第七話『侵略者に逢ったのにゃん』
第七話『侵略者に逢ったのにゃん』
「ここはどこにゃん?」
「どこなのわん?」
「本当、どっこなんだろうねぇ」
「…………あのにゃ、ミクリにゃん」
「なんだい? ミアン君」
「ウチらは地中で遊んでいたのにゃんよ」
「うん。そうだね。アホのボクでもさ。一緒に遊んでいたから知っているよ」
「ミクリにゃん、あんたって……。ううっ。感動モノにゃん。
にゃあんて素直で正直にゃネコにゃのにゃろうか」
「アタシもエライと思うわん。
特にその、自分を飾らない、良ぉく見せようとしない、ところなんか。
どうにも愛おしさを感じさせてくれるのわん」
「へぇ。褒めてもらっちゃった。
そんなことめったにないから照れちゃうなぁ……って、喜んでいる場合じゃないよね。
あっ、それはそうとさ。
ミアン君。今、なんかボクにいおうとしていたんじゃないの?」
「いおうとしていた? はて? にゃんにゃろう……おっ、そうにゃそうにゃ。
にゃあ、ミクリにゃん。ウチらは地中で駆けっこしていたにゃけにゃんよ。
にゃのに、にゃんで、こんにゃ真っ黒にゃところに入ったのにゃん?」
「あっ、それ。
はははっ。イヤだなぁ。
君に判らないものをボクが判るはずがないじゃないかぁ」
「にゃははっ。
それもそうにゃん」
「きゃははっ。
ごめんね、ミクリん。野暮なことを聴いてしまったのわん」
「はははっ」「にゃははっ」「きゃははっ」
「……にゃあんて、笑っている場合じゃにゃい!
ミクリにゃん。あんたは地中ネコにゃろう?
にゃのに、にゃんで判らにゃいのにゃん!」
「あっ、それ。
はははっ。イヤだなぁ。
君に判らないものをボクが判るはずがないじゃないかぁ」
「にゃははっ。
それもそうにゃん」
「きゃははっ。
ごめんね、ミクリん。野暮なことを聴いてしまったのわん」
「はははっ」「にゃははっ」「きゃははっ」
「……にゃあんて、笑っている場合じゃにゃい!
ミクリにゃん。あんたは地中ネコにゃろう?
にゃのに、にゃんで判らにゃいのにゃん!」
「あっ、それ。
はははっ。イヤだなぁ。
君に判らないものをボクが判るはずがないじゃないかぁ」
「にゃははっ。
それもそうにゃん」
「きゃははっ。
ごめんね、ミクリん。野暮なことを聴いてしまったのわん」
「はははっ」「にゃははっ」「きゃははっ」
「にゃははは……ふぅ。
追及はやめにゃ。にゃってキリがにゃいもん」
「笑う門には福来る……か。確かに。笑うことはいいことにゃる」
「誰にゃん! 銀色ぴっかぴかのあんたは!」
「これは失礼。
お初にお目にかかる。にゃるは侵略者ネコ、『カリン』にゃる」
「にゃんと! まさかイオラの森を」
「違うよ、ミアン君。天空の村全体に決まっているじゃないか」
「それとも……アタシなのわん?
アタシの美しさが目にとまってそれで」
「イヤイヤ。どれでもないにゃる。
にゃるたちが望んだのは……、ずばり、惑星ウォーレスにゃる」
「ウォーレスって、この『天空の村』の真下にある星のことだよね?
星を覆っている毒ガスの雲海のせいで、実際に目にしたことはないんだけどさ。
……にしても、あんなゴーストプラネットがどうして欲しいんだい?」
「知りたいのにゃる? 時間がかかるけども、構わないのにゃる?」
「まぁ教えてくれるっていうなら、ご拝聴するよ。ミアン君も聴きたいよね?」
「もちろんにゃよ」
「ミーナ君は?」
「右に同じなのわん」
「決まった。じゃあ、頼むよ。カリン君」
「話は時をさかのぼるのにゃる。
にゃるたちが来た頃、天空の村は惑星ウォーレスの一部だったのにゃる」
「そういえば、ウチもイオラにゃんからそんにゃ話を」
「うんうん。アタシも聴いたことがあるわん」
「ボクも長老から聴いた。
ふふっ。思ったよりも興味深い話になりそうだね。
ささっ。どんどん続けてよ」
「取り敢えずはいつも通り、
地下深くに自分たちが乗ってきた円盤を隠すことにしたのにゃる」
「どうしてにゃん?」
「にゃるたちに適合する星かどうか。誰にも知られることにゃく調査するためにゃる。
我が母星『ネンネコ』は、もうネコが一杯にゃる。
しかしにゃがら、ネコは生まれてくる。たくさん生まれてくる。
どうにもとまらないほど生まれてくるにゃる」
「まっ、ネコにゃからにゃ」
「第二の『ネンネコ』探しは急務にゃる。
そんな中、ひょんなことから見つけたのが、惑星ウォーレス。
でっかい星だから、この先、どんなに生まれても当分は困らない。
これは有望と、早速調査に乗り出すこととなったにゃる。
適合するとの判断が下されれば、むろん、一気に侵略。
しかしながら、不適合なら直ちに撤収。
要らぬ混乱を起こすのは、にゃるたちの流儀ではない。
そこで、隠れてこそこそ、の調査となったのにゃる」
「ちょ、ちょっと待つのわん。
この村が惑星ウォーレスの大地だったのって、何万年も前の話よ。
なのに、なんで今も居るわけ? さっぱり判らないわん」」
「ミーにゃん……。実はにゃ。ウチには察しがつくのにゃん」
「えっ。どうしてミアンが知っているのわん?」
「ウチは生前、人間と暮らしていたからにゃ。たびたび耳にしていたのにゃ。
にゃもんでイオラにゃんにも聴いてみたことがあるのにゃん」
「そうなんだぁ。
ああでもさ。どうして人間が侵略者ネコのことを知っているのわん?」
「ミーにゃん。ミーにゃんは勘違いしているのにゃ。
ウチが知っているのは侵略者ネコのことじゃにゃい」
「侵略者ネコのことじゃない、って……、じゃあ、なにを知っているのわん?」
「どうして侵略しにゃかったのか。
どうしてウォーレスではにゃく、この村に留まり続けているのか。
それの察しがつくのにゃん。にゃあんとにゃく、にゃのにゃけれども」
「いかにも思わせぶりないい方だね。ミアン君。
それで? カリン君たちが侵略しなかった理由って、一体なんなの?」
「アタシも知りたいわん。教えて」
「にゃらいうけどにゃ。いいにゃん。心して聴くのにゃよぉ。
ごっほん。
侵略しにゃかったんじゃにゃい。したくても出来にゃかったのにゃん。
にゃろ? カリンにゃん」
「…………」
「侵略者ネコらの侵略を阻んにゃモノ。それは……、
悲しいかにゃ、『戦争』にゃん!
違うとはいわせにゃいにゃよぉ」
「………うん。その通りにゃる。
惑星ウォーレス。戦争のない星に戦争が勃発したのにゃる」
《済まにゃい。後編へと続くのにゃん》