第百十二話『あれこれ話パート17にゃん』
第百十二話『あれこれ話パート17にゃん』
《いつまでやってんのにゃん? にゃあんてあきれにゃいでにゃ》
さらさら。さらさら。
「舞い落ちた『アカリ』の花びらで湖が紅く彩られていく……。
なぁんとなぁく風流な趣のある景色なのわん。
切ないような、物悲しいようなぁ…………ふぅ。
もうそんな季節になったのかぁ」
どっぼおぉん!
「墜ちた化けネコが湖の中へと沈んでいく……。
(よせばいいのに枝の上でおネムなんかしているから。
頭を傾けた途端、ずるっ、と滑って、そのまま落下。
まるで喜劇の一幕を鑑賞したかの気分なのわん)
なぁんとなぁく風流な趣のある景色……であってたまるかぁ、なのわん!
(目を瞑ったまま四つ足フルで、かきかき、なのわん。
無意識なはず、なのに、もがきにもがくまくっているのわん)
ふぅ。もうそんな季節に……じゃないわん!
(日常茶飯事なのわん!
でもってアタシが念動霊波で拾い上げるのも、
これまた日常茶飯事なのわん!)」
《怒りっぽいミーにゃんにとって、『風流』は縁遠い存在にゃのにゃん》
「愛さえあれば、あとはなんにも要らないのです」
「にゃら、ミリアにゃん」
かしゃりん。
「これ、いっただきにゃあん!
うわぁい! ミーにゃん、喜ぶにゃろうにゃあ!」
びゅうぅん!
「こらあっ!
ピンクのメガネ、いえ、首輪をただちにお返しなさぁい!」
びゅうぅん!
《にゃって、にゃんにも要らにゃいって、いったじゃにゃいの》
「どうか私に、とこしえの愛を」
「ミリアにゃん。
悪いことはいわにゃいから、ほどほどにしておきにゃさい。
最初は良くてもにゃ。
あとあと面倒ににゃるのに決まっているのにゃん」
《愛を続かせるのにゃって、それ相応の手腕と忍耐が必要にゃのにゃん》
「にゃんでもにゃ。太らにゃいためには、
『脂質』と『糖質』の供給を抑える必要があるんにゃって」
「なんなのわん? それって」
「知らにゃい」
「あのねぇ」
「でもにゃ。たとえ抑えられて痩せたとしてもにゃ。
長続きはしにゃいんにゃって」
「どうして?」
「知らにゃい」
「こらあっ!」
「ミーにゃん。知りたいにゃら、自分で調べてにゃ。
でもって判ったら、教えてくれればそれでウチは満足にゃん」
「うわん!
典型的な他力本願なのわん!」
「ウチがいいたいのは『リバウンド』って奴にゃん。
つまりにゃ。
無理して痩せても、また元に、いや、それにゃらまにゃしもにゃ。
もっと、もぉっと太ってしまうパターンがあるという現実にゃん」
「まぁそれはあると思うわん」
「にゃらば、こうもいえにゃい?
『アホ質』をにゃ」
「ちょいと待つのわん。なに? 『アホ質』って」
「さすがはミーにゃん。お目が高い、じゃにゃい、お耳が高いのにゃん」
「お耳が高い? はて? どういう意味わん?」
「知らにゃい」
「んもう! ミアンったら、そればっかなのわん」
「話のノリでいってみたにゃけにゃもん」
「だったら、『アホ質』とやらも、『知らにゃい』のわん?」
「そっちを『知らにゃい』にすると、お話ににゃらにゃいもんでにゃ。
一応、説明をばするのにゃん」
「それを聴いて、ほっ、としたのわん」
「さて。ミーにゃんの心を悩ます『アホ質』とはにゃんぞや?」
「別に悩んではいないのわん。でもアタシとミアンは親友同士。
悩んでいることにしてあげるから話の先を続けるがいいわん」
「これはこれは。いつもにゃがらのやさしいお心遣い。痛み入るのにゃん。
……でにゃ。
『アホ質』とは早い話が、アホとにゃる成分のことにゃ。
この『アホ質』を抑えて無理矢理アホを矯正しても、
要するに、お利口さんにしてもにゃ。
糖質にゃんかとおんにゃじで、リバウンドする羽目に、
もっと、もぉっとアホににゃってしまう羽目に、
陥らにゃいともかぎらにゃいのにゃん。
にゃもんでウチとしてはにゃ。
『ネコに無理強いは要注意にゃん!』と声高々に警告したいところにゃん」
「まぁそれはそうかもしれないけどさぁ」
「にゃに?」
「そもそも、『アホ質』ってなにに入っているのわん?
どうやってアタシたちは取り込んでいるのわん?」
「今いったばかりじゃにゃい。
ネコに返答を無理強いしても、ろくにゃ結果ににゃらにゃいのにゃん。
にゃもんで答えはこれで勘弁にゃ」
『知らにゃい』
「んもう!」
《やっぱネコには、ちと無理にゃお話にゃったみたいにゃん》