第百六十四話『あれこれ話パート26にゃん』
第百六十四話『あれこれ話パート26にゃん』
《ごめんにゃ。下手にゃお芝居から始まるのにゃん》
「ねぇ、ミーナちゃん。
あなたはワタシの可愛い教え子だった。
けれどぉ……。
合格して高校生になった今、
ワタシがあなたにして差し上げられることはもうなにもない。
だから、いうわ。
去年、あなたの元から離れた時にいわなかった言葉を。
今ここで」
すたすたすた、ぴたっ。
「さよなら、ミーナちゃん」
「イオラ…………」
「さぁあなたも」
「……はっ!」
ふるふるふる。
「イヤ、イヤなのわん! いえるわけがないのわん!」
「……そう。
でもいって欲しいの。
ほんのちょっとでも、
ワタシがあなたのお役に立てたのなら。
感謝したい、と思ってくれているのなら」
「ぐすん。
…………イオラぁ」
「『????????????』
役目を終え、去りゆくものへの労いの言葉。
と同時に、
『????????????』
新しい生活への第一歩を踏み締めた、
あなたへのはなむけの言葉でもあるのだから」
「ぐすん。
…………そうね。そうなのわん。
イオラ、判ったのわん!」
きっぱり。
「さよなら、イオラ」
「ありがとう、ミーナちゃん」
「にゃあ、ミーにゃん、イオラにゃん」
ぎくぅっ。ぎくぅっ。
「うわん! 起きていたのわん!」
「あらやだ。見られちゃったのかしら」
「こうなったら、開き直るしかないのわん。
ミアン、どうだった? 今のお芝居。
『家庭教師だったひとりの女性と
彼女の教え子だった女学生とが交わした心やさしい別れの会話』
心に、じぃぃん、とこなかったのわん?」
「あのにゃあ。
お芝居していたのはウチのほうにゃん」
「ミアンが?」
「はて? どういうこと?」
「あんまりにもクサイお芝居にゃもんで、
『これは相手にしにゃいほうが無難にゃ』と思ってにゃ。
今の今までおネムのフリをしていたのにゃん。
どうにゃ? ウチの演技は?
ぜぇんぜぇん判らにゃかったにゃろ?」
「…………」
「…………」
「あとにゃ。歌の文句(『?』)をセリフに紛れ込ませるっていうのも、
他力本願っぽくって、どうにも頂けにゃいのにゃん」
「…………」
「…………」
《ふたり揃っての『無言でふくれっ面』も、たまにはいいのにゃん》
「ミムカさん。とこしえの愛をあなたに」
「ではではぁ」
ちょきっ。
「ぐすん。はさみで切らなくても」
《縁を切りたいのがありありにゃん》
「ミーナさん。誰でも考えることは一緒ですよ」
「うわん!」
ぽっ。
「恥ずかしいのわん!」
《お勉強中に、にゃにを考えていたのにゃん?》
「心底嫌がっているのか?
それとも、
恥ずかしがっているだけなのか?」
「それってミリアにゃんに対する反応にゃろ?」
《圧倒的多数で……まぁいいにゃん》
「コマが回ったなぁ。コマ回ったなぁ。
『困ったなぁ』
ははっ。これってなかなか面白いやぁ。ははっ。
そうだ! みんなにも教えてあげなくっちゃあ!」
たったったったったっ!
こっそり。
「ミクリにゃんって相当、重症にゃん。困ったのにゃあ」
《安静にしてにゃ》
「ねぇ、ミアン。アタシ、思うのわん。
あの虹が渡れたのなら」
「向こう側に着くにゃけにゃんよ」
《ほっ。辛うじてメルヘン化を食いとめたのにゃん》
「おネムしにい夜は、でありますねぇ」
「ゲームわん!」
《道理で目が赤いのにゃん》