第五十一話『目覚めてみようにゃん』
第五十一話『目覚めてみようにゃん』
「うわん! ミアンがふたりになったのわん!」
「ウチはにゃ。いうにゃれば右のミアンにゃ」
「ウチは左のミアンにゃ」
「あのぉ、それって」
「ミーにゃん、まぁ聴きにゃさい。
イオラにゃんのようにゃ樹木の精霊を始めとして、空、土、湖にゃど、
さまざまにゃ方面の精霊らに話を伺ってみたらにゃ。
にゃんと、
命ある者にゃら、誰しもが驚異の潜在能力を有しているというのにゃん。
しかしにゃがら、この潜在能力とやらには問題があってにゃ。
1.それはどんにゃ能力にゃの?
2.その能力は果たして自分が望むモノにゃの?
自分にとって有用にゃモノにゃの?
3.実際に覚醒出来るのにゃん?
4.覚醒出来たとしてもにゃ。
得た力を活かせられるにゃけの若さが今の自分にはあるのにゃん?
にゃど、いろいろとあげられるのにゃけれどもぉ。
とにもかくにもにゃ。
『3.』が未達成にゃらどうにもにゃらにゃいのにゃよ」
「まぁね。絵に画いたモチで終わる、なぁんて世間にはざらにあるわん」
「そこでにゃ。
『3.』を成し遂げるため、ウチは大いにゃる決断を下したのにゃん」
「へぇ。どんな?」
「ウチがふたりとにゃってぶっ壊れんばかりに激突し合うことでにゃ。
この身体に秘められた未知にゃる力を呼び覚まそうというのにゃん」
「おおっ! なんと画期的な方法なのわん!」
「ということでにゃ。善は急げ、で早速始めるのにゃん。
行くにゃよぉ! 左のウチ!」
「どんとこいにゃん! 右のウチ!」
たったったったったっ…………びゅうぅぅん!
たったったったったっ…………びゅうぅぅん!
「す、すっごいわん!
両者とも超高速駆け足から、いっきに青白き光弾へと変化したのわん!」
「左のウチ、覚悟にゃああぁぁん!」
「右のウチ、覚悟にゃああぁぁん!」
がつうぅん!
「正面衝突なのわん!」
ぱぱああぁぁん!
「ああっ!
ミアンが……、
ふたりともガラスのように砕け散って……、
跡形もなく消え去ったのわん!」
「やっぱりね。そんなことだろうと思ったわ」
「うわん! なぜか一つ目小僧の姿となったイオラがっ!」
「愚かの極み、としかいいようがないわ。
自分の力がなんなのかも判らずに無理矢理目覚めさせようなんて。
求めたとしても得られるのは、せいぜい『滅び』くらいだというのに。
ふぅ。
憐れなる考えの持ち主の末路はいつも同じね」
「イオラ……」
「全くもってその通りにゃん」
「うわん! なぜか額に目をくっつけて三つ目となったミアンがっ!」
「うちにゃる力に目覚める運命を辿る者はにゃ。
日常の生活の中で生じる、にゃんらかのきっかけから閃くものにゃん。
でもにゃ。それは誕生の瞬間にすぎにゃい。
日々の精進。努力の積み重ねが生まれた力を育てるのにゃ。
そして、いつの日か自分に役立つ力とにゃるのにゃん。
近道はにゃいのにゃ。
にゃのに、こんにゃ形で求めようにゃんて。
はてさて。困ったもんにゃ。
愚の骨頂。無謀の極みとしかいわざるを得にゃいのにゃん」
「どうして……、どうしてミアンがここに居るのわん?
たった今、砕かれたばっかなのわん」
「にゃんと!
にゃら、ミーにゃんはウチがあのままでもいいというのにゃん?
それはあまりにも残酷にゃん。
思わず泣けてくるぐらいにゃ。
にゃあ、イオラにゃん……ぐすん」
「ええ。ミアンちゃんのいう通りよ。
ミーナちゃんにとってミアンちゃんは親友、家族同然なんでしょ?
だったら、ここは『良かったわぁん』と涙ぐむのが当たり前じゃないかしら。
なのに……、創造主としては残念至極な対応を目の当たりにしてしまったわ。
ほら、ワタシの目にも思わず涙が……ぐすん」
「イオラにゃん!」
「ミアンちゃん!」
ひしっ!
一つ目と三つ目が涙ながらに抱き合っているのわん。
……まっ、それはともかくとして。
「あのさぁ。一応、謝るのわん。
ごめんね、ミアン」
ぴくっ。ぴくっ。
「イオラにゃん、今のを聴いたにゃん?」
「ええ。しかとこの耳で」。
「やっぱミーにゃんのどこかで、やさしい女の子の部分も育っていたのにゃ。
そしてたった今、それが花開いたのにゃん。
長年一緒に暮らしてきた甲斐があったというものにゃん」
「ワタシも嬉しいわぁ。ミーナちゃんが改心してくれて」
「イオラにゃん。ぐすん。もうここは嬉し泣きをするしかにゃいのにゃん。
ううっ。うわああぁぁんにゃ! うわああぁぁんにゃ!」
「ミアンちゃん。ぐすん。ワタシもよぉ。
ううっ。うわあああぁぁっ! うわあああぁぁっ!」
ひしっ!
今度はふたりで号泣を始めたのわん。
本当の本当に、どうしてこんなに仲がよろしいのわん?
なぁんかアタシひとりだけが除け者にされたようでさみしいのわん。
……まぁいいわん。取り敢えず、これだけはいっておかなくっちゃね。
「あのさぁ。こんな時にこんなことをいうのもなんなんだけどね。
もちっと、常識的な普通の会話が楽しめる三にんになろうわん」




