表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウチとミーにゃんのお喋り話  作者: にゃん丸
15/1000

第十五話『にゃんかおかしいのにゃん』

 第十五話『にゃんかおかしいのにゃん』


「ミアンったら、いつのまに鼻がそんなに長くぶっとくなったのわん?

 顔全体も毛むくじゃらになっているし、

 口なんかもほら、縦に切れた状態になっているしぃ。

 アタシがちょぉっと目を離した隙に、一体なにがあったというのわん?」

「あのにゃあ……。

 それはお尻にゃん。

 ミーにゃん。ウチのお尻に話しかけてにゃにか面白いのにゃん?」

「おや、声が向こうからするわん。ということは……、

 まさか、あっちが!」

「にゃにが、まさか、にゃん。わざとらしいにもほどがあるのにゃよぉ」

「なら、ぐるっ、と前に回れば」

「にゃんにゃの?

 さっきからウチの言葉を全然聴いていにゃいのにゃけれども」

 ぱたぱたぱた。ぱたぱたぱた。

「やっぱり、こっちが…………ふっ」

「ふにゃ、気絶したのにゃん」

 ひゅうぅぅっ…………ぺちっ。

「でもって、真っ逆さまにゃ格好で地面に落ちてしまったのにゃん。

 ますますもって判らにゃい。一体どういうことにゃん?」


「まっ大変。ミーナちゃんが目を回してぶっ倒れているわ。

 ねぇ、ミアンちゃん。一体なにがあったの?」

「それがにゃ、イオラにゃん」

 くるっ。

「あら。どこの美女かと思ったら、ワタシの顔じゃない」

 まじまじ。

「……ってそれどころじゃないわ!」

「どうしたのにゃん?」

「ごめんなさいね、ミアンちゃん。

 どうしてかしら。

 ワタシとしたことが、あってはならないミスを冒してしまったの」

「いきにゃり謝られてもにゃ。

 にゃにがどうにゃって謝っているのか、

 そこらへんをネコにも判るようにちゃあんと説明して欲しいのにゃけれども」

「ミアンちゃん。百聞は一見にしかず。こっちに来て」


 すたすたすた。

「イオラにゃん。これは『真実を映し出す鏡』じゃにゃいの」

「ええ。そうよ。

 さぁミアンちゃん。落ち着いて鏡の前に立ってごらんなさい」

「動揺にゃんてこれっぽっちもしていにゃいのにゃけれども……。

 まぁいいにゃん。にゃらイオラにゃんのいう通り」

 すたすたすた。

「ほら、立ったのにゃよ」

「こっちじゃなくって反対側を見て。

 鏡に映った自分の姿を見れば、なにがどうなったのか直ぐに判るわ」

「にゃんか怖くにゃってきたのにゃん。

 ……でもまぁ直ぐに判るっていうしぃ。

 ……いや、やっぱやめておいたほうがぁ。

 ううん、悩むにゃあ。見たいことは見たいしぃ。

 こうにゃったら自己暗示でもかけてみるのにゃん」


(ミアン。気を鎮めて。気を鎮めるのにゃん。

 にゃあんにも怖いことにゃんかにゃいのにゃ。

 そうにゃ。にゃあんにも怖くにゃんかにゃいのにゃん)


「よぉし。落ち着いたのにゃ。

 にゃら一気に見るにゃよぉ。せぇのぉっ」

 くるっ。

「…………………………………………」

 ばたん!


「ミアンちゃんも……気を失ってしまった。

 無理もないわ。

 化けネコとなったミアンちゃんの身体は、

 百年に一度、メンテナンスを施さなければならない。でないと変異してしまうの。

 最悪の場合、滅びを迎えないともかぎらない。

 なのにワタシったら……くうぅっ。情けない。こともあろうに忘れてしまうなんて。

 いつまでも、ずうっ、と一緒。そばに居るのが当たり前。

 そんな意識がワタシの油断を生んでしまった。

 ワタシたちがこうやって一緒に暮らしていられるのも、

 楽しい日々を過ごしていられるのも、

 決して当たり前なんかじゃない。

 実は奇跡なのだということが……、

 いつの間にか記憶のどこかに忘れさられてしまっていた。

 ごめんね、ミアンちゃん。

 全てはワタシのせい。ワタシの責任よ。

 身体に異常が発生したのも。

 今のワタシの顔となったのも。

 ミーナちゃんやミアンちゃんを気絶させたのも。

 ワタシの愚かさが招いた災難。だから……、

 許してちょうだい。

 軽くて身勝手ないい方かもしれないけれど、でも……、

 許してちょうだい。

 今はこれをいうのが精一杯。

 直ぐにメンテナンスにとりかかるわ。

 安心して。絶対に手遅れになんてさせない。させてたまるものか。

 折角授けたその命。滅ぼしてなるものか。

 たとえ、どれほどの命の欠片を与えることになろうとも。

 必ずや、生き永らえさせてみせるから。

 必ずや、元の姿に戻してみせるから。

 天空の村の守護神。精霊イオラの名にかけて」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ