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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ロリババアにチェンジした元爺

室内の中にひっそりと研究をする老人

彼には、どうしても完成させねばならない魔術を研究していた。

若返りの秘術……

古代の遺跡で発見した彼は、その秘術に必要な材料を世界中でかき集めた。

数十年も旅をした結果もあり、後は、新鮮な遺体を入手するだけであった。

「ふむ……人を殺すのが手っ取り早いが

流石にこの隠れ家までは遠すぎて新鮮じゃなくなっておるの」

そこで彼はもっとも簡単な解決法を思いつく。

「フフフ……新鮮な遺体を召喚すればよいではないか!」

老人の莫大な魔力があれば、魔法陣を展開して、この世界で死亡した

新鮮な若い遺体を指定して召喚する事は容易く行う事が出来る。

さっそく魔法陣を展開した彼は、召喚する準備を開始した。

彼の唱えた魔術によって、魔法陣の中に胸に血が湧いている銀髪の若い女性の遺体が出現した。

「胸の心臓に刺されて即死と言った所か……」

身体の体温もまだ冷めておらず

たった数分前までは生きていたのだろうと老人は思考した。

「少女よ、悪く思うなよ……遺体はわしが有効に活用してやるからの」

彼にとっては罪の意識はまるでない

直接殺した訳でもなく、何者かに殺された遺体

己の研究を遂行させる為の糧となる駒でしかない。

「ふふふ……ついに、材料は揃った!この秘術が成功すればついに念願の若返りが叶う!一世一代の大勝負じゃ!」


この秘術の不安要素は実験を全くしていない事だ。

1000年に一度に実る世界樹の種を命がけで採取した事や

厳重な警備で固められた神殿に保管してある聖石を盗んみを行うななど

限られた素材で実験を行えば生前では二度と秘術を発動する事が出来なくなってしまう。

彼の寿命が尽きかけている今、彼はこの秘術が空想の産物で失敗するリスクがあるとしても、若返りのリターンを渇望していた。


「さて、わしも魔法陣の中に入ろうかの」


カツカツと歩き、よぼよぼの老人が魔法陣の中心の中に入り

テレキネスの魔術を使い

新鮮な遺体は魔法陣の外円へ

秘術に必要な素材も遺体の周りに置いた。


「準備は整った、さらば!老体よ!」


彼の莫大な魔力を使い

若返りの秘術を発動させた。

閃光の光が周りを包み込み

彼は意識を失った。



むむむ……ここは何処じゃ

周りが真っ暗ではないか!

秘術の発動はまだ続いておるのかの?

おっ! あんな所に鏡があるではないか!

全盛期のワシはかなりのイケメンじゃったからな

久しぶりに顔を拝ませて貰おうかの

どれどれ・・・・・・・


そこに写し出されていたのは

醜いオークじゃった……


「ぎゃあああああああああ!!!!!!!!!!!」


 あまりの出来事に驚き、思わず悲鳴を上げて目を覚ませてしまった。

「な、なんじゃ……夢か、脅かせおって」

  

あれ? なんでこんなに声が高いのじゃ?

いくら若返ったと言ってもここまで高くはなかったぞい?

起き上がった場所は魔法陣の円陣から離れ、少女の遺体だった場所に居る

自分の身体を見てみると何故か遺体だった少女の衣装

嫌な予感がしてきたわい……

恐る恐る胸と下半身を触ってみると

「なん……じゃと……!?」

ワシの相棒が消えていた

ある筈の相棒が喪失し、胸も僅かに膨らんでおった。

思わずワシは鏡の置いておる場所へ駆け上がり

顔をのぞかせてみるとそこに写っておったのは

銀髪の遺体だった少女じゃった。


あまりの衝撃に目の前が真っ暗になってしまった。


「どうやら秘術は成功したようじゃの……」

一世一代の大勝負であった若返りの秘術は成功させたが

まさか、若返るのではなく、新鮮な遺体に乗り移るのがこの秘術の目的だったとは……

あの時に、新鮮な若い男性が召喚されていれば……

遺体に乗り移るのが目的の秘術だと気付いていれば……

やめよう、もう過去には戻れないのだ

この現状を素直に受け入れるしかないわい





「今日は快晴。旅に出るのにもってこいじゃな!」

今のわしは、目立つ服装だった少女のドレスを脱ぎ捨てて

子供サイズの黒の服装と黒のロープを身に包んだ服を着ている。

かなり目立ってしまうが、あの恥ずかしいドレスよりはマシじゃ。

目的地はガイラー魔術図書館

関係者以外は立ち入り禁止であるが

様々な魔術に関する辞書が保存されておる。

その中には性転換に関する辞書もあるはずじゃ!

そう願って、わしは当面の目標である、男性に戻る為に必要な情報が眠っておると考えた。

旅はいたって順調であった。

途中で盗賊や魔物も襲撃する事があったが

わしの魔術の前では赤子も同然よ

何故ならわしの魔力はこの少女に受け継いでおるどころか、生前の時よりも増幅しておったわい。

どうやら少女の魔力も失わずに継承しおる。わしには発動する事が出来ない光属性の魔術である障壁結界。これは野宿する時に突然頭の中に湧いて発動する事が出来た魔術じゃ。

術者の許可が下りていない生物は決して侵入が出来なくなる優れもの。まあ、最上級の魔物には効果が無いようじゃのう。

じゃが、この地帯の魔物なら問題なく守る事が可能で、これがあるお蔭で野宿が生前の時と比べてかなり楽になったわい。

持ち物もマジックポケットに入れるサイズなら何度でも出入り可能な便利アイテム。これは、わしが独自に開発したわし専用の魔道具じゃ。これのお蔭で身軽な荷物で旅をする事が可能じゃ。

 2日かけてグラート都市にたどり着いた。

この都市に立ち寄る理由は情報収集じゃ

数十年間も研究の為に引き籠っておったからのう・・・

 わしは魔術師ギルドに向かい、最近の情報を調べる事にした。

魔術師ギルドは全国の主要な町に拠点としている

魔術師の資格を得る為の試験や依頼の情報、魔術師だけが得られる特許など

様々な利点がある施設じゃ

一般向けには情報屋や依頼の受付も開いておって、わしも昔は金稼ぎの為によく利用したのぅ……

まあ、今は王都の情報が欲しい。

さっそくわしは情報屋に出向くことにした。



「王都に行かないほうがいいですよ、グレン騎士がクーデターを起こしたらしくって、今王都は大変な事になっているわよ」

 話によると、王都ではたった複数の騎士が王城に反旗を翻して

王族や城の者たちは皆殺しにして立てこもっておるようじゃ

 王族が根絶やしにされたのが本当なら

かなりヤバイ状態じゃないではないか……

「ガイラー魔術図書館は無事なのか?」

「無事かどうかの情報はまだ分かりません。」

そこまでの情報はまだ無いのか、使えぬ奴じゃ

 「ですが、ライネス剣聖様が兵士と魔術師を引き連れて、逆賊であるグレン騎士の討伐に向かっています。数日になれば鎮圧される筈です。」

 剣聖殿か、かなりの実力をもってそうじゃの。

いや、待てよ?

王都が無法地帯になっておるなら

ガイラー魔術図書館も簡単に入館出来そうじゃな

それに、このまま時間が経過してしまえば

魔術図書館も無事で済む保障もない

ならば、さっさと急いで王都に向かうかの

「なるほどの、鎮圧するまで待つしかないと言う事か

 情報提供感謝するぞい」

そして情報屋はニッコリと笑顔を出して

「では、300ゼニーとなります。」

「うむ」

これで、魔術師ギルドに用は無くなったの

クーデターか…

そして王族が皆殺しにあった情報が正しければ

この国の情勢はかなり不安定になってしまうの

「まあ、わしには関係の無い話じゃの」

しかし、運がいい。

わしには、王都で密かに登録させておいた転移の術式が遥か昔に登録しておったのじゃ。

今もその術式が無事ならば王都へ一瞬で向かう事が出来る。

さっそく、わしは、この町で王都と接続させていた転移の術式を発動させた。

「待っておれよ、魔術師図書館よ!」




「ふむ……どうやら転移は成功したようじゃが……なんじゃ! この惨状は!」

無事に転移は成功しおったが、転移した場所が問題じゃった

よりにもよって、王城の王座の間で、しかも漆黒の鎧で図体のデカいこやつはどう考えても逆賊グレンじゃな。もう一人の騎士は座り込んでいて虫の息になっておるし

両手手足を縛られておる人物は王冠を被っていて、わしを見つめておるな。あれが王様の可能性がたかそうじゃ。

そしてグレンは騎士に留めを刺すのをやめて、こちらを驚きの表情で見つめておる

「おかしいな……確かエリー第二王女は殺した筈なんだがなぁ」


こやつ、わしをエリー王女と勘違いしておるな。


「エリー王女? 人違いではないか?」

「実物を拝見していた俺様が人を見間違える筈がねえ! まあ、俺が殺した奴が影武者でお前が本物って事か。」

まったく、いくらなんでも勘違いしすぎじゃろ、おぬしの目が節穴すぎて困るわい。

ふむ、予定は狂ったが、王様の恩を売るのも悪くないの。ここでわしが退治してやれば

立ち入り禁止だった図書館の入室も許可させて貰える可能性も高そうじゃ!

うむ!実に良い案じゃ!

「人違いだと言うのが聞こえんのかの? まあ、ここで死ぬおぬしには、何を言っても無駄じゃ」

そう言ってわしは、さっさと邪魔ものを片付ける事にした。

「ほう、箱入り王女だったお前が大口をほざけるとは恐れ入ったぜ!」

そう薄気味笑いを浮かべるグレンが黒い魔力を身に包み、わしに向かって、どす黒い剣で切り付けた。わしも切られるのは御免なので、空間転移で避ける。

グレンが突然の消失に驚いている隙に、マジックポケットからわしのお気に入りである光輝く魔剣を取り出し、両手で柄をしっかりと握り締めながら背後から鎧ごと一刀両断した。

「ふむ、あっけないのう……国に反旗を翻した人物がこの程度とは拍子抜けじゃわい」

とは言っても肉体強化魔術の制御に失敗しまい。極限まで身体能力を高めたおかげで、わしの小さな肉体は悲鳴を上げていた。


「グ……オノレェ……オレをなめるな!!!」

狂気じみた表情を浮かべるグレンは両手で黒い剣を強く握り、そのまま胸を鎧ごと突き刺した。

「ククク……いい事をおしえてやる……この魔剣は生きている……そして俺の魔力を吸い取れガ!!!」

嫌な予感がしたので、わしはさっさとグレンの首を切断した。

その予感は的中した。グレンの亡骸が剣に吸い取られるが如く消え失せおった。

そして黒い魔剣はみるみると黒い影を広げながら巨大化してるので、わしは、ありったけの魔力を注ぎ込んで、巨大な魔法陣を形成させた。

そんな作業をしている途中に、どうやら黒い魔剣は形を変えつつある

「おおおお!!!!ついに我の封印がっ!」

「マジックポケット!」

封印とかどうたら言っておった魔剣は、かなりの厄介な呪いのアイテムたったので

わしの危険物専用マジックポケットに閉じ込めた。

「ふう、危ないところじゃったわい。」

これで王国の危機は救われた。

とりあえず、手足も口も塞がられておった傷だらけの国王を開放させないといかんな。

ふふふ……資金の底が尽きかけておった所じゃし、報酬金もたんまりと頂こうかのう


じゃが――この国を救ってしまった事が思わぬ事態を招く事になるとは

知る由もなかった。


「王女様。今日はライネス伯爵様との面会です。」

そう、わしは王女となってしまった。

簡単に説明すると、わしはエリー王女じゃないと突っぱねたのじゃが、国王からのお願いに何故か拒否できずにそのまま王女になってしまった。

本来の目的から脱線し、恥ずかしくなるようなかわいらしい白いドレスまで着せられてしまったわし。

どうしてこうなったのじゃ……

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― 新着の感想 ―
[一言] なかなか面白いです、この話の続編か、長編で読んでみたいです。
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