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第42話  異能力③

 それから5限目までは特に変わったことはないが到真は珍しくどこか上の空で授業を聞いていた。

 授業中の内容はわかってはいたが頭の片隅から戸籍の件がどうしても離れなかったのだ。


 それは休み時間でも変わらず


 クラスメイト「到真お前珍しな、何があったんだ?」

 到真「役人の家族人質にとって偽造させるかな.............(ボソッ)」

 クラスメイト「お前は何を言ってるんだ?」(ドン引き)


 何て一幕があったりしつつもしながら最後の6限目となった。


 今日は水曜日で水曜の6限はLHR(ロングホームルーム)なので授業は実質5限で終わりなのでどこかクラスは気の抜けた空気となっていたが一部男子生徒はどういうわけか獲物を前にした獣のような飢えを漂わせている。

 流石に異様なので隣りの席の男子に到真は聞くことにした。


「何であいつら殺気立ってんだ?」

「知らないのか?今日のLHRは交流レクリエーションの班決めだぞ」


 交流レクリエーション

 それは到真たちの学校で行われる学園行事だ。

 到真たちの通う学校は中高一貫、高校は外部生ありの東英豪学園ひがしえいごうがくえんというのだが姉妹校が京都、九州、北海道と4つもありそれぞれの学校の高校一年生がどっかの中学3年生と泊りがけで交流する学校だ。


 高校1年生が出向くのは学校生活にも慣れてかつ時間にも余裕がある事なのと、出向き先の高校受験を希望する中学3年生に経験を伝えることで選択肢を増やす狙いがあるからだ。


 表向き組み合わせはくじ引きなのだがどこにも回れるように前回、前々回とは違う場所になるのでそれぞれの年度にどこ行ったさえ判れば今年の行く先がわかる。


 ちなみに到真たちが行く先は北海道であり気温が上がりつつ東京に対して比較的涼しいことからアタリとされている。


 どの年も班は男子と女子がいるようにされているため女子に飢えている男子からすればアピールの絶好の機会がゆえに戦場の雰囲気となっていたりもする....なんて補足を受けていると開始のチャイムが鳴るとともにドアが開いた。


「お前ら、席に就け~」


 現れたのは到真たちの担任の先生である赤羽琴あかばねことだ。

 英語担当で今年で26歳なのだが未こ..........、一人自由な人生を決めている女性だ。

 しかし顔立ちは美人画が現実になったくらい整っている上にスタイルもコルセットなしですら整った肢体、髪も後ろで丸く纏めているがサラサラなので貰い手がいないのが珍しいが私生活がダ........自由な暮らしをしているからとだけ言っておこう。

 ちなみに絶賛募集中である。


「え~知っている通り今日は班決めだ~。ぶっちゃけ最低男女それぞれ二人ずついればいいから、じゃきめてくれ」


 到真達のクラスは男子20人、女子20人と奇跡的に揃っているのでこうした班決めはスムーズに決めやすいがやはり人気な女子と仲良くなりたいのかめい汐奈しおなといったトップクラス相手に突撃している。


 ク)「鳴さんどうか自分と同じ班に!」

 鳴)「ごめんなさい。他に組みたい人がいるので」

 ク)「ア、アナタノイシナラカマイマセン」(血涙


 ク)「自分ではだめですか?」

 汐)「今年は他の人と組みたいので......ごめんね」

 ク)「..............(燃え尽きた)」


 そんな光景が頻発しているが到真からすれば誰でも良いので余り物を待っていようと振り向く前だった。


天理あまのり君!」


 自分を呼ぶ男子の声がしたと思いきやクラスメイトの一人が教室ギリギリの高さまで飛んだのだ。

 そして体操の空中回転の如く回ったのちに到真の目の前で頭のおでこと足の脛を地面をくっつけて猫背の状態で着地した。

 まごうことのない計算されたジャンピング土下座だった。


「自分を班に入れてください!!」


 人目を一切気にしてない清々しいまでの土下座だった。


「えっと......お前は」

「ハイ!自分は今瀬いませ基秋ともあきです!どうか私めを貴方の班にぃぃぃぃ!」

「わかったわかった!入れるから落ち着け!」


 前髪を後ろに流してヘッドホンを首にかけている陽キャ風なクラスメイト、今瀬いませ基秋ともあきの必死の懇願に流石にたじろいで認めてしまった。


「しかし何でそこまでして入りたいんだ?」

「答えはすぐにわかる」(キリッ


 言っている意味が分からずポカンとしていると鳴がどこか近づいてきた。すこし緊張気味なのは気のせいだろうか?


「到真君.........そのもし良かったら私と一緒でも....」

「いいぞ」


 到真の返事に今までは厭世的だった鳴の顔とは違い顔が明るくなった。クラスの他の面々もこんな鳴は見たことがないと驚愕してる。

 しかも快進撃は止まらず


「ねぇ、良かったら私もいいかしら?」

「構わんが」


 まさかのトップ美少女2人をあっさり班にした到真に驚きと嫉妬の視線が集中した。まさに男の涙というものだ。

 そんな涙の中で青春男子は確信して基秋の方を振り向いた。

 まさか基秋が近づいたのは.........


 答えは言わない。

 しかし同情の親指グッドサインが送られた。ならば一つしかない


「ヒィ!?」


 歴戦の猛者の到真ですら獣の視線の集中砲火を受けて思わず悲鳴が出てしまった。

 どういう訳か女子も混じっているではないか。


「あの........キミタチ...........落ち着こう、ね?」


 子猫を撫でる声で問いかけ逃れようとするが彼らが欲しているのは撫でじゃない、獲物(到真達と同じ班の権利)なのだから。


「「「「最後の一枠ヨコセーーーーーーーーーーーー!!!!」」」」

「ダレカー!ヘルプミー!!」



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