第22話 動き出す雷崎家②
「..........暇だヒマだHIMADA!!!!!!!!!!」
到真たちの通う学校から少し離れたビルの屋上
そこからの景色には学校が見下ろせる位置で小生意気な少年、雷崎磁々は吠えた。余程鬱憤が溜まっているようだ。
「何考えてんの当主様は!!僕の能力知っているよね!?部下の得意分野を知るのが上司の務めでしょうがぁぁぁぁぁ!!!なんで僕が監視とか釣り好きのジジババがやるような役目をしなきゃいけないの!?お前は自宅に籠っているからいいと思っているの!?吞気にお茶でもすすってねえで部下の気持ち現場に行って思い知れこの木工ジジイィィィィィィィィ!!!!」
「五月蠅いぞ、磁々」
怒りと鬱憤が十万ボルトな磁々とは裏腹にスーツ姿で顔に斜め傷が通っている男、”雷豪”の一人でもある雷崎武が吠えていた磁々を鎮める。
「我々の任務を忘れたか。鳴に協力した者を特定することだろう。」
「そりゃお前は動いているかな!、何時間もずっと同じ景色を見続けているこっちの身にもなれ!!」
磁々のフラストレーションは現在進行形で噴火中である為に昼間にも拘わらず吠える。
そんな磁々に武は下手に刺激しない方がいいと悟り少しでも磁々の鬱憤を鎮めようと封筒を渡した。
「何それ?」
「学校に関する人物の調査結果だ。あの学校は”中立”であるから我々もうかつには手が出せん。だが成果はあった。」
「成果?」
「天理到真の家族関係に注目しろ」
そう言われて両親や家族のところに目を通す磁々。
ただの旅館経営している家じゃん、そう見ていたが名前を見て目が一瞬飛び出かけた。
「マジ?」
「つい先ほど見て俺も目を疑った。だがこれに関しては間違いない」
「これで確定でしょ、鳴に協力したとしても辻褄が会う」
早速始末せんと動き出す磁々を武が襟首掴んで止める。
磁々は顔を歪めて抗議するがスルーして続けた。
「まだ確定したわけではないだろうか。もし仮に誤解であったとしたら即座に報復を受けて我らが壊滅するぞ。」
「でも結局”計画”が成功したら結局死ぬじゃん」
「急いて事を逃すのは愚の骨頂だ。」
武はあくまで今は静観らしい。
お互い緊張感が一瞬漂ったが面倒な事を磁々は嫌うのでこの件に関しては譲歩した。
最も武の言う通りでもあるので全くではないが同意している。
「でも最有力候補なのでしょ、どうするの?」
「一先ず他の”雷豪”を召集する。集まり次第本人への尾行といったことは避けつつ調査を開始する。あれ程の血を受け継いでいる男だ、無関係ではあるまい。証拠を掴んだらさらに対応は考えるさ。」
ふ~ん、と思いつつ磁々は監視の任務へと戻った。
校門の近くを見ていると勝手にストーカーしていた由香里が警官に注意されて逃げていたところだった。
テレビバラエティーを見ている様子で観賞していた磁々なのであった、




