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七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
1章 最強の賢者と7度目の転生

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報告・・・弱虫王子

「といった感じだ」


 俺はギルドから戻り、ノッポのアラバマに報告を終える。


「その2体の魔物については?」


 アラバマが尋ねた。


「わからん。見たことのない魔物だ。森を一人で見回したが、封印したはずの樹王はどこにもいなかった。ただ、あの2体から樹王の気配が微かに感じられた……だが、それ以上に禍々しかった。魔王の力を取り込んで強化されたように思える」


「つまり、魔王が他の魔物に力を与えている?もしくは力を奪われて魔物が暴走したか?」


「仮定の話だがな。もし本当なら、今後も似たような事態が起こりうるだろう」


「……早めに対策を打たなければなりませんね」


「それと、もう一つ頼んでいた件は?」


 アラバマは真剣な表情のまま言葉を続ける。


「ああ、ギルドの現状な。後衛職が多すぎるのが気になる。それに、前衛は弱すぎる。Bクラスとは名ばかりで、あの程度じゃCかDレベルだ。逆に後衛はCクラスでも魔力だけならAクラスに匹敵する。これも異常だな。上位層がとんでもなく強くなっている証拠だ」


「確かに、昔に比べると魔力自体は強力になっています。現在では、ほとんどの者が高度な魔法を扱えるようになっていますが、経験や冷静な判断力が追いついていないのが実情です」


「なるほどな。俺の時代では、あれほどの魔法を使えるのは上位者だけだった。Aクラスまで上がるためには魔力値よりも総合力が求められていたが、今は魔力の強さが優先されているのか」


「その通りです。現在、Aクラスまでは魔力値が重要視され、選ばれた者だけがSクラスに昇格します」


「まぁいい。けど、前衛はなぜあんなに弱い?」


「Sクラスの前衛は例外的に強力ですが、A以下は衰退気味です。伸びしろがなく王国騎士団へ編入する者も多く、ギルド内での前衛育成が停滞しています。Bクラス以下は、魔力が足りず後衛になれなかった者が多いのも理由です」


「つまり、単に前衛が魅力を失っているってわけだな。学校から改革を始めるしかない」


「ええ、それが最善かと……。ですが今の時代は後衛職こそが全てとなっており、学校でも差別が起きるほど前衛は落ちこぼれが多く、4、5年で変わるとは思いませんが。実際、私どもも後衛職のみのパーティーで十分だと思っている人もいます。魔法にも色々ありますからね」


「トップが変わる気ないか……そこまで深刻だとわな」


(けどやっぱり、前衛で戦うのは楽しいよな。あの《勇者レオ》みたいに華がある……ただの狂人みたいに聞こえるが)


 俺は思わずにやけていた。



 翌日、早朝から王子ロロのもとへ向かった。


「トントン」


 ドアを叩くと、ヴィニーが応じて扉を開ける。


「王子、いるか?」


「ふん。そんなことで、この国の頂点に立てると思うか?」


 ロロは既に着替えを済ませ、お茶を嗜んでいた。


(相変わらず生意気なガキだな)


「で、何の用だ?」


「明日の試験に向けて腕試しだ。ついてこい」


 ビクッと肩を震わせ、


「えー、それは無理~」


 またしても弱虫王子モードに入った。


「何度も言ってるだろ、戦うなんて無理なんだって。学校に行くって決めただけで精一杯なんだから」


「まさか、落ちてもいいと思ってるんじゃないだろうな?」


「……ヴ……そんなこと……」


(図星か)


「まぁいい。まずは学校の話をするぞ」


「また嫌な話だろう?」


 ロロは今にも泣きそうな顔をしている。


「俺たちは、身分を隠すために“消えた村の生き残り”として学校に入る。そして、学校の寮で生活することになる」


「Aクラスに入るのが最初の関門だ。Aクラスに入れなければ寮の環境も最低レベルだし、授業内容もまるで違う。それに、俺の近くにもいられなくなる」


「無理だよ! Aクラスなんて貴族とか有名な魔法使いの家系の子供ばっかりだし、それに寮に入ったらこの豪華なベッドにも戻れないなんて、そんなの絶対無理!」


(……お前は王族だろうが。ふかふかのベッドが命なのか?)


「黙れ。それと、俺たちは友達だ。互いに気を使うのは禁止だぞ。特に頼ってすがるのは絶対に無しだ」


「賢者ごときが王子に向かって偉そうに……まぁ許してやるけどな」


 急に威勢が良くなるロロに呆れつつも、俺は言った。


「それならいい。お前の実力を見せてもらう。さっそくついてこい」


「ちょ、ちょっと待て!」


 弱気なロロを半ば強引に連れ出し、腕試しへと向かった。



 静かな魔法訓練室で、ヴィニーが準備中の王子―ロロの代わりに説明を始めた。


「王子は索敵や隠密といった後方支援が得意です。ですが、王にも使えない炎の魔法を使えます」


「光でも火でもなく、炎か?」


 俺は確認のために問いかけると、ヴィニーは真剣な顔でうなずく。


「はい。通常の火よりも高火力で、形状も変化する上位魔法の“炎”です。ですが、本人は熱すぎると言って嫌がります。実際、使うたびに火傷を負うので……」


「珍しいな……天性の上位魔法者か」


 上位魔法者――それは火を「炎」、水を「氷」、土を「鋼」、風を「雷」といったように、上級魔法の性質を下級魔法の段階から使える者を指す。


 俺も先日、下級魔法ながら雷の魔法を使ったが、それも上位魔法の一種だ。上位魔法の利点は、通常の10倍の威力を持ちながら、魔力消費はわずかで済むこと。ただし、その制御は難しく、使い手の熟練度が求められる。


 まれに、生まれつきこの力を持つ者もいる。俺もそうだが、使いこなせなければロロのように反動で自分が負傷することもある。


「ですから、王子は極端に炎魔法の使用を嫌がっています」


 ヴィニーは心配そうに、少し離れた場所で準備をしているロロの背中を見つめた。


「ロロ、明日の入学試験では筆記、魔法力、そして身体能力の評価で総合点が決まる。今回の試験は《闇夜》事件の影響で、途中編入のギルド員や在校生の再試験も同時に行われる。競争は激しいぞ。その中で勝ち上がるには、やはりお前の炎の魔法が必要だ。使えるか?」


 俺の問いに、ロロは腕を組み、不機嫌そうに顔をしかめる。


「絶対に使わない。おれの魔法で火傷するなんて、そんなダサいことやってられるかよ。それで腕がなくなったらどうするんだ?」


「そんなかっこいい魔法を使えるくせに逃げるのか?」


 俺は笑みを浮かべながら挑発するように言った。


 ――昔の勇者レオも、炎を操った。彼の足跡をたどるたびに、あらゆるものが焼き尽くされ、敵の屍さえも残らなかった。その姿は圧倒的で、美しかった。


「仕方ない。いいものをやろう」


 俺はポケットから古びたブレスレットを取り出し、ロロに差し出す。

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