第29話 龍夜叉④
鳴の出自の真実を語られて呆然とする猫神と鳴自身をよそに魔族の語りは終盤を迎える。
「そうして三年前に全ては整いあとは貴様を変質器として組み込むだけだった。だが貴様の母は自身の娘が生贄にされようとしていることに気づいた。そして貴様の魂の性質を人間として封印する術式を構築して自身は生贄としてすり替えることで貴様を助けようとしたのだ。この時の我は術でしか存在を認知していなかったから、てっきり死んだかと思っていたがな。まあ、それもこうして無駄に終わっただけだがな」
そして魔族は鳴の元へと向かうと乱暴にその服を掴み力任せに破いた。
そうして露わになった整った肢体、その精緻さは一切の無駄がない。神々が造形したとしたらこのことを指すのだろう。
そうして魔族は吟味するかの如く隅々まで見るが抵抗しようにも魔術による拘束が強くて一向に抜け出せないでいる鳴はただ顔を赤くするしか出来なかった。
そうして魔族は一通り見ると茂雄の元へ振り向いて尋ねた。
「シゲオ、この娘とまぐわって良いか?」
「ちょ!?何言って」
「ええ、構いませんぞ」
鳴の驚愕をよそにあっさり認めたのだった。
茂雄にはかつての雷崎家の栄光を求めることしか頭にないので実の孫がどうなろうが知ったことではないのだ。
「こうしてみるとこのまま捨て置くには勿体ない。喜べ、魔族の遺伝子を継ぐのだ。この上ない名誉だぞ」
「嫌..........!」
「貴様どこまで....」
「【うるさいぞ猫神】」
魔族の言葉とともに猫神を収容していた檻が紫電に似た光を放出するとともに猫神を焼く。
始めは無理矢理突破を試みたが雷の方が強かったのかしばらくして猫神が意識を失った。
「これで静かになったな。では手短に済ませよう」
その言葉と共に近寄る魔族にただおびえるしかなく誰も助けてくれない状況となった鳴、自身が無関係の人を巻き込まんがために距離を置いてきたのできっと助けは来ないだろうと鳴は思っていた。
けど、もし許されるのなら
誰かに求めていいなら
(誰か助けて...........)
ズガァァァァッァァァァッァァァァーーーーーーーン!!!!!
天井の一部がが轟音で空間を満たすとともに崩壊した。
一同が異常な事態に固まっていると土煙と共に姿を現した白髪スリムな少年、天理到真は周りをみわたした。
そうするとあら不思議、クラスメイトの鳴さんが見知らぬ男と拘束プレイして○○寸前ではないか。
「あ、お邪魔しました」
「違ーーーーーーーーーう!」