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ウチとミーにゃんのお喋り話  作者: にゃん丸
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第百五十三話『ウチらは逃げられにゃいのにゃん』

 第百五十三話『ウチらは逃げられにゃいのにゃん』


「ただ今ぁ」

「あら」

「ミーにゃんにゃ」

 のっし。のっし。

「ミーにゃん。お帰りにゃさぁい。

 にゃんかあったのにゃん? ずいぶんと遅かったのにゃけれども」

「えっ。……うん、まぁ」

 ぱたぱたぱた。

「イオラぁ」

「お帰りなさい。

 ミーナちゃんったら、やっとご帰還?」

「情けないけどね。失速したのわん」

「どうしてにゃ?」

「実は……、ちょっと高めに飛びすぎたのわん」

「高めって、まさかにゃん」

「そのまさか、なのわん。

 太陽同士のケンカで生じた衝突波の先っぽがね。

 ほんのちょっとだけど、翅をかすっちゃったの」

「危にゃかったのにゃあ」

「本当本当。

 直撃じゃなかったのが、せめてもの救いなのわん」

「ミーにゃん。ごめんにゃ。

 ウチが光弾とにゃるにゃんて余計にゃことをしたばっかりに」

「ううん。ミアンが悪いんじゃないわん。

 全てはアタシのせい。アタシの不注意がもたらした事故なのわん」

「ほら。治してあげるから後ろを向いて」

「はぁい」

 くるっ。

「どれどれぇ……。

 ああ。裂け目がいくつかあるわね。まっこれなら手をかざすだけで」

 さあぁぁっ。

「ミーナちゃん、終わったわよ」

「ありがとう、イオラ」

「どういたしまして。

 なんにしても無事で良かったわぁ。ミーナちゃんもミアンちゃんも。

 くれぐれもムチャはやめてね。

 ふたりの笑顔がワタシにとって一番の宝物なんだから」

「ぶふっ。にゃあんか」

 ぽっ。

「照れてしまうわん」

 ぽっ。



「でもなぁ。円盤がダメとするとぉ……ふぅぅむ。

 どうすればいいのわぁん?」

「あら。円盤って?」

「イオラにゃん。ミーにゃんはにゃ。

 みんにゃを円盤に乗せてここから脱出することを考えていたのにゃん」

「へぇ。

 でもね、ミーナちゃん。

 そんなモノが仮に出来たとしても、ワタシたちは逃げられないわよ」

「どうしてなのわん?」

「ワタシがイオラの木に宿る精霊だから。

 影がどこに居ようと、影に心を移そうとも、

 本体は大地にしっかと根を下ろしている樹木の中。

 ワタシが天空の村から飛び立つことは出来ないのよ」

「にゃら、イオラにゃんの命の欠片を分けてもらったウチも」

「アタシも逃げられないってことかぁ」

「そう。いうなれば、天空の村ともども『運命共同体』ってとこかしら」

「なら、どうすればいいのわん?」

「実をいうとね。精霊の会議でもこの問題に終始したのだけれど」

「あっ。やっぱそうなの。

 で、どうなったのわん?」

「にゃんか上手い方法でも出たのにゃん?」

「それがねぇ。さっぱりのぱり、なの。

 地上周りのことはいざ知らず、

 お空の上の上、太陽の高さまでいっちゃうとねぇ。

 みぃんな、お手上げ状態なのよ」



「三連太陽の暴挙をなんとしても鎮めねばならぬ。

 そなたらになにか良い知恵があるならば、是非、聞かせてもらいたい」

「とりあえずは、光波の防壁を築いてはいかがでしょうか?

 今のような無防備のままでは、

 村に甚大なる被害が及ぶのも時間の問題かと」

「待ちや。フィーネ。その防壁、いつまで続ける所存じゃ」

「いつまで、と申されましても」

「確かに、防壁としては光波が望ましかろうて。

 しかしのう。天空の村全面に、しかも際限なく続けるとなれば、

 途方もない霊力が失われよう。

 その代償となるモノはなんぞえ?」

「それは……」

「考えるまでもあるまい。

 我らに託された『惑星ウォーレスの浄化と天空の村の帰還』

 という二大使命が果たせなくなるばかりか、

 空に浮かぶのすらかなわなくなるのは自明の理。

 あのどす黒いガス雲の中に沈み、崩壊するしかなくなるのじゃ。

 のう、フィーネ。それでよいとお考えか?」

「失礼な!

 わたくしとて大精霊のはしくれ。

 村の崩壊を受け入れる気など、露ほどもございません。

 銀霊さまにおかれましても、

 そのような暴言はお慎みなされるが賢明かと」

「わらわは事実をいっておるにすぎぬ」



「って内輪揉めまで起きてさんざん。

 こちとら、体のいいところでずらかろしていたのに、それもパァ」


「ミーにゃんミーにゃん。どうやらウチらの見込みは」

「うん。必ずしも間違っていなかったのわん」


「とどのつまりが、ワタシの『あくび』と『ねぇ。どうしますかぁ?』で、

 みんながこっちをにらみつけてね。

 でもって、次回持ち越し、となって終わってしまったのよ」

「あんたにゃあ」

「しょうがないじゃない。

 険悪なムードになりそうなのをなんとかするには、

 部外者面して、ほおづえを突くぐらいしか思いつかなかったんだもん」

「だもん、ってにゃあ」


「ふぅ。

 まァそんなことじゃないかと思ったのわん。

 眺められるといったって、実際に太陽があるのは宇宙。

 大精霊といえども、力の及ばない空間じゃあね。

 どうしようもないのわん」

「天外魔境を使えば、到達することは可能よ。

 でもそこからどうするかはねぇ。

 ミーナちゃんのいう通り、

 天空の村の守護神とはいっても宇宙は管轄外なの。

 だから太陽をなんとかしたくても」

「どうにもならない、かぁ。

 本当、困った話なのわん。

 ねぇ、ミアン。ミアンだったら、どうする?」

「そうにゃにゃあ……。

 まぁ方法があるとするにゃら、一つにゃけにゃん」

「えっ。なんなの?」

「面白くなってきたわぁ。

 ミアンちゃん、なにを思いついたのか聴かせて」

「太陽とはいえ、精霊が宿っていることに変わりはにゃい。

 にゃらばここは」


『ここは?』


「ずばり、話し合いにゃよ」


『ほぉ』



《自分でも予想にゃにしにゃい発言。どうにゃるかは、つづくのにゃん》



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