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七度転生した大賢者、今世では剣士として無双します 〜魔法全盛の世界で剣を選んだ理由〜  作者: ねむのき 圓
2章 学園生活と前衛VS後衛

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メンバーの成長と・・・まさかの戦い

~覚醒したリリスとルーシュの誤算~

メンバー変更から3日目が始まったばかりだった。


「ポイってしてビューン!」


 リリスが得意げに新しいスキルを披露してきた。


「どう? 変わったスキルでしょ!?」


(なんでこんなに早く新たなスキルが備わる?)


 この3日で俺たちのスピードについていくため、彼女は剣を投げ、その位置に瞬間移動する能力を会得していた。


「こんなに早く成長する?」


 メンバー全員が驚きを隠せない。


「えへへ、すごいでしょ? もっと褒めて、褒めて!」


 この強さで、こんなに無邪気――まるで小動物みたいなやつだ。


「そろそろ、試してみるか」


 ふと、俺の口から言葉が漏れた。


「ん? なんか言った?」


 不思議そうにリリスが俺を見つめる。


「あ、いや、なんでもない」


 俺は目をそらした。


 本日はロックのパーティーが鬼役だった。彼らは連携を重視した戦術を使っていて、全員で攻めてくると非常に手強い。


「リリス、ちょっと様子見にみんな連れて偵察に行ってくる。お前はここで留守番な」


「ラジャー! なるべく早く戻ってきてね」


「ここから離れるなよ。あとは自由にしていい」


 俺はメンバーを集め、先ほどの場所を見下ろせる高台に向かった。


「よいしょっと」


 腰を下ろすと、メンバーの一人が不思議そうに聞いてきた。


「あれ? ルーシュさん、偵察は?」


「ああ、もういい。それより、ここから面白いものが見られるぞ」


「えっ? なんですかっ?」


 みんなが俺の隣に座った。


「さっき、リリスの居場所に繋がる手がかりを残してきたんだ」


「え、それってリリスさん、鬼に見つかっちゃうんじゃ?」


「その通り」


「えぇ!? なら早く助けに行かないと!」


 慌てるメンバーたちを手で制しながら、俺はニヤリと笑った。


「いいんだ。それが狙いだ。ほら、来たぞ」


氷爆剣士リリスの実力~

「リリスじゃないか?」


 案の定、ロックのパーティーがリリスを発見した。


「なんだ? 怪しい跡があったから来てみれば、誰かへまをこいたみたいだな」


 俺がつけた痕跡を、ロックたちは誰かのミスだと勘違いしている。


「勝手に呼び捨てにしないでよ~」


 リリスは舌を出して、ふざけるような態度を取っている。


「生意気な……。今のうちにお前を退場させてやる!」


 ロックのパーティーは、2人が後方支援、3人が突撃する態勢を取った。


「ちょ、本気!?」


 少し慌てながらも、リリスは剣を後方支援の方へ投げた。


(お、もう実践で使うか)


 俺は感心する。バックアップの2人は警戒して剣を避けた。


「武器を手放してどうするんだよ!」


 突撃組の3人が一斉にリリスへ襲いかかる。


「ポイッとしてビューン!」


 詠唱なのか、ただの口癖なのか――そう言った瞬間、リリスは剣の位置に瞬間移動した。


「なっ!」


 攻撃を外した3人は一瞬、彼女を見失う。


「遅い! フォーラッ!」


 リリスが振り下ろした剣から、大量の水がバックアップの2人に降り注ぎ、彼らを吹き飛ばし気絶した。


「もう1対3だね♪」


 楽しそうに笑うリリス。


「くそっ、油断しすぎだ。おい、連携を組むぞ!」


 3人が再び陣形を整え始める。


「もっと楽しもうよっ!」


 リリスは飛び跳ね、3人の頭上から剣を振り下ろした。


「でかいのが来るぞ。3枚重ねろ!」


 ロックの指示で、3人は魔防壁を重ねて展開する。


(ほう、ロックも短期間で成長したな)


「アイスア~フォーラッ!」


 リリスはお構いなしに剣を振り下ろし、再び滝のような水が3人を包み込む。魔防壁を破るまではいかないが瞬く間にその水が凍りついた。


「おい、これじゃ動けんぞ!」


 凍っても魔防壁はなんとか耐えたが、彼らは完全に動きを封じられてしまった。


(さあ、ここからどうする?)


「私の氷は……爆ぜる」


 シュッ。リリスが指を鳴らした瞬間、凍った滝が大きな音を立てて爆発した。


 上位魔法の氷、内側に圧縮されたエネルギーが破裂し、氷片が爆風となって3人を吹き飛ばした。

 12歳でこの能力おれはこの天性を信じた。


「おお、すげぇ。かっこいいじゃないか」


 思わず俺はニヤけてしまった。


(指を鳴らすのはなんだ?音鳴ってなかったけど)


~前衛組の雑談とメロの観察眼~

「リリス、大丈夫か?」


 戻ると、リリスが嬉しそうに駆け寄ってきた。


「ルーシュ、褒めて褒めて! 一人でやっつけたよ!」


 しっぽを振っているかのように無邪気な笑顔だ。


「よしよし。すごい爆発だったな」


 俺は頭をポンポンと撫でてやった。


「ぬおぉぉぉぉぉ」


 訓練に励むロック。


「やめてよ、暑苦しいよ」


 そう声をかけるのはリリス。


「にしても、一人にやられるとはな、弱くなったか? ロック」


 笑いながら話すのはジャックだ。


 開始早々30分で鬼が全滅という、今までにないことで全員が揃っての訓練に切り替えていた。ロックPTは全滅のバツとして特別なきつい訓練に参加させられている。


 張り合ったり、雑談したり、少し息抜きできる日になっていた。


「僕はパーティー変わってから何もできていない……それに比べてルーシュさんはすごいな」


 なにか言っているメロに、後ろから話しかけた。


「どうした、メロ?」


 彼はビクッとして振り向く。


「い、いえ、なんにも」


 様子が変だ。


「どうした? もっとできるだろ? 俺はお前を評価している。先生に交換頼んだのも俺だからな」


 その言葉にメロの様子が変わった。


「そうだったんですね……なら年下ばかり集めたのもルーシュさんの案ですか? ロリコンですか?」


 少し慌てたが実際、メロとリリスを交換したことにより、15歳、15歳、13歳,12歳,12歳という最年少少女が集まっていた。


「強い人固めてしまうより、こういった人たちの底上げをだな、それに上級者には先生が細かく話してたし実際パーティー決める時なんか俺みんなに避けられてたからな。決してこの子達を集めたわけでは……それに俺は16だし同年代だろ!」


「冗談ですよ。なんか逆に怪しいです」


 笑いながら話すメロ。


(笑ってやがる。メロにしろリリスにしろなんでここの子供はこんなに口が達者なんだよ)


「そういやルーシュさんってフォミィ先生と似た考え方なんですね」


「俺も少し賢者について興味があったんだよ。前衛のこの状況が気に入らなくて、昔のこと調べてたりしてたら賢者の文献にハマっちゃって」


「大昔なんて戦術も何も、血みどろに戦っていただけでしょ?」


「あ~」


(そうだよな~返り血でベタベタだったもんなぁ)


 面白おかしくメロと話をした。


~前衛組最強者決定戦の勃発~

 メンバーを一順だけ変えた後、元のメンバーに戻すと、全体的に動きが良くなり、各パーティーの課題も徐々に解消されてきた。戦いまで残り10日という頃、ジャックが話しかけてきた。


「なぁ、ルーシュ。お前、全然本気出してないよな?」


 彼の言葉に、一瞬機嫌が悪いのかと思った。


「いや、そんなことないですよ?」


 険悪な雰囲気にはしたくなかった。


「嘘をつくなよ。今すぐおれと戦え。」


「いえいえ、そう言われましても……」


「おい、何抜け駆けしてんだ?」


 ロックが口を挟む。


「おれとも戦え、ルーシュ。」


 その声はでかい。そのせいか、リリスがノリノリで寄ってくる。


「えっ? なになに? ルーシュと戦えるの?」


(やばい、なんか変な方向に行ってる)


「おい、リーダーだからって一番強いってわけじゃないだろ、おれも混ぜろ。」


 各々が話し出すメンバーたち。すると、メロが口を開いた。


「なんか面白そうですね。ここで一番強いの決めときますか?」


 なぜか盛り上がるメンバーたち。もう止められそうになかった。


「では、前衛組最強者決定戦と行きましょう!」


 ノリの良いロックPTのムードメーカー、デン君が仕切りだした。


「まずはトーナメントかリーグ戦か? 多数決にしましょう。」


 なぜかみんなノリノリで話し合っている。


(おいおい、まじで辞めてくれ)


 心の中で願う俺だが、意味はないだろう。


「はいっ! 厳正な審査の結果、決戦はトーナメント形式で行います!!」


 教室が盛り上がる。


「次に、参加者を募ります。」


 24人いる中で立候補したのは15人。さすがAクラス、腕試しと聞けばほぼ全員が手を上げてきた。そこに強制的に俺が混ぜられ、16人となった。


 こうなる発言をしたメロは観戦者だ……あのボケ。


 参加しなかったのは、メロみたいな頭のいいやつやチーム戦が得意なメンバー、人数合わせのBクラスレベルメンバー。逆に言えば、参加したのは一人ひとりが強い奴ら。これは面倒臭くなってきた。


「おいっ、手を抜いたらただじゃおかんぞ。」


 ジャックが話しかけてきた。


「こうなったらやるよ。その代わり、優勝は俺だからな。」


 たった4回戦うだけだ。そろそろ試したいことも増えてきたし、丁度いい。


~運命のトーナメント表~

「では、ちょうど5順が終わった明日からトーナメントを開始します。」


 そう言って先生に掛け合うと、走り出していったデン君。と思ったら、すぐに戻ってきた。


「よく聞けぇ! オッケー貰ってきたぞ~!」


 教室はさらに盛り上がる。さすがムードメーカー、盛り上げ方がうまい。


「じゃあ、運命のくじ引きと行こうか!!」


 トーナメント表を黒板に書き出すデン君。1~16まで書かれたトーナメント表。その中で番号を書いた紙を引いていった。


 これから戦えなかったらグチグチ言われる可能性を考慮し、ズルだがジャックを一回戦の相手になるように魔法をかけた。


「神はおれを見捨てていない。残念だが、ルーシュ、優勝どころか1勝もできないな。」


 俺の横の数字を引き当てた紙を見せながら言う。ここで言う「神」は俺なのだが、すごい自信だ。


「よろしくっ」


 一言返した。


 その他のメンバーの対戦相手を確認し、前衛組に一番厄介な奴……スザクと互角と言われている学園ランキング2位のイリュウは順当に行けば決勝戦だ。体力的に考えても一番嫌なタイミングだ。


 しかも、こいつはリリスPTの一員なのだが、訓練中はほとんど寝てやがる。実力を出していないのはこいつも同じだ。


~寮での対話~

 寮に戻ると


「で? お前のところはどうなんだよ?」


 寮に戻ってきて話しかけてきたのはロロとヴィニーだ。


「順調だよ。思っている以上におもしろい勝負になる。負けることはないけど。」


「そうかそうか。ちゃんと勝てたらさすが賢者様だな。」


「お前らはどうなんだよ? ちゃんとやってんのか?」


「後衛組のことは何も言うなよ、キリッ。とか言ってたくせに、気になってんのか?」


 俺は後衛の情報は聞かないようにして戦いたかった。


「そうじゃない。お前らの立場とか、馴れ合い。スザクはお前の参考になるし、それに入学式でお前ら二人は目立ってた。」


「そうですね。やっぱり派閥みたいのがあって、最初は色々誘われたり、訓練中に集中砲火を食らったりしてましたけど……」


「ん? けど?」


「ロロ様があれ以来、炎魔法を使わなくなって……」


「おいっ、言わんでいいって言ってるだろ。」


 ロロが横槍を入れてきた。


「何だお前、またビビったのか? それで今じゃ仲間はずれってか?」


「はい、私たち二人は今じゃ孤立です。」


 ヴィニーが答える。


「まぁ仕方ないな。この状況が終わればそれも無くなってくるだろうけど、もう少し辛抱だな。」


「おいっ、何も言わないのか?」


 ロロが下を向いて話す。


「何を言われたいんだ? 最初に言っただろう、使いこなせるようになるにはお前次第だと。使わないならそれで良いが、他の方法で強くなれ。当然これもお前次第だ。俺は子守じゃない。強くならないと決めた奴に話すことはない。」


「ルーシュ様……」


 心配そうにヴィニーが見る。


「うるさい。」


 ロロはそのまま出て行ってしまった。


「ヴィニー、ほっとけよ。」


(全く、手のかかるやつだ。)

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