第四十話『橋造りにゃんて出っ来るかにゃん』
第四十話『橋造りにゃんて出っ来るかにゃん』
「し、しまったのわぁん!」
おろおろ。おろおろ。
「ミーナったら、なにをうろたえているのでありますかぁ?」
「アタシのアホネコに無断で話を進めちゃった罰かもしれないのわん」
「罰? はて? なんのことかさっぱりなのでありますが?」
「つづくから、《つづく》って入れなきゃならなかったのわん。
なのに……、ついうっかり忘れてしまったのわん」
「とすると、今回のお話は」
「うん。前回につづいているのわん」
「おぅっ。明らかにミステイクでありますねぇ。
それでそれで? いかが対処するつもりでありますかぁ?」
「だからぁ。
どうしていいか判らないから、『しまったぁ!』なのわん」
「ではとりあえずですねぇ。
みなみなさまに、『ごめんなさい』を差し上げましてはどうですかぁ?」
「そう……ね。それしかないわん」
「ならばご一緒に。 せぇのぉっ!」
『ごめんなさいわあぁん!』
「ミーナ。前にも話したとは思いますですが、
橋をかけるのはですねぇ、
湖のほとりに並んだ大岩のうち、これと向こうのあれとでありまぁす」
「うん。でもさ。この石材じゃ届かないのわん」
「何枚も重ねて造るのでありますよぉ。
とはいっても、真っ直ぐに、ではありませんです。
こちら側のは向こう側へと少し突き出した形で乗せていきましてですねぇ。
向こう側は逆に、こちら側へと突き出した形とするのでありまぁす」
「どれくらいで突き出せばいいのわん?」
「石板の上下をごらんあれぇっ」
「上下? ええと……あっ。
全部平べったいと思ったら、途中から波打っているのわん」
「その波打っている部分同士を、
ぴったりとくっつくように乗せればいいのでありまぁす」
「なるほどね。これなら悩まなくて済むわん」
「さぁミーナ。お喋りはここまでにしますですよぉ。
早速取りかかろうじゃありませんですかぁ」
「うん!」
「こうやって石板をずらしながら乗せていくとぉ……。
おおっ! いつの間にやらアーチっぽくなっていたのわん」
「なかなかたいしたもんでありますよねぇ」
「強度的にはどうなのわん?」
「ほら、石材と石材をくっつけたところがありますでしょ?
あそこって、それぞれの石に蓄えられた霊力がですねぇ。
なんと、接着剤の役目を果たしているのですよぉ。
結果、どうなったかといえば、
橋全体を一つの石となんら変わらない強度までに、
いや、それ以上に高めましてですねぇ。
しかもですよ。柔軟性に富んだ造りに仕上げているのでありまぁす」
「へぇ。なんか俄然やる気になってきたのわん」
「はて? じゃあ、今の今までは?」
「気にしないで欲しいわん」
「ミーナ。これ一つで終わりでありまぁす」
「やったぁ!
ついに完成の時を迎えるのわん。
よぉし、ここは落ち着いて落ち着いて。
……そうそう。慎重に慎重に」
「おっ、動き出したでありますねぇ」
「ううぅん。いい感じなのわぁん。この調子この調子」
「ミーナぁっ。ど真ん中にとうとう辿り着きましたですよぉ」
「いわれなくても判っているわん。
あとは、この左右二つの石の上に乗せればぁ」
「あっ、ミーナぁっ! 危ないでありまぁす!」
「えっ!」
「アッホウ! アッホウ!」
がつん!
「うわん!」
「アッホウっ!」
「うっうっ。ここは……どこ? アタシは誰?」
「自分はミムカでありまぁす」
がばっ。
「誰がミムカんのことを聴いたわん!
……って、あれっ?」
ぱちくり。
「良かったぁ。無事でなにより、なのでありまぁす」
「ミムカん、アタシは」
「アッホウドリと正面衝突しましたですよぉ。
くるくると湖に墜ちていくところをぎりぎりのぎりぎりで、
ミムカが抱きとめたのでありまぁす」
「そうかぁ。……ミムカん、ありがとうわん」
「いえいえ。どういたしましてですよぉ」
「そういえば、最後の石材はどうなったのわん?」
「残念ながら、湖に、ぼとん、してしまいましたです。はい」
「となると、拾い上げて……ああ、ダメダメ。
対象物を捕捉し得ないかぎり、アタシの念動霊波は作用しないわん」
「といって新たに造るとなると……、どうしてもそれなりに時間がぁ」
「ミムカん。それじゃあ今回は」
「ここまで、とならざるを得ませんですねぇ。
誠に残念至極で…………」
「うん? ミムカん、どうしたのわん?」
「アレは一体?」
「アレ? なんのことわん、って」
ぶくぶくぶく。ぶくぶくぶく。
「あっ! 石材が沈んだ辺りでなにやら噴き出しているのわん!」
ざざざざざざああぁぁん!
「おぉっ!
ミーナ、水面から水羽衣を纏った霊体がぁっ!」
「ゆっくりと、だけど、浮上してくるわぁん。
そういえば、湖を統括する精霊が居るってイオラがいってたっけ。
アレがそうなのかも。
どれどれ。ご尊顔を拝顔するとしよう……うわぁん!」
「まさかぁ! でありまぁす!」
もわんもわんもわん。もわんもわんもわん。
「信じられませんですが、あのお姿は紛れもなくぅ……」
「目を疑うわん。でも、あのアホ姿は紛れもなくぅ……」
『にゃおおぉぉん!』
「あの高らかな響きを立てる遠吠えの主は……」
「あの自分のアホを主張する遠吠えの主は……」
『ミアァァン!』
《ウチが出てきたからには、つづくのにゃん》




