第二十八話『出逢いがあれば別れもあるのにゃん』
第二十八話『出逢いがあれば別れもあるのにゃん』
「どういうつもりぎゃん? わじの縄目を解いたりして」
「にゃんと! 縛られたままがいいのにゃん?」
「やっぱイオラの見立ては正しかったのわん」
「趣味だったのね。それならそうと最初から」
「違うぎゃん!」
ぜいぜい。ぜいぜい。
「き、貴様らぁ」
「ジュリアンにゃん。あんたって、ちと繊細すぎるのにゃ。
『ウチらのボケに敵う、にゃかにゃかのツッコミにゃん』にゃのは、
賞賛するに値するのにゃけれども。
そうまでエネルギッシュにぶつかっていってはにゃ。
たとえ霊魔でも無理が祟るというもの。
身体を労わる意味でも、もっとしなやかにゃ応対に徹すべきとウチは思うのにゃん」
「そうそう。ミアンのいう通りわん」
「右に同じ。そんなんじゃ、やっていけないわよ。
天空の村では。特にワタシの、イオラの森、ではね」
「わじは『ぼけ』ぎゃったのぎゃん……」
がっくり。
「……とまぁわじがここに来たのはそんにゃ目的もあったのぎゃん」
「にゃあるほどにゃあ」
「でもひとりじゃ無理かも。手を貸して欲しいならいってよ。
アタシも協力するのわん」
「ウチもにゃ」
「ワタシも。
どうかしら?
急ぐなら、今直ぐに、森のみんなにも声をかけてあげられるのだけれど」
「ありがたいことぎゃん。
でもぎゃ。取り敢えずは、わじ、ひとりでやってみるのぎゃん。
イオラの森ばかりじゃなく、天空の村全部に興味も出てきたしぎゃ。
まっ。焦ることはない。地道にこつこつとやっていくのぎゃん」
「にゃったら、ここに棲むっていうのはどうにゃん?
にゃあんか、あんたがこの場に居るっていう現実に馴染んでしまってにゃ」
「アタシもなのわん。それにね。ジュリアンみたいに繊細で」
「まともな霊体も、ここでは珍しいわ。ねぇ、ここを棲み家にしたら?」
「霊魔のわじを、『繊細でまとも』とはぎゃあ。
そうまでいってくれて大変嬉しいのぎゃん。
ぎゃれど、わじは純種の霊魔。
霊魔界以外の地に留まれる時間はほんのわずかなのぎゃ」
「それは残念。にゃら」
「ああ。そろそろ帰るとするぎゃ。
長居をして済まなかったのぎゃん」
すくっ。
「ジュリアンはどうやって帰るのわん?」
「来る時は自分の力を使わずともいいのぎゃ。
誰かさんが邪にゃ考えを持ちさえすれば、
そこを入り口にして誰かさんの棲む世界へと侵入出来る。
にゃれど、それが無理であるなら」
『現われるのぎゃ! 我が半身。魔法円よ!』
きらあぁぁん!
「何重もの青光りする真ん丸にゃん。これが魔法円にゃの?」
「魔法陣などという輩も居るには居るが、魔法円というのが大方の定義ぎゃん。
ウチの身体を二つに分け、その片っ方でこしらえたもの。
まっ。いうなれば、わじの切り札ぎゃん」
「これを使えば、霊魔界に戻れるのにゃん?」
「中央の真ん丸に飛び込めば、一瞬でぎゃ」
「なら、お別れなのわん?
なぁんか名残り惜しいわぁん」
「また来るのにゃよ」
「いつでも大歓迎よ」
「目的はまだ果たされていないのぎゃもん。いうに及ばずぎゃ。
……なぁ。本当に来てもいいのぎゃん?」
「それこそいうに及ばずにゃん」
「来るわん」
「待っているわよ」
「ありがとうぎゃん。なら、これで」
ずぼっ!
「ジュリアンにゃんが……飛び込んでしまったのにゃん」
すうぅっ。
「行っちゃったみたい。魔法円も消えてしまったのわん」
「不思議な気持ちね。
なにかしら? 心に、ぽっかり、と穴が空いたようなこの感覚は。
まるで祭りが終わったあとの静けさの中にでも居るような……」
「んにゃことはにゃい」
「えっ?」
「ウチが居るじゃにゃい」
「アタシも居るわん。
……そしてアタシとミアンには」
『イオラが居るわん!』
「ふふっ。そうね。さみしくなんてないわね」




