二日目
三話目です。
では、どうぞ。
二日目はホテルからバスで京都に向かった。
窓から眺めた京都は想像と違って、新しい物と古い物が混在した場所だった。
普通の家並みの間に細い路地があったり、突然昔の建物が現れたり、
五条大橋にがっかりしたり。
テレビのフレームワークの見事さに感心した。
昨日の夜大垣と話しをして、とても距離を感じた。
今は正直、気軽に声がかけにくい。
どうしてそんな考え方をするんだろう・・・誰かに聞くか?
となれば一人しかいないよな。
「あー、美晴はお父さんいないからね、
・・・中1の時だったかな、急に倒れてそのまま・・・。」
安田はそう言った。
だから何が起こるか分からない何て言ったのかな・・・。
少し目が笑っている気がするが、今は気にしない事にする。
「まぁ、もともとそんな感じだったけどね。
私、美晴の真っ直ぐ前向いてるとこ好きだから。」
俺も安田みたいに「好きだ」と自分の気持ちをはっきり言えたらな・・・。
でも、勝算の無い賭けに出られる程無謀じゃない。
いくら意気地なしと罵られても、後々気まずくなって話せなくなるより、
今友人として接していられる方がいい。
・・・だから、友人のうちにもっと歩み寄らなければ・・・ちょっとだけそう決意した。
金閣寺のある鹿苑寺、銀閣寺のある慈照寺、渡月橋と見て回った後、
映画村で開放された。
みんな、程度の差はあるが役になりきって民家のセットで遊んでいる。
大垣はそんなヤツらの写真を撮っていた。
「田村く~ん、昨日はどうだったんだ~?」
三田が首を絞めにかかってきた。
「送って行って、なかなか戻ってこなかったろ?」
片山も鳩尾に拳を押し付けてくる。くすぐったい、それ。
「何もねーよ。」
片山に蹴りを入れて阻止した。
いい話があれば、とっくに自慢してるっての。
話をしてて、彼女との距離を感じて・・・それが何かショックで、
しばらく一人でボーっとしてたって、そんな話の何が楽しい?
不満の表情を誤解してか、片山が縁起でもない事を言い出した。
「ひょっとして、振られたのか?」
「振られてねーよ! ・・・告ってねーんだから。」
「チキンめ。」
背後から声がした。
んな事は自分が一番知ってるっての。
この日の夜、女子は遊びに来なかった。
もしかして昨日のように外にいるかもしれない。
そう思ってジュースを2本買い、非常階段を登ってみたが誰もいなかった。
読んで頂き、ありがとうございました!
あ、短いですね、ここ。
田村くんの寂しい感じ、出てますか?