表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウチとミーにゃんのお喋り話  作者: にゃん丸
158/1000

第百五十八話『追いつめられたウチにゃん』

 第百五十八話『追いつめられたウチにゃん』


 のっし。のっし。のっし。ぴたっ。

 ぴくぴくっ。


「困ったわん。困ったわん。困ったわんったら、困ったわん」

「困ったわぁ。困ったわぁ。困ったわったら、困ったわぁ」


「はぁ。

(またにゃんかやらかしたのにゃん?

 と思わず薄焼きせんべいよりも薄い目とにゃって、

 耳をそばだててしまうのにゃあ。

 ……まっ、それはそれとしてにゃ)

 相も変わらず、仲のいい似た者同士にゃん。

 今日のイオラにゃんがまた、

 ミーにゃんのお姉さんっぽい顔と容姿にゃもんで、

 更に拍車をかけた形にゃ。

 まぁ本来にゃら、にゃにを困っているのか聴いて然るべきところ、

 にゃのにゃけれどもぉ……にゃあんかにゃあ。

 ややっこしいことに巻き込まれそうにゃ気がするのにゃん。

 悪いことの予感って結構当たるもんにゃしぃ。

 この際、君子危うしに近寄らず、でいくのもいいかもにゃあ」

 くるっ。

「ぶふっ。都合のいいことに、

 どうやら、こっちには気がついていにゃいみたいにゃ。

 にゃらばここは一つ、

 見て見にゅふり、でそっと出かけてしまおうにゃん」

 くるっ。

 のっし。のっし。のっし。のっし。



「困ったわん」くるっ。「あれっ?」

「困ったわぁ」くるっ。「あら?」

「――ふにゃ。

 バッドタイミングでこっちを振り向いてしまったのにゃん。

 しょうがにゃい。

 ダメ元で、ここは一か八か他ネコの顔をしてみようにゃん――

 にゃおぉぉん」

「なぁんだ。通りすがりのネコなのわん」

「やれやれ。通りすがりのネコとはねぇ」

「うんにゃ。通りすがりのネコにゃんよ。

 ――ぶふっ。しめしめ。

 上手くいったの……おおっ、とぉ。油断は大敵にゃん。

 ゴールの出入り口まではあと少し。気を引き締めていこうにゃん――」

 のっし。のっし。のっし。のっし。



「ああでもぉ。なぁんかおかしいのわん」

「そうよねぇ。おかしいわよねぇ」

「精霊の間に、通りすがりのネコなんて」

「入れるはずがないものねぇ」

「あり得ないわん。ってことは」

「ってことは」



「(ぶふっ。やったにゃん。あとたった数歩で)

 ゴールにゃあぁあん!」


「はっ!」くるっ。

「まっ!」くるっ。


「ふにゃっ! ま、まずいにゃん!

 嬉しすぎて心の声を口に出してしまったのにゃんよ。

(ああでもにゃ。ここまで来ればもう……ふにゃにゃっ!)」

 びくぅっ!

「にゃ、にゃんにゃ?

 背後から、にゃんとも怖ろしげにゃ気配が近づいてくるのにゃん」

 がたがたがた。

「まるで ようやく獲物を見つけたといわんばかりに、

 舌舐め刷りする獣のようにゃあ……。

 んもう、怖くて怖くて足がすくんでしまったのにゃん」


「ミアァァん!」

 ぱたぱたぱた。

「ミアンちゃああぁん!」

 ぱたぱたぱた。


 びくびぅっ!

「おっとろしや、にゃん。

 ウチの名らしきもんをを呼ぶ声にもにゃ。

 呪いが込められているようにゃ、

 おどろおどろしい響きが感じられてにゃらにゃいのにゃん」


「さぁこっちを振り向くのわぁん」

「とぉっても大事な用があるのぉ」


「(ダ、ダメにゃん。ここで振り返ったら最後にゃ。

 身も心も奪われてしまうのに違いにゃいのにゃん。

  ……でもにゃ。でもにゃあ)

 足が進まにゃいのにゃああん!」

 がたがたがた。



「(にゃあ、ミアンにゃん。

 ここがあんたの正念場。踏ん張りところにゃよ。

 勇気を振り絞るのにゃん。

 にゃせばにゃる。にゃさねばにゃらにゅ。にゃにごともにゃ。

 ほら、あと数歩じゃにゃいの。たったそれにゃけで、

 自由へと飛び立てるのにゃん。新しい自分に逢えるのにゃよ)

 ええいっ、ままよぉ! にゃのにゃん!」

 たったっ!


「ミアン! ちょいと待つのわぁん!」

「ミアンちゃあん! 逃がさないわよぉ!」


 すぅぅっ。


「にゃ、にゃんと!

 出入り口が消えてしまったのにゃん!」


「ミアン!」

「ミアンちゃん!」


「(万事休すにゃん)

 こうにゃれば覚悟してぇ」

 くるっ。

「ふにゃああぁぁっ!」



《まさに風前の灯にゃん、の心持ちで、つづくのにゃん》



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ