12日目
アウロラに、俺のご主人様に何の才能もない?
それは一体どういうことか。
彼女は間違いなくトップクラスの冒険者で……そんな人物が何の才能もないなどということはあり得ないのではないだろうか。
彼女には、彼女なりの理由があってどこかの団体所属の冒険者にならなかったことは分かる。
結果として、彼女の実力はあくまでも冒険者組合内で秘匿されているのか、周囲の冒険者たちもそれなりの実力者としては扱っていたものの、最上級のそれとしては見ていなかったように思う。
最も優れた冒険者なら、子供もまたそうであろうというバイアスが働く。
アウロラの母親がどこの誰だか知らないが、そういう意味ではきっと強力なスキルを持っていただろうと推測できる。
が、《釣り》しか受け継がれなかったというのなら、別に凡人だったのかもしれない。
だったら、同じく凡人の俺もアウロラ並みになれる日が来るのだろうか?
まぁそれもこれも彼女に、パーティーから外されなければ、の話だが。
「あの子は君をパーティーメンバーから外したりはしないよ。というか、厳密にいうとできない、というのが正しいだろうけど……」
「それはどうして? 俺と彼女くらい実力が隔絶しているのなら、いくらでも捨てられるように思いますが」
スキルとは一体どういうものか、と俺は聞かれた。おおむねには知っている。努力の末、身につけた技術、それがステータスにはっきりと反映されるようになったもの、それこそがスキルだと。しかし彼女は俺に尋ねる。
スキルとは、それだけなのだろうか。ステータスに反映されなかった場合は、と。俺は……。
「だから言ったじゃないか。彼女は彼女ににあった才能は出してない、いや、出せてないと」
別にそれ自体については文句はなかった。
ただ、ふと思った。
「それって、詳しくはどういうことなんですか?」
「これが面白いことに、アウロラの本来の才能は、《釣り》だからだね」
「え?」
俺が首を傾げるのを尻目に
リューは続ける。
「あの子が最初から持っていたスキルはそれだけだったんだ。それなのに、今となっては他の追随を許さないトップクラスの冒険者になっている。
一体どうやってそんなところにまで上り詰めたのだろうね? 気にならないかい」
生まれてから一番最初に受けられるステータスの恩恵に対する子供達の姿勢は、それこそそれが人生の全てがそれで決まるかの如くであることが大半だという。
それが悪いとは言わない。
だが、決して良くもないだろう。
にも関わらず、学校ではそれで比較され、また外部でも預かり知らぬところで色々と言われる。
これはもう、気にしないふりをするしかないなとここ何年かはビーチ近くに住んでいた、という。
「気にはなりますけど、それが俺にとって役にたつものかどうかがまず、知りたいですね」
「ははは。なるほど、抜け目がないことだ……そうだな、おそらく意味のある話をした方が良さそうなので、その話をしようか」
今日はだいぶ短くて申し訳ない。
眠くて話がまとまらんくて。
あとで修正加筆すると思います。
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よろしくお願いしmさう。




