プロローグ
一次創作小説です。文や語彙など、不適切な使い方の部分があるかもしれませんが、温かい目で見て下さいませ。
ー暗い、湿った森の中。
腐葉土の匂いが、息切れと共に暗闇に立ち籠める。
赤錆びた色の尾が奥へ、奥へと伸びていく。
森が開け、雨上がりの曇り空の下へと、尾は続いていた。
尾の主は、肩で呼吸を繰り返し、赤い水溜りを作りながら、逃げ場のなくなった背面を肩越しに見ていた。
ふと、視線を正面へ。そこには3体の影。鋭利な磨かれた刃と、黒光りする銃身、怪しく漂う得体の知れないもの。
ゆっくりと、確実に、近づいてゆく。
摺足で一歩後ろへ。パラパラと小石が闇へ消えてゆく。
生唾を飲み、1つ半瞬く間に、一体の影が目前に、刃を振りかざし迫っていた。
咄嗟に手をその影へ向け突き出す。
刹那、雷が影を目掛け放たれる。避けども避けども追うように放たれ続ける。が、避け、放たれる間に作り上げられた土壁に当たり、止まった。
ぎりり、と歯を食いしばり、その土壁が視界を遮っている間に、森の中へ姿を晦まそうと踏み出した。
一歩、二歩三歩四五六…十歩と踏みしめる前に、力が抜けたかのように膝を付き、その場へ倒れ込む。湿った土へと瞬く間に広がる赤錆びた水溜り。そこから湧き上がる無数の漆黒の蔓。次第にそれは倒れた男を呑み込むように包み、濡れた地面が乾くように、男の姿ごと消えていった。
3体の影もまた、音も無く、気配もなく、消えていたのだった。
読んで下さり有り難うございます。
まだ至らぬ所が多いですが、応援していたただけると嬉しいです。