第百四話『あれこれ話パート13にゃん』
第百四話『あれこれ話パート13にゃん』
《開き直って、堂々の快進撃、といこうにゃん》
「ミアン。
いろいろと自分なりに考えてはみましたのですがぁ、
ミムカはもう後戻りをしないことに決めたのでありまぁす」
「そんでいいのにゃん? にゃって、ここ崖っぷちにゃよ」
《お話の終わりって、どうして崖に佇むケースが多いのにゃん?》
「自分を理解出来ない者に、他の誰かを理解出来るはずもありません」
「どうしたのにゃ? ミリアにゃん。急にマジににゃって」
「私が今の今まで提案してきた同好会の全てがことごとく却下されたのも、
やはり、それが原因だったのです」
「どういうことにゃん?」
「私は常に誰かを幸せにしたいと念じ続けてきました。
自分がどうなろうとも。ですが、それは大いなるアヤマチだったのです。
自分を労わり、愛せられる者こそ、本当の意味で他の誰かも愛せるのです。
賛同される同好会を思いつくのです。
なもんで、これからは自分が納得いくまで、
自分の世話を焼くのに没頭したいと思います。
つきましては誠に恐れ入りますが、
今後、同好会の勧誘は控えさせて頂きたく存じ上げます」
「にゃんと!」
「心待ちにされた方も多数いらっしゃるとは思いますが、
何卒、ご容赦のほどよろしくお願いいたします。
ではこれにて」
しずしずしず。しずしずしず。
「みんなぁ! 今の聴いたわぁん!
悪がついに滅びたのわぁん!」
「ウチらの勝利にゃあぁん!」
おぅぅ!
ぱちぱちぱち。ぱちぱちぱち。
《このあと、盛大にゃる晩餐会が催されたのはいうまでもにゃい》
「わたしはミスト。
棲み家とするは霧の都。霧が見る夢に生きる存在なの」
「ふぅぅむ」
「どぉ? この謎めいた感じ。なかなかのものとは思わない?」
「一つお尋ねしたき儀があるのにゃけれども、
にゃんで夢の存在にゃのに、ここにも居られるのにゃん?」
「ふっ。つまらないことを気にしちゃダメよ」
《気にしたいお年頃にゃん》
「もう大丈夫にゃよ。
ウチがあんたを、はげます、のにゃもん」
「ミアンったら、怒られているのわん。
『ハゲ増す』なんていうから」
《とほほ。言葉って難しいのにゃん》
「ふぅぅむ。ミムカはどうしたらいいのでありますかねぇ」
すたすたすたっ、くるっ。すたすたすたっ、くるっ。
「見て、ミアン。
ミムカんったら、温泉の外でも『湯煙の美少女』なのわん」
「良ぉく見るのにゃん。
ほら。湯気を出しているのは頭からにゃけにゃよ、ミーにゃん」
《紛らわしいのにゃん》
「にゃあ、ちょいと。
この川に、『河童』にゃる妖怪が居るって本当にゃの?」
「さぁねぇ。ご覧の通り、オイラって頭がお皿のアホなもんで、
ちぃっとも判らないのでござんすよ」
《勇気もって生きてにゃん》
「ミーにゃん。ウチはにゃあんか不思議にゃんよ」
「なにがなのわん?」
「明日、明後日、一週間後、一か月後、そして一年後と、
誰もが時間の経過に応じた、
さまざまにゃ予定にゃり計画にゃりを立てるのにゃん。
もしくは、こうにゃっていたらいいにゃあ、との願望を持って、
それに向かって進むのにゃん」
「誰もが、かどうかは別として、確かにそういうのはあると思うわん」
「にゃろう?
ところがにゃ。一寸先は闇。
実際のところ、今日という一日にゃって、
無事に生きていられるかどうか誰にも判らにゃいのにゃん」
「まぁそれはそうわん。
ミアンのセリフじゃないけど、
『未来を予測することは出来るかもしれにゃい。
されど、知ることは出来にゃいのにゃん』
だからね」
「にゃのに、今いった予定にゃり願望にゃりを持つのにゃん。
自分はそれまで滅びにゃい、とにゃ。
こんにゃ確信って、一体どこから生まれてくるのにゃん?
どうして恐れることにゃく、生きていけるのにゃん?
自問自答しても、さっぱりのぱり、にゃん。
にゃもんで、『不思議にゃんよ』とにゃったのにゃん」
「うぅぅん。確信っていうよりも、
『なにも起きない』『なにか起きるなんて、ほとんどあり得ない』
漠然とながら、そう思っているからじゃない?
未来が見えないからといって、いたずらに不安がっていたら、
なぁんにも出来なくなるしね。
ええと、なんていったかなぁ…………そうそう。
一種の『思考停止』といえなくもないわん。
そこに自分を追いやることで、
今ミアンが喋った『曖昧さ』を甘受することが出来たんじゃない?
だからこそ生活が成り立っているのだと思うのわん」
「にゃらウチの生き方そのものにゃん」
「それって、どういうことわん?」
「そろそろにゃし、直ぐに判るのにゃん」
「そろそろ?」
「ふわああぁぁんにゃ。
ぶふっ。上手くいったにゃあ。
にゃら、ミーにゃん。お休みにゃさぁい」
すうぅっ。すうぅっ。
「思考停止だから、おネム?
上手くいった?
一体なにを……ま、まさかぁ。
眠気を誘うために、こんな話を持ち出したのわん!」
《ご協力、とぉっても感謝するのにゃん》