第八十一話『お務めお疲れさまにゃん』
第八十一話『お務めお疲れさまにゃん』
「出せぇ! 早く出せぇっ!
ワタシがこんなところでいつまでもおとなしくしていると思ったら、
大間違いのこんこんちきよぉ!
さぁ早く出せぇ!
ワタシが怒り狂って天空の村をめちゃくちゃに…………あら?」
ががああぁぁ…………。
「岩戸が開いていくわ。でもどうしてかしら?」
がしゃあぁん。
「イオラにゃあぁん!」
ひしっ。
「イオラあぁぁ!」
ひしっ。
「ミアンちゃん! ミーナちゃん!」
「間違いにゃい。この岩のゴーレムこそ」
「うん。イオラなのわん」
「そうよ。イオラよ。
嬉しいわぁ。嬉しすぎて涙が出ちゃうくらい。
ふたりとも助けにきてくれたのねぇ。
んもう、思いぃっ切り抱き締めちゃうんだからぁ」
ぎゅぎゅぎゅうぅっ!
「ふぎゃああ!」
「うぎゃああ!」
「親分。お務めお疲れさまでしたのにゃん……にゃあんちゃって」
「親分。お務めお疲れさまでしたのわん……ぬあぁんちゃって」
「そっか。ワタシには帰れるところがあるんだ……なぁんちゃって。
ふふっ。『精霊の間』ってやっぱり最高!
本当、つくづく思うわ。自分の棲み家に勝る居場所はない、って。
なんのかんのといっても、
こうやって三にん一緒なのがとぉっても落ち着くのよね」
「うんにゃ。ウチもそう思うのにゃん」
「アタシもアタシも」
「その笑顔。ふたりのその笑顔が一番癒されるの。
んもう、思いぃっ切り抱き締めちゃうんだからぁ」
「し、しまったぁのにゃあん!
「またしてもなのわぁん!」
ぎゅぎゅぎゅうぅっ!
「ふぎゃああ!」
「うぎゃああ!」
「恋にゃら二度目も『あり』、かもしれにゃいのにゃけれどもぉ。
ふぅ。化けネコにゃのに死にゅかと思ったのにゃん」
「ふぅ。アタシもぉ。妖精なのに、もうこれで終わりかと思ったのわん」
「ごめんなさいね、ふたりとも。
つい嬉しくなっちゃって、我を忘れてしまったわ。
でもほら。もう大丈夫よ。
ゴーレムをやめて、ミーナちゃんのお姉さんっぽい姿となったから」
「姿かたちはそうにゃのにゃけれども」
「我を忘れれば、あの力を出すに決まっているわん。
今後も要注意なのわん」
「それも、『あり』かもしれなくてよ。
『謎めく美少女』と『危険な美少女』
どちらも甲乙つけがたい魅力があるんじゃないかしら」
「イオラにゃん。ご自分を『美少女』と考えた時点で」
「頭のほうは危険水域に達していた、と思うのわん」
「まっ!」
「にゃあ、イオラにゃん。一体にゃにがあったのにゃん?」
「アタシたちにも教えて欲しいのわん」
「えっ。
なにもかも知ってて、それで助けにきてくれたんじゃなかったの?」
「ううん。にゃあんにも知らにゃあい」
「同じく、知らなぁいのわぁん」
「じゃあじゃあ、どうしてあそこに?」
「オーブンの一件が片づいたあとにゃ。
少しばかり遊んでから、ここに帰ってきたのにゃん」
「でまぁふたりしてのんびりとくつろいでいたらね」
「フィーネにゃんが幻のようにゃお姿でウチらの前に現われたのにゃん」
「ミーナさん。ミアンさん。良い子にしていますか?」
「はいにゃん!」
「はいわん!」
「うんうん。良いご返事です」
「でも珍しいにゃ。フィーネ先生にゃんがこうやって現われるにゃんて」
「本当本当。いつもは覗き見ばっかなのに」
「こらこら。ミーナさん。先生に向かって失礼ですよ」
「違うの? じゃあなんなのわん?
いっつも、ひまさえあれば、こっちを見つめているらしいけど」
「ええと、誰がそういいましたか?」
「なにを隠そう、イオラなのわん」
「イオラにゃんに決まっているのにゃん」
「んもう、お姉さまったらぁ。
わたくしはただ見守っているだけです。
守護神が破壊神とならぬように」
「ミーにゃん。今の聴いた? エラいいわれようにゃん」
「うん。エラいいわれようわん」
「仕方がありません。全ては事実なのですから。
ここにこうして来たのだって、お姉さまが理由なのです」
「イオラにゃんににゃにかあったのにゃん?」
「もしや、誰かに打ちのめされたとか?」
「にゃとしたら、すっごい相手にゃん」
「本当本当。サインをせがんでもいいくらいなのわん」
「こらこら。悪い癖ですよ、ふたりとも。
話を勝手に突っ走らせて、相手をまごまごさせてはいけません。
みんな仲良く盛り上がってこそ、一層楽しくなる。
それもまた会話が持つ魅力、いえ、魔力の一つなのですよ」
「にゃら、違うのにゃん?]
「違うわん?」
「そうですねぇ。
『当たらずともいえども遠からず』といったところでしょうか。
実は……、お姉さまは今、
『岩屋の牢獄』に閉じ込められておいででして」
「ふにゃ!」
「ふわん!」
「それでですね。
もしも、もしもですよ。おふたりの手が空いているというのであれば、
引き取って、ごっほん。訂正します。
連れて帰ってもらうわけにはいきませんか?」
「ウチらが?」
「なんでフィーネ先生がやらないのわん?
イオラとは先輩後輩の仲なんでしょ?」
「それが……、
立場上、出来ないことになっていまして。
ミーナさん、ミアンさん。
おふたりが一番、この役にうってつけの存在なのですよ。
どうです? お願い出来ませんか?」
「にゃって。ミーにゃん、どうするのにゃん?」
「聴くまでもないわん」
にこっ。




