第23話 動き出す雷崎家③
それからしばらくすると鳴自身が到真に関わってくる機会は始めに比べて格段に減った。
接触を取って来る時は前のように手紙で場所と時間を指定しての繰り返しだった。
会話の内容も霊力操作に対するアドバイスを求めるぐらいで、むしろ鳴が到真と頻繫に関わるのを避けているようにも感じた。
到真にとっては鳴が《《そういう意思》》で決めたのなら口出しするつもりもないが鳴の感情の機微を表情から読み取ったとしてもそれは到底明るいものでもなく感じれた。
やがて2週間が過ぎて選定戦が最終日を終えた日の学校を鳴は欠席したのだった。
担任の先生は家の都合と言っているがどこか到真にとっては引っかかるものを感じざる負えない。
そんな日の昼休みだった。
「到真君少しいいかしら?」
図書室で小説を読もうと席を立つ直前にまた同じクラスメイトに話しかけられたのだった。
話しかけてきたのはこれまた学園の中でもトップに位置しそうな美少女だった。
髪は黒のロングで洗練されたスタイルと顔、加えて鳴がどこか無機質さの美しさを感じるなら彼女はエネルギーを感じさせる美しさを併せ持っていた。
到真もこれくらいの期間でクラスメイトの顔は熟知しているので彼女の名前は清羅汐奈だとすぐに分かった。
屋上で話を希望してきたのでそのまま屋上へと向かう二人。
教室を出る間際に嫉妬と殺意が籠った目線を感じまっくたがそんなのは無視した到真だった。
ーーーーーーーーーー
「ごめんね、どうしても聞きたいことがあって」
「構わんが何を聞きたいんだ?」
「鳴さんについて」
鳴についてと聞かれて到真は一切表情に出さないものの警戒モードへと走った。
もし彼女が自分と鳴の関係を知ってしまったら《《秘密を守るためにも》》少々手荒にいかねばならない。
だが彼女が聞いてきたのはそういうものではなかった
「鳴さんのここ最近の様子について何か心当たりない?」
聞いてきたのは鳴のここ最近の様子についてだった。
「全くない........と言えば噓にはなるかもしれんがぶっちゃけ分からん。実家については聞かないようにしているしな」
「鳴さんと最近話している君なら知っていると思ったんだけどそれならごめんね。あ、それともう一つ聞きたいことがあるんだけど」
「何?」
「金色と銀色のメッシュが入った獣を見なかった?」
その言葉で到真は汐奈が陰陽師であることを確信した。陰陽師である鳴がと同じ言葉でわざわざ聞いてきたのだ。無関係ではあるまい。
「見てないな」
「そっか.......ありがとね」
望んだ答えが得られずに表情を暗くする汐奈は屋上を後にした。
(しかし一体何が起こっているんだ?魔族といい、陰陽師といいどうことなんだ?)
現在進行で迫っている異常にむずがゆくなる到真。
その真相を知る時もまたすぐに迫っていた。
カクヨムでは話が進んでいます




