第百五十二話『円盤はどうにゃるのにゃん』
第百五十二話『円盤はどうにゃるのにゃん』
「そもそもであります。
ラムとオメが闘い始めてからまだ数時間ぐらいしか経っていないはず。
これでは危機感を覚えてもそこまで。
円盤を造ろうなんて発想は思いも依りませんですよぉ」
「ミーにゃん。
みんにゃがミーにゃんではにゃいのにゃよ」
「そうだったのわん。
この鋭い洞察眼はアタシだけのもの。
誰でも手に入れられる代物ではなかったのわん」
「ねぇ、ミアン。ちょぉっといいでありますかぁ?」
「急に小声で、にゃんにゃの?」
「ミーナって自信過剰なところがありますですねぇ」
「にゃにを今更」
「それでそれで?
円盤はいつ完成するのわん?」
「ミーナ。
さっきミムカが喋った言葉、聴いていなかったのでありますかぁ?」
「失礼な。ちゃんと聴いたのわん。
聴いた上でいっているのわん。
今から造ったら、どれくらいで完成するのかって」
「だったら言葉をはしょることなく、ちゃんといってくださいませです」
「うぅぅむ。確かにそれも一理あるかぁ。
やれやれ。世の中ってなかなか思うようにはいかないのわん。
ライバル同士なもんで、
『ひょっとしたら以心伝心とやらでぇ』なぁんて期待したんだけどなぁ」
「それは残念でありましたねぇ。
でもまぁ一から百まで相手の心が通じてしまうというのも、
いかがなものでありましょうかぁ?
便利ではある反面、
なぁんか拘束されているようで、
窮屈このうえない、と感じられてならないのでありますがぁ?」
「いわれてみれば……うん。そうかもしれないわん。
しょうがない。だったら以心伝心は、すぱっ、とあきらめるのわん」
「はい。それがいいと思いますです」
にこっ。
「それでそれで?
円盤はいつ頃から造るつもりなのわん?」
「さっきから聴いていれば、
円盤を造るのはもう『規定の路線』みたいになっていますですがぁ」
「だってそうじゃない。
円盤でも造らなきゃ、いざという時、誰も救えないのわん」
「では逆にこちらからもお尋ねしますですがぁ」
「なにわん?」
「そもそもでありますよ。
円盤ってどんな構造で造られているのでありますかぁ?
造るにあたっては、なにとなにが必要なのでありますかぁ?
またそれらは全てこの村でも調達出来るのでありますかぁ?
どうやって組み立てるのでありますかぁ?
組み立てる道具は揃っているのでありますかぁ?
設計は誰が担当するのでありますかぁ?
それから、それからぁ……って、
どうして誰も居なくなってしまったのでありますかぁ?」
のっし。のっし。のっし。
「思わずミアンの背中に乗って逃げ出してきちゃったけどぉ。
はぁ。
アタシったら、
なぁんか根本的な間違いをやらかしていたような気がするのわん」
「まぁまぁ。『にゃいものねだり』は誰にでもありがちにゃのにゃん」
がつん! がつん!
「ほら、見て。
上空ではアルとラムのぶつかり合いが、
どんどん激しくなっていくのわん」
「おびただしい霊波を撒き散らしているのにゃあ。
あれが地上まで降り注いにゃら大変にゃん」
「やっぱなんとかしなければならないのわん」
「にゃあ、ミーにゃん。こんな事情でもあるし、
イオラにゃんはもう帰ってきているんじゃにゃい?」
「かもね。
精霊の会議に出席しているんだから当然、
『太陽の反乱』についても耳に入ってくるだろうしぃ。
となれば、イオラのこと。
『会議どころじゃないでしょ!』とかなんとか理屈をつけてさ」
「うんにゃ。さっさとずらかろうとするに違いにゃいにゃん」
「よぉし。だったらアタシたちも精霊の間に戻るのわん」
「うんにゃ。そうと決まれば」
たったったったったっ……びゅううぅぅん!
「うわっ! 青の光弾!
なぁんか身体がうずうずしてきたのわん。
よぉし。こうなったら出来そこないの『瞬飛』でミアンから離れて」
ぴゅん!
ぱたぱたぱた。
「でもってアタシも緑の光弾となってやるわん。
ミアン、本物の力をばとくと見よ。
すぐさま追い抜いてみせるのわん!」
ぱたぱたぱたぱたぱた……びゅううぅぅん!
《光弾とにゃっても、お話自体は慌てず急がず、つづくのにゃん》