第七十話『無気力波のミリアにゃん』
第七十話『無気力波のミリアにゃん』
「ではどうすれば?
答えは明瞭。
ミストさんを惑わせている元凶に、
『無気力波』を浴びせるだけでよいのです。
相手の執拗な攻めがなくなれば、ミストさんは自然と元に戻れる。
『ありがとう、ミリア』と感謝しても、もらえる。いうことなしです」
「でもさ。実際に浴びたのはミストんなのわん」
「いや、ウチにはにゃんとにゃく理由が判るのにゃん」
「というと?」
「ミーにゃんのせいにゃのにゃろうにゃあ。
とにもかくにもあん時は、
打ち合いといい、
動く速さといい、
せわしかったのにゃん」
「無我夢中だったもん。しょうがないわん」
「にゃもんで、ここぞ、と狙いを定めてもにゃ。
無気力波自体の遅さも手伝って、
見当違いのところに届いてしまったのにゃん。
とまぁこんにゃ風に思ったのにゃけれども。
ミリアにゃん。実際はどんにゃもんにゃったの?」
「私はミストさんに加勢をしようと思いました。
ミアンさんのいう通り、当てたかったのはミーナさんのほうです。
ミーナさんが動かなければ、こんなことにはならなかったのです。
全てはミーナさんのせい。だから、恨むしかないのです。
ミストさんの仇をとるしかないのですよ」
「そんなぁ!」
がしゃん。
「見て、ミアン。ミリアんを。
ピンクの首輪が自動的にアップ。目の周りに装着されたわん」
ぱちぱちっ。
「真ん丸レンズまで出てきたにゃ。メガネの完成にゃん」
「うん。いよいよ始まるわん。ミリアんの切り札が」
「これでよし、と。
さぁミーナさん、ミアンさん。
一瞬でひざまずいてもらいましょうか」
「ふにゃ。ウチも?」
「問答無用。
空前絶後の『無気力波』ぁっ!」
びょおん。びょおん。びょおん。びょおん。
「ミアン! レンズから無気力波の輪っかがぁ!」
「飛んできたのにゃん!
ミーにゃん!」
「うん!」
ぱぱっ!
「そ、そんなぁ!
いくらなんでもこれはひどい。ひどすぎます。
左右に分かれちゃうなんてあんまりです。
真ん中に飛ばした『無気力波』が可哀想じゃないですかぁ。
ほら、見なさい。『あれぇっ? どこどこ?』みたいな感じで、
しょぉんぼりと消えちゃいましたよぉ」
「んなアホな。
当たったらこっちが可哀想なのわん」
「ではありますが、離れてくれて助かりました。
私の相手はミーナさんだけですから。
これで迷わず、狙えます。
ミアンさん、ありがとうございます」
「いやあ、気にしにゃくてもいいのにゃん」
「こらあっ!
アタシが危険にさらされているっていうのに、笑い顔とはなにごとわぁん」
「ミーにゃん。そんにゃにカリカリしにゃいで。
笑いを忘れた妖体が辿る末路って哀れにゃもんにゃよぉ」
「あのぉ。それって幼児にいうセリフ……うわん!
お喋りしている間に攻撃してきたのわぁん!」
「無気力波ぁっ!」
びょおん。びょおん。びょおん。びょおん。
「ア」
ひらりっ。
「無気力波ぁっ!」
びょおん。びょおん。びょおん。びょおん。
「タ」
ひらりっ。
「無気力波ぁっ!」
びょおん。びょおん。びょおん。びょおん。
「シ」
ひらりっ。
「無気力波ぁっ!」
びょおん。びょおん。びょおん。びょおん。
「は」
ひらりっ。
「無気力波ぁっ!」
びょおん。びょおん。びょおん。びょおん。
「ミ」
ひらりっ。
「無気力波ぁっ!」
びょおん。びょおん。びょおん。びょおん。
「ー」
ひらりっ。
「無気力波ぁっ!」
びょおん。びょおん。びょおん。びょおん。
「ナ」
ひらりっ。
《ちょいとひと休みにゃん》
「ミーにゃんったらぁ。ちゃっかりと自分の宣伝をしているのにゃん」
「てへっ」
《ひと休み終了にゃん》
「んもう! ちょこまかちょこまかと」
「そっちがとろいだけなのわん。
これなら、ミストんの『剣さばき』のほうがずうっとましなのわん」
「くぅぅっ。痛いところを。
ですが、ミーナさん。このくらいで勝ったと思ったら大間違いです」
「ええとぉ。
大間違いってことは正しくないってことよね?
じゃあ、勝ってたんじゃなくって負けてたんだ」
くるっ。
「ねぇ、ミアン。今の聴いたぁ?
アタシは負けてたわん。てっきり勝っているとばかり思っていたのにぃ。
んもう、悔しいわん。悔しいわんったら、悔しいわん」
「まぁまぁ。これも勝負にゃ。勝つこともあれば負けることもあるのにゃん」
「でもぉ」
「ミーにゃん。負けを認められる潔さも、お姫さまには必要にゃよ。
それあってこそ、自分を見つめ直せるのにゃん。
明日へと向かって挑み、新たにゃる勝利をつかみとることが出来るのにゃん」
「うん。判ったわん」
くるっ。
「ミリアん、悔しいけど、今回はアタシの負けなのわん。
おとなしく、賞品の『にゃめろん』を差し出してあげるわん」
「あのぉ、済みません。
別にどっちが『勝った』『負けた』の話をしているのじゃなくて。
要するにですね。
『まだ勝負はついていない』とまぁこういいたいだけなのですよ。はい」
「なぁんだぁ。そうだったの。ほっ、としたのわん」
「ミーにゃん。良かったにゃあ」
「うん。ミアンも心配してくれてありがとう。
さっすがはアタシのミアンだけのことはあるわん」
「いやあ。エラかったのはミーにゃんであって、
ウチにゃんかにゃあんにもしていにゃいのにゃん」
「謙遜なんてしなくてもいいわん。
ミアンはアタシにとって、本当、誇れる家族なのわん」
「んもう、照れるにゃあ。にゃはははっ」
「ふふふっ。ミアンったら、真っ赤なのわん。ふふふっ。きゃはははっ」
「にゃはははっ」
「きゃはははっ」
「おだまり」
「…………」
「…………」
《にゃはははっ、と心で笑って、つづくのにゃん》




