第百二十九話『迫りくる脅威にゃん』
第百二十九話『迫りくる脅威にゃん』
「みんにゃ、どこに行ったのにゃん?」
きょろきょろ。
「まぁどこに行こうと、
いずれはここ『遊び場』に来るのに決まっているのにゃん。
にゃら、寝そべって待つとしようにゃん」
べたぁっ。
「にゃんとも平和にゃにゃあ」
ごろごろごろ。
「暖かな陽射しの下、
柔らかくて香りもいい草むらでの日向ぼっこは最高にゃん」
ごろごろごろ。
「こうやって転がっていてもにゃ。次第にうとうとと……」
ぱたぱたぱた。
「た、大変なのわぁん!」
ぱたぱたぱた。
「みんなぁ!
どこでもいいから、
至急、身の安全を確保出来るところへ避難してちょうだぁい!」
ぱたぱたぱた。
「頼むから急いでくれぇっ!」
たったったっ!
「ミムカからも頼みますですうっ!
早く避難をしてくださいませませぇっ!」
たったったっ、ずずぅっ!
「痛たたぁっ!
はぁ。
やれやれ。また滑り込みセーフをやってしまいましたかぁ。
私は苦手ですよ。歩くのも走るのも。
ネコ型なのに、どうしてなんでしょうねぇ…………はっ!
そうです!
どっちみちずっこけるなら、このまま留まっていたほうが」
「いいわけないわん!」
びびびびびび!
「あわあわあわ」
「しょうがないから、念動霊波で連れていってあげるのわん」
「そりゃどうも……あわあわあわ」
「こらこら。ばたばたと動くんじゃないわん!」
どっがあぁん! ごろごろごろおぉっ!
どっがあぁん! ごろごろごろおぉっ!
「ふにゃ? にゃんかうるさいのにゃあ」
どっがあぁん!
「もちっと静かに……うん?
にゃんにゃの? 頭上から丸っこいもんがこっちへ」
たったったったったっ!
「ミアン君! 危なぁい!」
どがぁっ!
「ふにゃあっ!」
ひゅうぅっ!
「ごめん。体当たりでふっ飛ばしちゃって。
……なぁんてわびても、君はもうはるか空の向こう。
結構長く飛んでいるんじゃないかなぁ。あの勢いなら」
「ミクリ殿。そこは危ない。早くオレと」
「だね。
んじゃいっくよぉ!」
ぴょおぉん!
「こちらも」
ひゅうぅっ!
「――ふっ。空と地からの正面衝突、かぁ。
うん。それも悪くない――
呪を発動する。ミクリ殿。言葉を合わせてくれ!」
「よっしゃあ!」
「フュージョンパターン!」
「『翼ネコ』ぉっ!」
きかっ!
ぱさばさっ!
「へぇ。やってみるもんだねぇ。
いや、出来る、とは聴いていたけどさぁ。
本当の本当に翼がついちゃったよぉ」
ぱさばさっ!
「ミクリ殿。
ちゃんと思い通りに動かせるか確かめてくれないか?」
「それそれ。そうじゃなくっちゃね」
びゅうぅん!
「うひょおぉ! 飛んだ飛んだぁ!」
ぐるぐるぐるっ、びゅうぅん!
「うむ。なんの支障もなさそうだ」
「ねぇ、ミロネ君。
ボクの心に直接話しかけてくるけどさ。
君にも飛んでいるのが判るのかい?」
「ああ。今この身体はオレと貴殿のふたりで共有しているからな。
同じものを見て、同じものを感じている」
「うほっ、そうなの?
だったらさぁ、君が動かすことも」
「むろん、出来ることは出来るさ。……しかしながら」
《おトイレは無理、にゃあんて冗談を考えにゃがら、つづくのにゃん》