第百五十九話『話が進まにゃいのにゃん』
第百五十九話『話が進まにゃいのにゃん』
なめなめ。なめなめ。
「にゃあるほろぉ。
ミーにゃんとイオラにゃんにそんにゃことがあったとはにゃあ」
なめなめ。なめなめ。
「そうだけどぉ……ぷんぷん!」
「にゃに怒っているのにゃん?
まぁ根っからの怒りんぼさんにゃもんで、当然といえば当然。
不思議でもにゃんでもにゃいのにゃけれども」
「な、なんて言い草なのわん!
根っから、って、いつからそう思っているのわん!」
「いつからもにゃにも生まれた時からにゃん。
物心もつかにゃいのにウチの背中に乗ろうとするもんにゃから、
『危険にゃからやめにゃさい』って注意したのにゃん。
そしたらにゃんと、理解しているはずもにゃいのに、
『ばぶぅっ! ばぶぅっ!(ダメダメぇっ!)』って、
頭から湯気出して大怒りの始末にゃん」
「そうそう。懐かしいわぁ」
「ほら、証言者もちゃんと居るのにゃん」
「むうぅっ」
「でもね。ミアンちゃん。
ミーナちゃんの怒りんぼが発覚したのは生まれる前からなのよ」
「そうにゃん?」
「まさかぁ。悪い冗談なのわん」
「ふふっ。冗談なんかじゃなくってよ、ミーナちゃん。
ねぇ、ミアンちゃん。
ミアンちゃんは忘れちゃったのかしら。
想い出してみてよ。ミーナちゃんがまだ種の中に居た時のこと。
ワタシたちが、
『早く出てきてちょうだい』
「待っているのにゃよ。早く出てきてにゃん』
なぁんてはしゃぎ合っていたら、
「ばぶばぶばぶぅっ! ばぶばぶばぶぅっ!
(んもう! うっさいのわん!
急かさなくてもちゃんと出てくるから、
期待して待っていればいいのわん!)
なぁんて怒り心頭の返事が戻ってきたのを」
「そうにゃんそうにゃん。ウチも覚えているのにゃん」
「ほら、証言者だってちゃんと居るわ」
「んもう、ミアンもイオラもぉ。
本題そっちのけで昔話に花を咲かせないで欲しいのわぁん」
「昔は良かったわぁ。ねぇ、ミアンちゃん」
「イオラにゃん。それは禁句にゃ」
「どうして?」
「お歳をめいた方と見抜かれてしまうのにゃん」
「まっ」
「アタシが怒っているのはね。
ミアンが毛繕いを始めたからなのわん」
「あのにゃあ。
にゃんぼにゃんでもネコの毛繕いを一々怒っていたら」
「霊体であっても身が持たないわよ。
『このたびはとんだことで』の日が近づくだけだわ」
「違うわん。ふたりとも先走らないで欲しいのわん」
「先走るって、にゃにをにゃん?」
「いぃい? 良っく聴くわん。
『アタシが怒っているのはね。
これこれこうなのにミアンが毛繕いを』っていいたかったのわん。
でもってこれから、
『これこれこうなのに』の部分を話そうとしているのわん」
「にゃあんにゃ。とどのつまりが、
ミーにゃんが言葉を『はしょって』しまったのが原因じゃにゃい。
ウチもイオラにゃんも、どぉっこも悪くにゃいのにゃん」
「そうね。ここは一つ、『ごめんなさい』とでもいってもらわないとね」
「うっ…………ごめんなさいなのわん…………って、
なんでアタシが謝らなければならないのわぁん!」
「ミーにゃんが可愛いからにゃん」
「そうそう」
「あのね……。
ふたりとも、本気でそれが理由になっていると思うのわん?
大体よ。
可愛いといえば喜ぶとか思ってんなら、大間違いなのわん。
アタシはそんなに安くて単純な女の子じゃないのわん」
「にゃら、訂正するのにゃ。
ごっほん」
「ミーにゃんが、とぉっても綺麗にゃからにゃん」
「そうそう」
「まぁそれならぁ、って、なに考えてんのわん!
そんな言葉ぐらいでアタシを手なずけようたって、そうは」
「でもにゃ。本心は嬉しいのにゃろ?」
「正直におっしゃい。ミーナちゃん」
「…………うん」
ぽっ。
《にゃあんか話が進まにゃいのにゃん》