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写真。  作者: 薄桜
1/5

HR

葵・聡太、美晴・芳彰の話の(そろそろシリーズ名を付けた方がいいかもしれない。)

現在の時点で(2011.01.11)時系列で、一番古いお話です。

話は、高校2年の修学旅行。

コースは奈良→京都→大阪です。


別に、前の話は一切関係ないので、

この話だけで読んで頂けると思います。

今日は修学旅行の班決めがある。俺は絶対大垣と同じ班になりたい。

男女3人ずつの6人一組が基本だ。大垣は絶対、安田と柳田と組むはずだ。

「なぁ三田、片山、班一緒にしないか?」

「いいけど・・・いや待て、田村。お前絶対大垣のとこって言うよな?」

賛成しかけた三田が、思い直して嫌そうな顔を見せる。

「当然だ。」

この二人は俺の気持ちを知っている。

だからこそ話を持ちかけたのだが、向こうはだからOKを出さない。

「どうせ大垣は安田と一緒だろ?あの二人性格がキツイんだよな・・・。」

「だよな・・・。あと一人はたぶん柳田で、あいつはおとなしくていいんだけどな。」

こいつらの予想も俺と同じだ。

安田と大垣。あの二人を知らないやつはこの学校にはきっといない。

それほどに目立つやつらだ。

美人と評判の安田。

彼女はこれまでにどれだけのラブレターをもらっているんだろうか?

だが、それは彼女の性格を知らないか、Mの気があるヤツくらいだと俺は思う。

大垣は安田ほどじゃないが、それでもなかなかの美人だ。

彼女の奇をてらった発想と、行動力は凄まじい。

予想もつかない事を言い出し、おもしろい事をやらかす。

そして、公然の秘密なのだが・・・陰で人気のあるヤツの写真を売りさばいている。

どれだけのヤツが彼女から写真を買った事があるのか・・・。

ちなみに俺は買った事は無い。

本人の写真が売られるわけじゃないから必要が無い。

いや、自分で自分の写真を売るヤツってのも、どうかと思うな・・・。

えーと、どちらもはっきりした性格で、キツいと言えば・・・まぁそうだろうな・・・。

「だけど大垣だぞ?きっと面白い自由行動になるぞ?」

俺の言葉に二人は顔を見合わせ、それから首を縦に振った。


やはりそれは現実になった。

「自由行動の案なんだけどさ・・・

 普通に寺社巡りしても、移動ばっかで時間潰しちゃうから、

 コスプレしない?」

ほらきた。

「コスプレ?」

「大垣、何言い出すんだ?」

彼女は唖然として疑問を返す片山を片手で制してニッと笑うと、パンフレットを広げた。

「どれでも好きなの選べてさ、衣装によっては散策も可。

 時間があるかどうかまでは保障できないけど。」

そこには奈良や平安時代、幕末の衣装を着た人の写真が並んでいた。

「マジか?」

「普通は結構するんだけど、母の伝ともう一個の条件飲めば破格でできるんだけど、

 ・・・どうだ?」

「条件ってなあに?」

真剣にパンスレットに覗き込む柳田が、みんなの疑問を代弁する。

すると大垣は一つの写真を指差した。

「これ、太夫でモデルやる事。だから葵はそれでヨロシク。」

最後の辺は、安田一人に向けての言葉だった。

花魁・・・と、思っていたが京都では太夫というのか・・・ちょっと勉強になった気がする。

「ちょっと、私選べないの?」

安田は不満の声を上げるが、やるかやらないかではなく、

着る衣装が既に決まっている事についてのように聞こえるんだが、間違ってないよな?

「いいじゃん、きっと似合うよ~?」

今度は封筒から写真を出して広げた。

「ほら、こんなに種類あるんだよ? ここから好きに選んでくれたらいいから。」

赤に白に黒に金、派手な柄の着物や帯。そして何種類もの髪飾り。

目の前にこれだけ色鮮やかに並ぶと、心が揺らいできたらしい。

「えっと・・・、じゃあ美晴も一緒にやろうよ。」

安田よく言った! 大垣の太夫姿は是非見たい。

「えーっ、嫌だよ。私は狩衣着るんだから。」

何だそれ?

「かりぎぬって・・・何だ?」

耳慣れない言葉に俺は聞き返す。

「ん? 平安時代の貴族の普段着って感じかな。束帯はきっちりし過ぎだし。」

それも知らねーよ。

パンスレットを眺めると、それらしい字を見つけた。

「・・・男装かよ?」

一瞬がっかりし、いや・・・そうでも無いかと思い直す。

男装の麗人と言う言葉もあるし、見てみたい気になってきた。

「そ、いーでしょ? 誰か一緒に狩衣着ない? 頭中将やってよ。」

「じゃあ美晴ちゃんが光の君?」

「もちろん。」

なっ、大垣と柳田では会話が成立している。とうのちゅうじょうって誰だよ?

ひかるのきみってのは・・・あぁ、光源氏か、じゃぁ源氏物語の事言ってんだな。

題名しか知らねーっての。

「つーか、これいいのか?

 決めるだけ決めて後で先生に反対されたら、もう一回案考えるの嫌だぞ?」

片山がもっともな意見を言った。

「大丈夫、先生には先言ってあるから。

 ある意味これもいい体験授業じゃないかってさ。」

・・・手回しが早い。

結局、誰も反対せずに大垣の案が採用された。

読んで頂き、ありがとうございました!


例によって、朝10時の予約更新です。

全5話となります。


続きも読んでいただけると、うれしく思います。

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