせ信用するならミムカです。
ミムカだけをお信じくださいませです」
「ムダです。今更」
ぐるりっ。
「ふにゃん!」
「なにをおっしゃるウサギさん、じゃなくって、ミムカさん。
もはやミアンさんは私のパートナー。
誰がなんといおうと、もはや心を動かされることはないのですよ。
ねっ。ミアンさん。そうですよね?」
「のんのん。まだ間に合うでありまぁす!」
ぐるりっ。
「ふにゃん!」
「まだ地獄の一歩手前とみましたですよ。
ミアンさん、今です。目をお覚ましくださいませです。
ミムカをお信じくださいませです」
「とぉんでもありません!」
ぐるりっ。
「ふにゃん!」
「教祖たる私を、ミリアをお信じください!」
ぐるりっ。
「ふにゃん!」
「ミムカをお信じくださいませです!」
ぐるりっ。
「ふにゃん!」
「ミリアをお信じください!」
ぐるりっ。「ふにゃん!」
ぐるりっ。「ふにゃん!」
ぐるりっ。「ふにゃん!」。
ぐるりっ。「ふにゃん!」。
ぐるりっ。ぐるりっ。ぐるりっ。ぐるりっ。
「あ……ん……た……ら……にゃ……あ」
ばたっ。
ぱっちり。ぱちくり。
「ここは……天国にゃの?」
「おぅ、ミアン。
気がつかれましたですかぁ。まっこと良かったでありまぁす」
「本当、一時はどうなるかと。
突然、倒れたもんですから、
そりゃあもう、あたふたしてしまいましたよ。
でも今は大丈夫……みたいですね。ほっ、としました」
「はぁう。違ったのにゃん。最悪コンビが支配する地獄にゃった」
「なぁんかひどいいいわれようでありますですねぇ」
「後遺症かもしれませんよ、ミムカさん。
きっと、倒れた際にでも頭を強くぶつけたのでしょう」
「倒れた? はて?
…………そうにゃ。そうにゃん。
ウチはどうしようもにゃい話に、ぐるぐる、と回されて、それで」
「のんのん。どうしようもなくない話でありまぁす。
でもどうやら記憶がはっきりとしてきたみたいでありますねぇ。
ならば、この場にて聴いちゃいますですよ。
さぁミアン。お返事をお願いしますです」
「そうですよ、ミアンさん。あなたのたった一言で、
この……なんといっていったらいいのか……そうそう。
血肉を分けた争い、に匹敵するくらいのこの『悲しむべき』状況に、
終止符を打つことが出来るのです。
さぁはっきりとおっしゃってください。
私を、ミリアを選ぶと」
「あのにゃあ」
『はいっ!』
ごつん!
「うぐっ! 痛いでありまぁす!」
ごつん!
「あっ! 痛たたっ!」
「ウチより愛を込めてにゃ」
「ええとぉ、それはどういう意味なのでありますかぁ?」
「私にも、さぁっぱりのぱり、なのですけど」
「にゃら教えて進ぜるのにゃん。
これはにゃあ。
『悲しむべき』ど頭らへの矯正ゲンコツにゃん!
んもう、何度いったら判るのにゃん!
ウチを回すにゃあぁん!」
《ウチはコマじゃにゃいのにゃん、とぼやきにゃがらも、つづくのにゃん》




