第百十七話『未来を悟ってしまったのにゃん』
第百十七話『未来を悟ってしまったのにゃん』
じたばたじたばた。右往左往右往左往。
「ふわあぁぁ。にゃんということにゃん!
情緒不安定にゃミーにゃんのこと。
いつの日か、
こんにゃ日がくるのではにゃいかと恐れていたのにゃあん」
「ちょいと待つのわん。誰が情緒不安定だっていうのわん?」
「でもにゃ。でもにゃ。まさか本当にくるにゃんて」
「うわっ。
アタシの声がミアンの右耳から左耳へと素通りなのわん。
ぜぇんぜぇん、聴こえていないのわぁん」
「いずれは……そうにゃん。一日中、意味もにゃく、
けたけた、と笑うミーにゃんの姿を目の当たりにするのに違いにゃい。
『笑い』が『病』へと、名と体を変え、
精霊の間で一緒に暮らすウチやイオラにゃんに感染するのにゃって、
火を見るよりも明らか。時間の問題、といわざるを得にゃいのにゃん。
にゃんとも怖ろしい……ふにゃっ!」
「ど、どうしたのわん?」
「突然、頭に、きらぁっ、と閃きにゃん!」
「なんてことが!
可哀想なミアン。とうとう頭がイカれてしまったのわん。
断末魔の光をさらしたのわん」
「あのにゃあ、ミーにゃん。ウチは違うと思うのにゃけれども?」
「誰でも最初はそう思うのわん。
間違っているのは自分じゃない。他のみんなだって。
でもやっぱそうじゃないのわん。そうじゃ……ないのわん。
アタシはミアンの親友。
だからこそ涙を隠してアタシが宣言するのわん」
「ミアン!」
びしっ。
「あなたは終わったのわん!」
「まぁそれもいいかもにゃあ」
なめなめ。
「こらぁっ!
突然やる気を失くして、毛繕いに専念するんじゃないわん!」
「にゃら、おネムしろと? それもいいにゃん」
すうぅっ。すうぅっ。
「ねぇ、ミアン。後生だから目を覚まして。
……と手を合わせて頼むわん。
もう余計な、ちゃちゃ、は入れないと、これまた宣言するのわん」
「ミーにゃんミーにゃん。
ウチの閃きはにゃ。
にゃんと、天空の村の地獄絵図を物語っていたのにゃよ」
「へぇ」
「ウチの考えは甘い。アメダマよりも甘かったのにゃん。
にゃんとにゃれば……、事態はそれにゃけにとどまらにゃいのにゃん!
ミーにゃんの『けたけた笑い』から始まったこの病は、
イオラの森全体に拡がってにゃ。
ひいては天空の村全土にまで及ぶのにゃん。
とどのつまりが、
生きとし生けるもの、みんにゃがみんにゃ、
たにゃ、けたけた、と笑う日がくるのにゃん。
笑う者は笑うたんびに霊力が失われていき、
笑う者に供給し続ける神霊ガムラにゃんの霊力もまた失われていく。
それはとりもにゃおさず、
『天空の村』と呼ばれる孤島の浮遊が終わりを告げ、
あの恐るべき毒ガスの雲海へと沈んでいく運命を意味するのにゃん。
あぁあにゃんということにゃん。
とぉっても残念至極、にゃのにゃけれども、
この世の終わりって案外、近いのかもしれにゃい…………はっ!
ふにゃああっ! 大変にゃああっ!
ミーにゃん、ウチは、ウチは、
とぉんでもにゃあい未来を悟ってしまったのにゃあぁん!
どうしたらいいのにゃあぁん!」
じたばたじたばた。右往左往右往左往。
「ねぇ、ミアン。ちょっとは落ち着いたらぁ?」
「ミーにゃん! 村の一大事にゃのにゃよぉっ!
にゃのに、んぐっ、にゃのに、
にゃあんでそんにゃに冷静で居られるのにゃん!
にゃあんで冷やかにゃる視線でウチを見つめているのにゃん?」
じたばたじたばた。右往左往右往左往。
「――にゃあんで、っていわれてもねぇ。
こちらも、『なぁんで』って返すしかないのわん。
……ということで――
ミアンったら、なぁんでそこまでいっちゃうのわん?
ひょっとして、ミリアんの妄想癖にでも感染してしまったのわん?」
「はっ!」
ぴたっ。
「またしても、はっ! なのわん?
情緒不安定なのは、むしろ、そっちなのわん」
「にゃあんにゃ。そうにゃったのにゃあん。ほっ」
「としてどうするのわん?
本当の本当に、あのミリアんのが感染したとなれば、よ。
もちっと、うろたえたって」
「大丈夫にゃよ、ミーにゃん。
ウチの閃きが、ミリアにゃんの妄想にゃら、
どっちみち上手くいきっこにゃいもん。
村もイオラの森も平和にゃままにゃん。
『感染』にしたってそうにゃ。
熱しやすく、冷めやすいから、直ぐ元に戻れるのにゃん」
「なぁるほどね。
確かに今までの体験からして、そうだと頷けるのわん」
《ある意味、信頼されているのにゃ、と思いつつも、つづくのにゃん》