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第45話  異能力⑥

「コラーーーー!!何してんのソコ二人!!!!」


 女子の大声が緊張していた到真と勇人の間の空気をぶち壊した。

 声のした方向へ振り返るとすこし離れた所で勇人と同じ中等部の制服の女の子が仁王立ちしていた。


 茶髪のショートに顔立ちは年齢相応のあどけなさがあるが委員長気質の女子だった。

 そんな少女は勇人の方へドカドカと進んでいき勇人の目の前で止まった。


「チョットユート!アンタ何見知らぬ先輩にいちゃもんつけてんの!?」

「いちゃもんか⁉実際こいつが安全な奴か保証はないだろ!」

「だとしても私と露葉は助けてられたのにこの対応はないでしょ!」


 ギャーギャー口論を始めた二人に事情の知らない到真の頭を?が満たしていく。


「あの~何のハナシヲシテイラッシャルノデスカ?」


 流石に僕の頭も事態の処理が限界なので教えてください、そう表情で訴える到真に少女の方はアッ、と気づいた感じで到真に頭を深く下げてきた。


「私の名前は月宮つきみやあかりです。この度は勇人ウチのバカが大変迷惑を掛けました..............。」

「俺が悪いの!?」

「少なくとも最低限の事情すら説明しないで襲い掛かってきたことに関して全く非がないと?」


 流石に勇人の方も今振り返って非があると感じて到真に灯並みではないが頭を下げる。


「今回に関してはさすがの俺も悪かった。こいつらが襲われたと聞いて頭に血が登っていた。」


 けど、そう前置きして勇人は再び到真に厳しい目線を向ける。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。いつかゼッテー話してもらうからな。」


 そうして勇人と灯は去っていった。勇人が最後の言葉で灯に注意されていくのを見送りながら到真はどこか引っ掛かりが鳴の時と同じように感じていたのだった。


 -------------------


「結局何だったんだあれ............」


 放課後の一件も終わり到真は下校していたがどうしても先の出来事が頭の片隅に取り残されていたままだった。

 術にしては詠唱といった前動作がない。

 事前に仕込んでいたとしてもそのような代物であったならば到真が見抜けないのもおかしい。

 考えられるは


(この世界に存在するもう一つの能力体系.........)


 異世界エルドシアの技術は何も魔術だけではない。

 魔術の才能がないものでも使えるようにと様々な技術が磨かれている。

 現に到真が在籍していたゼルドース帝国は国内の古代遺跡の研究もあって科学技術はこちらの世界の19世紀並みに発達しておりこの水準は他の国々がまだ中世じみたのに対して高水準にもあった。


 雷崎家の一件からこの世界の能力についてしておいた方がいいと感じて到真は今回の一件について従魔にした夜月から聞くことにした。仮にも陰陽師の一族の本尊なのだ。何か知っているだろう。


 そうしていつもの下校ルートと違い、つい最近手に入れた屋敷へと方向を変えようとした時だった。


「あれ?」


 いつも使っている道が工事で阻まれていたのだった。

 すると交通整備していた作業服の男性が到真に近づいてきた。


「すいません。ここ辺り工事中で悪いのですが遠回りしていただけないでしょうか。」

「いいですけど急ですね」

「不備が見つかったものでね。申し訳ございません。」


 到真からすればこの程度の遠回りはちょっとした寄り道に過ぎないので大人しく従って遠回りをしたところだったがそうしてからの到真の目は刃の如く鋭くなっていた。


(工事中なのは良い体裁だろうが工作員の訓練がなってない)


 先程の案内で到真が従った時に男の口角が上がったことを到真は見逃していなかった。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


(わざわざそっちから来てくれるのはありがたいな)


 ここら一帯は工作でもあったのか人の気配が少なかった。

 雷崎ククリの隠蔽結界ほどではないが到真としても周りを気にすることの必要がないので全力で対応できる。

 相手の気遣いに感謝してしまう。


 そうしているとシルクハットに杖、社交界には似合わない派手な燕尾服姿の男が近づいてきた。


「あなたガ天理あまのり到真とうまでアリますか?」

「ああそうだ。さしずめ友好関係を結びたい............とかじゃないだろ」

「ならハナシは早い...............死ぬのでアル!」


 男の声と同時期だった。


 周りにあった自動車や自転車などのガラクタが意思を持つかの如く集まってく。

 やがて集まったモノは各パーツが絶妙な形で嚙み合って一つの存在を構成していく。


 鉄の巨人


 言葉にするならそれほどの存在が男の背後にできたのだがその大きさは比にならないほどデカい。


「リアルトラ○○○○ーマー!?」

「フハハハ!これぞわが異能”人形ヒトカタ”!とくと味わうのでアル!」


 そうして鉄の巨人は到真にその鉄拳で殴りつけたのだった。




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