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第40話  異能力①

「いつまで歩くの~?」

「本当に標的(ターゲット)がこの先にいるのでアリますか?」

「うるさい。間違いないから今は歩け」


 雷崎家の騒動から数日後の月夜の夜のことだった。

 東京の遥か郊外にある森を三人の男女が歩いていた。


 一人はスーツ姿の厳つい男

 もう一人は小さな眼鏡にシルクハット、社交界にはとても似合わない色の燕尾服の男

 最後は先程愚痴った少女で上はタンクトップ一枚だけの薄手


 明らかに普通ではない三人組が東京の森をひたすらに登っていたのだ。


「しかしこんなところに住むとは標的(ターゲット)は物好きデスな」

「しかし侮るな、Aランクの異能力者相手を圧倒したのだ。たとえどんな人物であれ無視できないのには変わりはない」


 燕尾服の男の疑問に厳つい男、フェクトは他の二人と比べても真剣な顔で登っていた。

 そうして3人がひたすら登っていくうちに一軒の洋風豪邸の門と家が正面に現れた。


 一言で表すならば大きなダウンハウスというべきだろうか、茶色のレンガをベースとしつつ窓や屋根の装飾の調和さは外国の高級なそれにも引けを取らない上に日本の遺産の洋館と言っても信じてしまうくらいだ。

 更にそこの庭は一面緑でその大きさは家の何倍もあると至れり尽くせりであった。


「ねぇねぇ、これ標的(ターゲット)殺したら住んでいい?」

「確かにこれは魅力的デスな」

「落ち着けお前ら...................後で拠点として運用できるか上に相談するから」


 門の外からの見ていたが余程魅力的だったのか少女のほうは物騒な発言をしつつ興奮気味だ。

 ほかの二人も落ち着いてはいるもののやはり魅力的らしい。


「早速出番だメル。お前の”異能”で門をどうにかしろ」

「りょーかい」


 メルと呼ばれた少女は門に近づく。

 しかし門に触れることはできない。


「あれ?」

「どうしたデアリますか?」

「触れられない、バリアでも張っているみたい」


 ほかの二人も門に触れようとするが門から少し離れた所で透明な壁に触れたような感触とともに門へと触れることができない。


「確かにデスな」

「協力者がいるのだろう。標的の”異能”はスピードに関する能力と推論しているからな。」

「やはり結界を張って正解だったわい。想定よりも早く仕掛けてくるとわのう」


 3人とは違う声がした瞬間に声の方向に振り向くと一匹の黒猫が門の上にいた。


「猫がしゃべった!?」

「な!?姿を変える異能でアリますか!?」

「落ち着け!ここで対処すればいい」

「ふむ、答えることはないということか。ならばこちらも相応の対応をするとしよう」


 臨戦態勢に入る両者、そして月夜の静寂から始まった戦闘は静寂のまま終わりを迎えたのだった。


 -------------------


 東京のとあるビルの一室

 そこではスーツ姿の黒髪ショート髪の女性が3人のホログラムとがあった。

 その周りには無数のモニター画面があり、そこには地図や資料などが映っていた。


 ホログラムは女性の真正面には仰々しい服装の長髪の老人を中心に左には老婆、右にはアジア系の僧侶の服装の坊主頭の者が並んでいた。

 女性もそのホログラムに幾つかの話をしてその話が終わると中心の老人は口を開いた。


『ハクシキよ、仮拠点の設営と”操力”、”付与”、”感能増幅”の確保の準備は整ったとみていいな』

「はい、現在”別任務”中の三名とバディスが復帰次第行動に移すつもりです。」

『その”別任務”の進捗について説明をお願いできるかしら」


ホログラムの老婆の問いハクシキと呼ばれる女性はに答えるとともに3枚のホログラムを表示した。


そこには黒色の少しツン立った髪型の少年の写真とその少年が爆走の末に大男を跳ね飛ばしている場面、そしてとある山奥を衛生写真からとったようなものが映し出されていた。


「かつての作戦行動中にバディスを跳ね飛ばしたとされる少年の名前は天理あまのり到真とうま。付近の防犯カメラと工作員の目撃証言からの推測ですが意識の復帰したバディスの証言からもこの少年の仕業で間違いはないかと」


そして今度は衛生写真を中心に移動して拡大すると一軒の屋敷が写っていた。


「例の少年は戸籍上の住所とは別に数日前からここに通ってるそうです。」

『他組織の工作員の可能性も捨てきれないわねぇ........』


老婆の頷きに首を縦に振って肯定したのちハクシキは続ける。


「その可能性も考慮してBランクのメルとトイズ、そしてAランクのフェクトを確保、制圧すべく先程派遣しました。」

『Aランク候補の二人をか!?しかもAランクまで動員とは少し過剰では⁉」

『いいや、そうとは思わん。仮にもAランク、それも”強化”の能力者を圧倒したのだ。Aランクの実力者として最低でも対処せねばならん」


坊主頭の老人がハクシキの言葉に驚愕するが中心の老人は一切のおごりもなくハクシキの言葉を肯定し坊主頭の老人を落ち着かせる。


その時ハクシキのスーツのポケットから電話がなった。

本来”組織”の最高権力者の会合に鳴らすなど失礼極まりないが、番号からも作戦行動中の彼らのものなので3人も咎めることはない。


一言断りを入れたのちに後ろに振り向いて報告を受ける。

しかしその報告は想像の斜め上をいっていた。


「こちらハクシキ、そっちの状況は...............................え?」


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