表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウチとミーにゃんのお喋り話  作者: にゃん丸
128/1000

第百二十八話『ピザの末路は、ぺろり、にゃん』

 第百二十八話『ピザの末路は、ぺろり、にゃん』


「数ある壁を越えたら、そこはにゃんと」

「巨大なピザが鎮座していたのわん」

「ウチらを待っていてくれてありがとうにゃん。

 にゃら早速」

「待て待て待て待てぇい!」

 ぴたぴたぴた……ぴたぴたぴたっ。

「にゃあるほろう。

 ぐにゃぐにゃ歩いていたら、時間がかかってしょうがにゃい。

 間に合わにゃい。にゃもんで」

「身体をばらばらにして飛んできたのわん。

 なかなか考えているじゃない。ミアンも見習いなさいね」

「うっ……ミーにゃんもにゃ」

「うっ」



「ふぅ。なんとか間に合ったのじゃん。

 やい! アホウども」


「ねぇ、ミアン。アホウどもだってさ」

「こっちもばれてしまっていたのにゃん」

「なんで判っちゃうのわん?」

「ひょっとしたら……、

 自然放出される霊波とは別に、それとにゃくそんにゃ感じのオーラが、

 ウチらから発生しているのかもしれにゃいのにゃあ」

「ふぅ。やっぱダメかぁ。生まれながらのこういうもんって、

 隠そうとしても、隠し切れないのわん」

「いいんじゃにゃいの。隠さにゃくたって。

 ありのままの自分をさらけ出して見つめ直して。

 そこから始まるのにゃもん。新しい自分への第一歩が」

「うん。今はアホでも、

 心がけや努力次第でどうにでも変わっていくのわん。

 なにしろ、アタシたち幼児の『若さ』には、

 神にも匹敵する力が秘められているんだから」

「ミーにゃん。今のセリフ、イオラにゃんの前ではご法度にゃよ」

「重々承知なのわん。『歳』に関する話題は『×』だって」


「おい。小声でなにを喋り合っているのか知らんが、

 今度こそ、お前らの霊力を根こそぎ奪ってやるのじゃん」

「どうやってにゃん?」

「いわば物量作戦じゃん。

 お前らが『丸っこいもん』と呼んでいた、あっしの仲間、

『ねばねばチーズつきのサラミ』どもを総動員するのじゃん。

 奴らを一斉に飛びかからせれば、けっけっけ、

 ひとたまりもあるまいのじゃん」

「そうかなぁ。だってミアンみたいに食べちゃえば」

「むろん、噛み切られでもしたら、ただのサラミとなってしまうが、

 それでもかなりの数が引っつき、霊力を吸い上げるはず。

 お前たちにとどめを刺すのじゃん。

 けっけっけっ。どうだ、参ったか。

 あっしらの勝利が揺らぐことなど、あり得ようはずもないのじゃん」

「じゃんにゃん。長々とご説明ありがとうにゃん。

 おかげでこちらの準備も整ったのにゃん」

「準備だと? 一体なにをいっているのじゃん」

「じゃん。後ろを、ピザを見れば、直ぐに判るのわん」

「後ろ?」

 くるっ。



「ああああああぁぁぁぁぁ!

 な、なんだ、こいつらは!」

「こいつらは、ごあいさつだねぇ。

 ボクはミクリ。地中ネコだよ。仲間もほら、こんなに連れてきたんだ」

 ぞろぞろぞろ。ぞろぞろぞろ。

「ど、どうしてここに……」

「ボクの友だちに霊覚交信でお呼ばれさ。

『お食事会を催すもんで、

 仲間ともどもご招待するのにゃん』ってね」

「ま、まさかぁ」

 くるっ。

「ウチにゃん。やっぱ大勢で食べるほうが美味しいのにゃもん」

「アタシも、一も二もなく頷くのわん」

「おぉい、ミクリにゃあん。

 丸っこいもんが引っついてくるとは思うのにゃけれどもぉ、

 心配しにゃくてもいいにゃあん。

 噛み切るにゃけでにゃあ、おとにゃしく食べられてくれるのにゃあん」

「へぇ。なんか面白そうだねぇ。

 美味しそうな匂いも漂ってくるしさぁ。ねぇ、もういいだろぉう?

 早く食べさせてくれよぉ」

「なら、ごっほん。

 長らくお待たせしましたのわん。

 さぁ。ミクリんたちぃ。

 遠慮はいらないからやっておしまいなのわぁん!」


 おうっ!

 ぱくぱく。もぐもぐ。



「待て、待つんだ! 早まるなぁ!」

 ぱぱぱぱぱっ!

「見てよ、ミアン。じゃんがまた分離してピザに向かっていったのわん」

「仲間と協力して最後の最後まであがこうとしているのにゃん」

「敵ながらあっぱれな心がけなのわん。

 だったらアタシたちもさ。ミクリんに協力して」

「お食事といこうにゃん!」

「うん!」

 たったったったったっ!

 ぱたぱたぱたぱたぱた!



 ぱくぱく。もぐもぐ。

「美味いのにゃ、美味いのにゃん」

「本当本当。やたらと大きいこともあって、

 味についてはそれほど期待していなかったんだけどね。

 結構イケる味じゃない。これならいいわん。

 丸っこいもんも、本体も、なかなかの出来栄えなのわん。

 ついでに飲み物を、とオーダーしたいところだけどぉ、

 まぁこれはガマンするしかないのわん」



「ダメじゃん! ダメじゃん! 食べたらダメじゃん!」


「おや? 声の感じがにゃんかおかしいのにゃん」

「そういえば……。

 勢いはそのままなんだけどぉ。次第にかすれてきているみたいなぁ。

 でもどうして?

 丸っこいもんは、まだまだ残っているのわん」

「本体が半分以上、食べられちゃっているせいじゃにゃい?

 ほら。確か、『切りたくても切れない間柄』とかいってたにゃろ?」

「そうそう。いってたのわん」

「それって、

『片っ方が滅びれば、もう片っ方も滅びる』って意味かもにゃ。

 本体のピザ生地が滅びを迎えようとしているもんで、

 トッピングのじゃんにゃんも。

 そういう運命にゃんじゃにゃいの?」

「かぁもね」



「おのれぇ、よくもよくもぉ……ってことで、

 最後の記念にいってみようじゃん!

 じゃんじゃかじゃあぁん!

 じゃんじゃんじゃんじゃんじゃかじゃあぁん!」

「……なんかすっごいわん。断末魔の際まで口演奏だなんて」

「あれぞプロにゃ。プロの職にん芸にゃん」

「もう一発ぅっ!

 じゃんじゃかじゃあぁん!

 じゃんじゃんじゃん…………」

「あっ、途切れたのわん」

「ミーにゃん、合掌にゃ。

 じゃんにゃん。お疲れさまでしたのにゃん」



「ふぅ。綺麗さっぱりと平らげたのにゃん。

 にゃら、ミーにゃん」

「うん。みなまでいわなくても判っているのわん」


『お食事会、これにて終了なのわあぁん!』



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ